虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 5

2013-08-17 20:46:14 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

 

一方通行に自分の考えは告げるけれど、会話をつなげていくことは

難しいという子がいます。

 

会話がつながりにくいと、友だちと親しくなるきっかけがつかみにくかったり、

いっしょにする遊びが広がりにくかったりします。

そんな時は適度に介入して、相互に交流する時間が持続するように

手助けしています。

 

 

たとえば、夏の発達の凹凸がある小学生の子たちのレッスンで

こんな場面がありました。

 

★くんにレオナルド・ダ・ウ゛ィンチのスウィングブリッジという動く橋を見せて、

「橋が横に動くと……川が渡れなくなってしまうね。

どうして渡れなくするのかな?」と問いかけました。

★くんはたちまちこの動く橋に心を奪われた様子で、面白そうに動かして遊んでいましたが

わたしの質問はピンとこなかったようなので、

「ほらっ、悪い敵が来ても、橋をこうして動かすと渡れないね」とヒントを出しました。

 

すると、★くんは、小さな渡し舟を動かして、

「舟で渡れるよ、舟で渡れるよ」と高い声で言いました。

「ほんと、舟で渡れるね。そうよね。橋で渡れなくなっても舟で渡れるね」と感心すると、

うれしくてたまらない様子で、「橋がなくても……舟で渡れるよ」と繰り返していました。

 

★くんは、面白いと感じたことがあると、

同じ言葉を繰り返してしまうようです。

同じ言葉を言い続けていると、同年代の子らは

★くんの言葉に耳をとめず、いつの間にかどこかへ行ってしまっていました。

★くんがか細い声で「ぼくの話も聞いてください、ぼくの話も聞いてください」 と訴える姿もありました。

 

せっかく★くんが楽しい気持ちで何か言いたいと感じているのですから、

ひとつのチャンスでもあります。

 

他の子らにスウィングブリッジを見せて、

「ほら、見て。この橋、動くでしょ。

こうやって動いても、川を渡っていけるいい方法を★くんが考えたのよ。わかる?」と声をかけると、

面白そうに橋を触りながら、考えこんでいます。

「★くん、★くん。どんなアイデアか教えてあげて」と言うと、

★くんはとてもうれしそうに説明していました。

 

そうやってうまく関われたな、と思う場面があった時は、

何度も他のお友だちとの間でもそうした会話が展開し、

慣れるにつれて、会話がより持続するように

手助けしていくようにしています。

 

次回に続きました。