虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

2年生の時計の問題 と 夜店の屋台と喫茶店

2013-07-21 18:18:32 | 算数

小学2年生の子たちの算数タイムに最レベ2年生の時計の問題を解きました。

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学校まで たかしくんの 家から 13分、ひろえさんの家から 28分、

かずおくんの 家から 32分、それぞれかかるそうです。

 

①3人が 同じ時こくに 学校に つくようにします。

ひろえさんと かずおくんは、たかしくんよりも

何分 早く 家を 出ると よいですか。

 

②学校は 午前8時10分に はじまります。せいとは、それよりも

5分前に つくことに なっています。

また、当番の人は 10分前に つくことに なっています。

今日の当番はひろえさんです。

3人はそれぞれおそくても 何時何分に 家を でなければ いけませんか。

                     (最レベ2年生 P33)

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数直線上に整理して解いていく大切さに気づく問題です。

 

書いてあることをきちんと理解していないと、

数字同士をいじるだけでは、

解けないはずです。

同じ時こくに学校につくには、どうすればいいのか、

子どもたちと話しあったり、

ブロックを家や学校に見立てたりして考えました。

何とか正解にたどりついていたものの、

まだ本当に納得していないようでした。

 

しっかり腑に落ちるまで、これからも何度か考えてみるといい問題だと思いました。

自由時間に、焼そば屋、お好み焼き屋、かき氷、輪投げ、くじびき、

飴玉屋などの夜店の屋台と喫茶店ごっこをして遊んでいました。

 

これらのごっこ遊びは、さまざまな実験も兼ねています。

スライムを作ったり、粉を濾したり、水と油で墨を流して作る輪を作ったり

しました。

 


アスペルガー症候群の子と創造性  記事のまとめ

2013-07-21 10:11:20 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

 2012年 6月 <アスペルガー症候群の子と創造性>

☆ちゃんはアスペルガー症候群の5年生の女の子です。

昨年までは人と関わることや自然に会話を交わすこと、想像したり論理的に考えたりすることに

かなり困難を抱えていました。

 

人形遊びをする時も、小物を集めて並べるだけで

人形同士で会話させたり、時間にそって遊びを展開することは難しいようでした。

 

それが、最近になって

自分の思いを表現したり、想像したり、論理的に考えたりするのが

上手になってきました。

 

写真は、☆ちゃんの言葉の力が急に伸びてくるきっかけとなった

『ピッケのえほん』というパソコンの絵本作りソフトです。

 

☆ちゃんがはじめて作った絵本は

ストーリーというほどのものはなく

うさぎやくまが食べ物を食べておしまい……というものでした。

 

その後、1、2ヶ月の間に、☆ちゃんはひとりで黙々と絵本を作り続けていました。

何冊も、何冊も。

 

そうして絵本を作り続けるうちに、

お話のストーリーがだんだん複雑になり、

感情や登場人物の会話も書き込まれるようになって、

☆ちゃんのお母さんはとても驚いておられました。

 

絵本は、1冊ずつお話が完結しているのですが、

次の一冊、次の一冊と書き進む話は前の本の続編のように

どこかでつながっています。

ストーリーを読み進むうちに

☆ちゃんの心そのものが変化し成長しているのを

感じました。

 

☆ちゃんと☆ちゃんのお母さんにお許しを得て、

絵本の一部を紹介しますね。

絵本のストーリーは最初のうち、

1ぴきのカメをひろったうさぎが、

かめといっしょに遊んだり、いっしょにかみなりの音に「うるさい」と怒ったり

して、春夏秋冬を過ごす話でした。

「うさぎのかたちをしたりんごやみかん」など

次第に凝った表現があらわれるようになりました。

 

この絵本の続きでは、カメと同じようにペットのあひるを見つけて

仲良くなる話が続きます。

 

実生活でも以前の☆ちゃんは、動物だけにこだわって

四六時中、動物の話ばかりしていました。

虹色教室に来ても、わたしに話しかけるときは

セキセイインコとオカメインコのことしか話しませんでした。

 

が、この頃、そうした動物一辺倒だったこだわりが薄くなって

人と自然に会話をしたり、学校で実際体験したことやお友だちへの関心が高まって

きたのです。

そんな☆ちゃんの心の変化のあらわれなのか、

『うさぎとかめとのおわかれ』という絵本を作った☆ちゃん。

 

 

なんと絵本のなかで、友だちだったカメが死んでしまうのです。

その次の絵本のうさぎの表情は、静かで穏やかです。

「かつていたかめは、もういません。

もうおわかれです。」という言葉が添えられています。

 その後、春が来ても、静かに遊んでいるうさぎの姿。

 

 

カメの死を描いた☆ちゃんは、その次の絵本から

表紙をピンクに変えて、登場人物と同じサイズの

お友だちを登場させるようになりました。

 

お友だちといってもいじわるそうな男の子のブタとして出てくるのですが、

このブタとの間で持ち上がったトラブルを、

たくさんの自分と同じサイズのお友だちたちが助けてくれるストーリーに

なっています。

学校で野球をしたそうで、物語に野球のボールも登場させています。

カメの死の後、瞑想でもするように

静かに下を向いたうさぎだけで絵本を作っていた☆ちゃん。

それがお友達が登場するようになった絵本では、

びっくりしたり大笑いしたりする豊かな表情を選んでいます。

 

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2012年 7月  <アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展>

 

その後も☆ちゃんは、2日に1冊ずつ絵本を作り続けているそうで、

今月のレッスンにもたくさんの新作の絵本を持ってきてくれました。

 

1冊、1冊、心を込めて作られた絵本を読み進むうちに、

この1ヶ月の間の☆ちゃんの心の軌跡と成長が

手に取るように伝わってきました。

 

前回の作品群では、ずっと正面を向いたうさぎの女の子が主人公でした。

はじめのうちは、うさぎちゃんだけが登場し、食べ物を食べたり、ひとりで遊んだりするストーリーでしたが、

1ぴきのカメを拾ったストーリー、カメと遊ぶ日々が綴られたストーリー、カメが死にひとりぼっちになったうさぎが

静かにペットの死を乗り越えていくストーリーが続いていました。

カメの死の後、☆ちゃんの作品には同年代のお友だちを思わせる

いじわるなブータやブータから自分を助けてくれるお友だち、りすやあひるやかめやカエルが登場していました。

 

それから1ヶ月。

☆ちゃんの作品はどのような展開をしていったのでしょう?

 

☆ちゃんは主人公を正面を向いたうさぎから横を向いているりすに変えました。

そのおかげか友だちの方向を向いておしゃべりしているストーリーや

「ついておいでよ」とお友だちを誘っているように見えるストーリー、

お料理をするなど積極的に自分で活動を創り出すストーリーが多くなっていました。

ポップで明るい色を多様し、太陽や星や太陽に似た花や実がたくさんなった樹で

背景は彩られていました。

前回までの静けさが感じられた画面から、

躍動的で豊かさを感じられる画面へと変化していたのです。

 

 

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現実の生活では高学年になった☆ちゃんは、

難しい年頃に向かいつつあるお友だちの言動に傷ついたり

戸惑ったりすることも増えてきたようです。

友だちを求める気持ちが強くなり、

人間関係が広がりを見せるなかで、それだけにショックな落ち込む出来事や

辛くてすぐには立ち直れないような出来事に遭遇するようになったようです。

学校で嫌なことがあった日、☆ちゃんは、絵本のなかで

恐ろしい事件や揉め事を描いていました。

 

興味深いのは、作品が進むにつれて、

主人公であるりすちゃんの恐怖の対象の捉え方がどんどん変化していることと、

トラブルに対する立ち向かい方や問題解決の仕方が

驚くほどの成長を遂げていることなのです。

 

誰に教わるでもなく、ひとつひとつの体験と、

それを整理し内省するかのような絵本作りの活動のなかで

☆ちゃんの精神的な成長と社会性の成長が

劇的に進んでいることが察せられました。

 

それでは、次の記事で☆ちゃんが恐怖の対象とどのように向き合い、

どのように乗り越えて、最後には仲のいい友だちのひとりとして

認識するに至った絵本のストーリーの変化を紹介していきますね。

 

この記事の続きです。

アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展 2

アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展 3

アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展 4

アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展 5

アスペルガー症候群の子と創造性 冒険心とアイデアの広がり

 

日常の生活を描くのが主だった☆ちゃんの作品は、

次第に創作物語へと進化を遂げ、

さまざまな題材を取り入れた想像力の広がりを感じさせるものになっていきました。

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2012年 12月8日

そうしてたくさん溜まった作品を発表する場も設けました。

ピッケの絵本の作品展

 

展示会には学校の担任の先生までかけつけてくださり、心に残る

すばらしい一日となりました。

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2013年1月30日   アスペルガー症候群の子といじめっこへの対応

 

 

絵本作りを始めてから、半年以上過ぎた今、

☆ちゃんの作る絵本のボリュームが増して、製本するのに苦労するほど

の分厚さになっています。

 

お話も創作物語としての質が向上し、どれを見ても

次のページをめくるのがワクワクするような面白い展開になっています。

そのひとつひとつが誰に誘導されたのでもない

☆ちゃんの心の中から生まれた物語だから、

今現在の☆ちゃんのお友だちとの関わり方や問題の解決の仕方を

如実に表わすものにもなっています。また☆ちゃんが作品作りに自分が体験したことや見聞きしたことや

想像したことを積極的に活かそうとしているのがよくわかります。

 

『りすとスポーツ』という絵本で、☆ちゃんは潜水艦から見た海の底を描いています。

☆ちゃんのが年中、動物の話しか言葉にしなかった頃、☆ちゃんの親御さんたちは

☆ちゃんの暮らしを少しでも楽しいものにするために、

サファリパークに連れて行ったり、

「夜の動物園」というイベントに参加させたりしていました。

おそらくそうした体験とテレビで見た深海の画像からこの絵本のアイデアを得たのでしょうね。

大好きな図鑑で得た知識も披露しています。

 

(絵本の絵の一部は省略しています)

①おがさわらしょとうのトワイライトゾーンに(で)けんがくする

リスちゃんとあひるちゃんは あやしいクラゲをみました。

「ウサギクラゲがさかなをとらえたんだね」」

「クラゲがこわいよう」じつはアヒルちゃんはクラゲがだいのにがてなのです。

あらわれたのはフウセンクラゲ。

 

③「クラゲがこわいよう」じつはアヒルちゃんはクラゲがだいのにがてなのです。

あらわれたのはフウセンクラゲ。

こんどはクラゲではありません。しんかいのタコ。カンテンタコです。

④あおいうみにもどったりすちゃんは、おおきなエイをみました。

(この絵について質問すると、☆ちゃんは、エイの毒針を黒い線で表現したことなどを

教えてくれました。)

 

⑤あるひアヒルちゃんのねつは36どになりました。

⑥あさ5じになりました。

りすちゃんはめがさめました。

⑦あさ5じ1ぷんにりすちゃんのいえのまえにアヒルちゃんがきています。

「リスちゃん、はい、これプレゼント」「ありがとうアヒルちゃん。だいじにしておくわ」

あひるちゃんにもらったプレゼントのなかみは、りすちゃんがいつもしているバスケットボールです。

じつはリスちゃんのならいごとはバスケなのです。リスちゃんはバスケのれんしゅうをはじめました。

あひるちゃんはタグラグビーをしているのです。

 

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『リスとおもちゃたち』 と 『りすとカエルたち』

という続き物の絵本では、☆ちゃんのこれまでにないお友だちとの関わりのあり方が表現されています。

問題を解決する能力の変化も感じられます。

 

 

①そのときです。りすちゃんとあひるちゃんがどんどんきょだいになってしまいました。

②りすちゃんとあひるちゃんはおもちゃのあるところに

いきました。おもちゃもきょだいです。

 

 

③りすちゃんとあひるちゃんはおもちゃであそびはじめました。

④ボールやミニカーやラッpやふねなどがおいてありました。

あひるちゃんはほしかったくまのぬいぐるみをもってかえることにしました。

⑤りすちゃんとあひるちゃんはおもちゃをぜんぶもってかえります。

⑥もってかえったおもちゃは、あひるちゃんがすぐにあそびます。

あひるちゃんはおもちゃがだいすきなのです。

⑦おもちゃぬすみたちがあらわれました。あひるちゃんはおもちゃをぜんぶ

とりあげおもちゃを1このこらずぬすんでしましました。

  

⑧りすちゃんはあひるちゃんのおもちゃをあちこちさがしましたがみつかりません。

⑨のこったのはだいじなくまのぬいぐるみとえをかくスケッチブックをクレパスだけです。

あひるちゃんはくまのぬいぐるみしかありません。

りすちゃんもひまのようです。

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この本の続きと思われる『リスとカエルたち』で、☆ちゃんはこれまでの作品にはない

トラブルの解決策を描いています。

 

①あひるちゃんがトラックのえをかいたときうえからおばけの

ブータがあらわれました。

 

 

②りすちゃんはあひるちゃんのおもちゃをさがしましたが

あひるちゃんのおもちゃのきしゃしかみつかりません。

③ほかのおもちゃはふねやミニカーしかみつかりません。

 

  

④やっとあひるちゃんのおもちゃがそろいました。

⑤あひるちゃんがおどろくようにおもちゃをならべておきました。

⑥ほかのおもちゃもならべておきました。

⑦いっぽうおもちゃぬすみたちは

あひるちゃんのおもちゃをさがしまわっています。

⑧ りすちゃんとあひるちゃんはおたまじゃくしのいるみずうみにはいっておよぎました。

⑨りすちゃんはもぐっておたまじゃくしをとらえようとしています。

⑩りすちゃんとあひるちゃんはちいさなカエルをとらえようとしています。

⑪でもつかまえたカエルはすぐにぴょんぴょんにげます。

⑫りすちゃんとあひるちゃんがあるいていたとき、メガネザルくんがブドウをたべていました。

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絵本を作り始めた頃、いじめっこが現れると、

 絵本の背景全体が恐ろしい様相を帯び、いじめっこはおばけに変身して圧倒的な力で迫ってきました。

主人公のりすは為す術もありませんでした。


☆ちゃんの絵本作りが進むにつれて、いじめっこの姿は等身大の友だちの姿になり、

いっしょに仲良く笑い合うシーンも描かれるようになりました。

主人公のリスは、ひとりで逃げていた状態から、

お友だちといっしょに逃げるようになりました。


さらに絵本作りが進むと、りすはいじめられた時に

高い木の上に上って、そこから少し余裕を持って行動するようになってきました。

 

今回の絵本では、主人公のリスはこれまでにない行動をしています。

「おもちゃぬすみ」によって奪われたおもちゃを

お友だちのあひるのために自分で探しに行っているのです。

 

現実の世界でも、☆ちゃんはしつこく嫌がらせをする学校のお友だちの存在を

お母さんに相談しつつも、

長縄跳びをがんばって練習して、みんなの輪に積極的に入っていって、

学校生活を楽しいと感じるようになっているそうです。

いっしょに帰宅するお友だちも何人かいるそうです。

 

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2013年 3月19日 アスペルガー症候群の子とゼロから創造していく力

 

2ヶ月の間に作ったという本の量もすごいのですが、

話の内容の広がりといいい

絵の構成の仕方や既存のイラストの多彩な活用の仕方といい

目を見張るような変化を遂げていました。

 

ピッケの絵本を何冊も作り続けるうちに、☆ちゃんの描きたい物語の幅が広がり、

既存のキャラクターやアイテムだけでは

物足りなくなってきたようでした。

そこで☆ちゃんは三角や四角やだ円などの形のアイテムを

使って、オリジナルのキャラクターやグッズを作りはじめました。

といっても最初のうちは、三角や四角の形の中に

目鼻をつけただけの単純なものでした。

それが少し進歩して

丸をふたつ重ねて雪だるまを作り、しばらくシリーズものの

冬をテーマにした物語を作っていました。

 

今回、☆ちゃんが持ってきてくれた絵本の中で、

そうしたオリジナルのキャラクターがあれっと驚くような進化を遂げていました。

 

だ円と棒で描いた「しまうま」は、作るのにとても手間がかかったそうです。

 

宇宙を描く時、地球をどんな風に表現するのか苦労したそうです。

初めて、子どもではなく「大人」の女の人(みかんではありますが)

が主人公となっている作品。

 

りんごちゃんにばななのかれしができ、みかんちゃんはくりのおとこにおいかけられて

ムッとしながら、ブドウのおとことけっこんして子どもが4人もできたそうです。

 

 

 

以前の☆ちゃんは、絵本についてたずねても、首をかしげて、「わかんない」と答えることが

多かったのですが、この頃は、質問すると、

わかりやすくていねいに解説してくれます。

みかんちゃんの子どもは、いろんな性格の子がいて、黄緑の子が末っ子なのだそうです。

「☆ちゃん。こんなテーブル、アイテムになかったのに

どうやって作ったの?」とたずねると、

「おもちゃのたいこを大きく大きくして、テーブルみたいにしたのよ」という返事が

返ってきました。

↑は、「滝」なのだそうです。

宿舎に泊る子どもたちの姿。

四角い形をうまく活用して、

そこにないものを作りだしているな、と驚きました。

 

☆ちゃんはピッケの絵本作りを始めるまで、

物を何かに見立てたり、工夫したりすることが極端に苦手で、

遊び方も非常に幼い段階にありました。

ごっこ遊びに近いことをしたくて

小物を集めるものの、それらを何かに見立てることができなくて、

雑然とビー玉を集めた上に人形を乗せていくだけ……

ドールハウスに家具を並べていくだけ……で遊びが終始しがちだったのです。

 

 

それが絵本を作り続けるうちに、☆ちゃんの物の見方も想像力の広げ方も

観察力も工夫する力も

急速に変化してきたのです。

☆ちゃんが何気なく描いた宿舎の一シーンですが、

よく見ると、アヒルちゃんは子ども椅子にすわっています。

アヒルちゃんの背の高さへの配慮なのでしょうね。

アヒルちゃんのコップは小さいサイズで、コップに絵が貼りつけてありました。

海苔がついているおにぎりは、☆ちゃんが形のアイコンで作ったものです。

 

お話の展開も、いろいろなアイデアが盛り込まれています。

さまざまな絵本の中から1シーンずつを紹介しますね。

 

「うさぎちゃんはメキシコのサンタフェにやってきてUFOのかんさつを

はじめました。」

という1シーン。

「かめくんは、インドにやってきました。

インドにいってカレーふうみのせっけんをかいました」

「あひるちゃんは、ウミヘビにすいしん1000メートルの

トワイライトゾーンにひきずりこまれてしましました。」

この後、あひるちゃんのお葬式が行われたことに

なっているのですが、りすちゃんが遺影を手にしていたのには

びっくり!

 

水のしずくの形に色をつけて重ねて作ったという

たいまつの絵もとてもすてきでした。

この頃、同年代の友だちとの付き合いが活発になってきたという☆ちゃん。

☆ちゃんのお話では、こんなに成長した主人公が登場していました。

「12がつ3か みかんちゃんは、もうこどもみたいなことは しません。」

 

「みかんちゃんは おおいそがしです。

こどもたちのおやつをよういしているのです。」


☆ちゃんの心の成長を感じました。

また、ゼロから創造していく力を身につけつつある☆ちゃんを

すごく頼もしく思いました。

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2013年 5月22日 『ピッケのつくるえほん』というソフトが土台となって広がっていく世界


長い間、自分のこだわりのある小さな世界に閉じこもるようにして生活してきました。

 

パソコンを使って絵本作りを始めて以来、

自分を客観的に眺める目が育ちはじめ、自分に自信を持ち、

外の世界に関心を広げていきました。

 

現在は、『ピッケのつくる絵本』でおびただしい量の作品を作ってきたという経験が土台となって、

これまでは苦手だからと避けていた物事にも

積極的に取り組むようになっています。

スタンプを使って、パソコンで写真のコラージュのような

作品を作るようになった★ちゃんと、

作った絵にピッケの絵本で文字を入れて、

絵本作りを楽しみました。

今回も、★ちゃんは新作の絵本をたくさん教室に持ってきてくれました。

本当はもっとたくさん作っているのだけど、

インクがなくなってしまい印刷できなかったそうです。

 

★ちゃんの作品は、これまでの作品とは一風変わった

趣向を凝らしたものが増えていました。

特に面白かったのはこの作品です。

 

よるのこうえんを飛び回るおばけたちがテーマ。

おばけたちはねている子どもたちを探しています。

 

この作品がとても面白く、また★ちゃんの心の変化や成長が

感じられるのは、次の夜明けのシーンです。

 

「つるつるざかのところにもおばけはきえています」とあります。

夜明けの公園。

 

★ちゃんは見えないものをイメージすることが非常に苦手です。

見えないこと、未知の事柄はいつも混乱や不安とつながっています。

それにもかかわらず、★ちゃんが夜明けの見えなくなったおばけの姿を

作品で表現しようとしたのは、

とても不思議な感じがしました。

 

絵本の主人公たちがさまざまなペットを飼うストーリー。

ゴールデンリトリバーやダルメシアンなど

大きくて魅力的なペットが登場しています。

 

作中の絵の躍動感がすばらしいと感じたのは

『やせいどうぶつとたべもの』や『やせいどうぶつとかり』という

作品です。

 

何気ないシーンですが、うさぎの足の角度から、必死で逃げる様子が

伝わってきます。獲物を懸命に追うペンギンと

サーッと散って行く魚たちの攻防戦がいきいきと描かれていますね。

 

続きです。↓

『ピッケのつくるえほん』というソフトが土台となって広がっていく世界 2