この日、☆くんという4歳の自閉症の男の子も●くんといっしょにレッスンを受けていました。
☆くんも教室に通い始めた半年ほど前は、
2時間のレッスンの間、バスのおもちゃのドアの開閉にばかりこだわり続けるという
偏った遊びしかしようとしなかったのですが、
今は、ままごとや工作やブロック遊びや人形ごっこなど
さまざまな遊びを楽しむようになりました。
コミュニケーションを取るのも上手になり、表情が豊かになり、よく笑うように (以前はしかめっつらをしているか無表情でした)
なりました。
お母さんのお話では、家では強いこだわりを示して、お母さんと衝突してばかりいるそうなのですが、
虹色教室や園では、そこで過ごす時間をしっかり楽しめるようになっています。
☆くんとわたしがごっこ遊びに興じていると、●くんは
時計を触りながら、ちらっとこちらを見ていました。
☆くんとわたしがしていたごっこ遊びというのは、水風船をふくらませる道具で
小さな白い風船を作って、それをゴミ袋だという設定にして
ゴミ収集車で集めてまわる遊びです。
それに気づいたお母さんが、「●くん、みてみて」と誘いかけると、●くんは
突然、意味を伴わない言葉を繰り返して、そわそわしだしました。
そこで、お母さんに●くんに誘いかけたり、動かしたりする言葉を言わないように
お願いして、「●くん、先生がゴミ収集車を作ってあげようか?」と言いながら
紙箱にはさみを入れました。
すると、●くんはわたしから紙箱とはさみを取り上げると、
乱雑に切り始め、終いに、手でビリビリと引き裂いていきました。