虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

ベネッセの取材をお受けすることになりました♪

2012-02-17 17:53:47 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)

今月末にベネッセの取材をお受けすることになりました。

「こどもちゃれんじぽけっと」の保護者向け冊子の7月号に載せていただきます。

 

 


チョキチョキ 切るのが楽しい時期に  紙皿で作るパズル

2012-02-17 17:00:58 | 幼児教育の基本

チョキチョキとはさみを使うのが楽しくてたまらない時期の子たちと

紙皿でパズル作り。

 

紙皿に絵を描いて、好きなように切ります。

子どものリクエストに応えて絵を描いてあえて、

子どもが切る役をするのを楽しいです。


広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 18

2012-02-17 09:44:24 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

コメントで次のような質問をいただいています。

はじめまして。なおみせんせいのブログに最近偶然出会って以来、毎日読ませて頂いております。小学校受験、子育て、子供との向き合い方などのことで、色々迷いなどもがありましたが、とても参考になりましたし、深く深く感銘して、日々の接し方も大きく変わりました。ありがとうございました。オンライン教室というのは、決まった期間いつでも何回でもみられるのですか?また、是非、一度、お教室にも子供たちを連れて行きたい、と強く思いました。そのような機会を作って頂くにはどうしたら良いのか教えて下さい。

 

お問い合わせいただきありがとうございます。オンライン教材は、何回でも見ていただけるものです。

大変申し訳ありませんが、

教室のレッスンはかなり先まで予約でいっぱいなため、新規の方のレッスンのご予約はお受けしていないのです。

 

---------------------------------------------------------------------------------

 

★くんの話の続きを書く前にちょっと脱線させてくださいね。

 

 

『RDI 対人関係発達指導法』 には、

「ワシントン大学の研究で、

1歳の誕生パーティーを撮ったホームビデオのごく短い場面を分析するだけで、

90%を超える正確さで

自閉症の子どもを見分けることができることをしめした」とあります。

 

そんな幼い子の何を分析するのかというと、

経験共有の有無、

つまり自閉症の可能性の低い一般的な赤ちゃんは、

新しい物を目にしたときに

視線を親に移して、また物を見て、ふたたびよく見慣れた親をちらっと見て、また物を見て、ふたたび親の方を

眺めるということです。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

乳児は大人を参照にして、そのモノに対して取るべき情緒的反応を知り(コレ、コワクナイ?)、

そのモノの意味を理解し(コレ、ダイジ?)、

この発見からもっとも多くを得るためにはどのように関わればよいか

知ろうとする(コレ、ナンデスルノ?)。

だが、それだけではない。何か新しいモノに出会ったとき、乳児が親に

視線を移すのは、もうひとつ理由がある。

子どもが、親が自分と同じように興奮したり感嘆したりしている様子を見ることで、

発見したものについての

自分の興奮をさらに高めようとしているのである。

 

                  引用(『RDI 対人関係発達指導法』 スティーブン 

                 E.ガットステイン  クリエイツ かもがわ p87) 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

虹色教室に1~3歳の子を連れてはじめていらっしゃる親御さんのなかには、

子どもの知能を高めることやかわいらしい動作を写真におさめることには関心があるけれど、

子ども自身と情緒的なつながりを持つことに

極端なほど無関心な方がけっこういます。

 

1、2歳の子が、2時間のレッスンの間、

次から次へとおもちゃに関心をしめすものの、

お母さんが注意を促す怖い声などを出さない限り、一瞬たりとお母さんの方を

振り返ろうとしない、といったことはめずらしくないのです。

 

そうした子のなかには、先天性の深刻な問題を抱えていることを

感じさせる子もいるし、

親御さんが接し方を改めれば、気がかりなこと(言葉の遅れや多動など)は

激減するだろうと思われる子もいます。

 

わたしが、「子ども自体の問題は大きくなくて、親御さんが接し方を改める必要がある」と

判断する子たちは、

いっしょに来ているお母さんの顔はほとんど見ようとしないし、

お母さんの視線を避ける仕草を

するものの、わたしが何かを指さして注意を誘うと、そちらを見るし、

いっしょに遊びながらふざけたり、あやしたりすると、いたずらっぽい目つきでこちらを見て、

笑い声をあげたり、

その後も何かしようとするたびに、わたしの反応をうかがうようにチラチラこちらに視線を投げてくるように

なる子たちです。

そうした子らは、「子ども自体の問題は小さい」ことは確かだと思うのですが、

親御さんの抱えている問題は、

複雑で大きい場合がよくあります。

産後の鬱状態からまだ完全に回復していないとか、

親御さん自体が親から虐待を受けて育った傷が癒えておらず、

子育てに強い不安を抱いているとか、

早期教育の情報に洗脳され過ぎて、子どもが見えなくなっているなどです。

 

以前、教室にいらした2歳の女の子の親御さんに、

「子どもさんが、常にお母さんの視線をいつも避けて緊張した状態にありますから、

今は、早期教育の実践法を学ぶよりも

まず子どもとリラックスして遊べるようになることを

課題にしましょう」と提案したところ、

「どうしても、ちょっとの間も子どもの相手をするのが耐えられないのです。

でも、教材を見せていくとか、知育玩具で遊ばせるような目的があれば、

何とか子どもと過ごす時間を我慢することができるんじゃないかと思っているんです」

というお返事が返ってきて、とまどったことがあります。

その方は、「3歳までに知的なインプットをたくさんしておかなければ、

一生知恵が遅れた子になる」という情報を鵜呑みにしていて、

強い育児不安に囚われていました。

その女の子は表情が乏しく、お母さんをお母さんと認識していないような態度が気になりましたが、

わたしが関わって遊び出すと、かわいらしい笑顔が出て、こちらを遊びに誘う仕草も

するようになっていました。

 

この女の子は、お母さんとの愛着の問題を抱えているのかもしれないけれど、

「モノの世界での新しい経験を大人と分かちあったり、自分から積極的に働きかけて、

自分の発見を大人に注目させることができる」という共同注意という

他の人との視線の共有はできているという点は安心でした。

 

親子関係の希薄さの原因が、

親御さんの育て方にあるのではなく、

子ども自体が先天的に持っているハンディーによる可能性が高いとき、

誰がどのように接しても、この共同注意につながらないことがあります。

 

『RDI 対人関係発達指導法』にも次のような一文があります。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ピーター・マンディーの研究グループによると、「共同注意をはじめることができない」という兆候だけで、

自閉症の幼い子どもの80%~90%を、自閉症以外の発達上の遅れがある子どもから

見分けることができるという。

                 引用(『RDI 対人関係発達指導法』 スティーブン 

                 E.ガットステイン  クリエイツ かもがわ p88,89)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回までの記事で紹介している★くんも、「共同注意をはじめることができない」という

問題をずっと抱えていました。

★くんが3歳後半の頃、共同注意を促すためにしていた工夫を過去記事から紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2つの病院で、高機能自閉症、広汎性発達障害の診断を受けている3歳後半の★くんのレッスンでの話です。
★くんとは、これまでグループでするレッスンに何度か来てもらったことがあります。
人への興味が薄く、他人との関わり方がわからないため、
3歳くらいの男の子が好みそうなミニカーや電車での遊びも
友だちや私といっしょに遊ぶことは困難でした。
面白そうな遊びに
呼んでも来ないか、相手を見ずにいきなりおもちゃを奪い取るような乱暴に関わる姿が目立ちました。
そこで、段ボールで壁を作って、お店の窓やビー球をやりとりする穴を
作って、直接人と変わらなくても
遊びが成り立つようにすると、
友だちといっしょに遊ぶことができました。

そうした小さな成功体験は、次の成長の新しい芽になります。

今回は、少し年下の子1人といっしょのレッスンでした。
★くんは、その子も私のことにも頓着しない様子で
ままごとのコーナーに向かいました。
無関心そうに見えても、★くんの中に、こちらに対する興味や親しみが芽ばえてきているのを感じました。
私が面白そうな遊びをしてみせるたびに、
ほんの一瞬、チラッとこちらを見る程度の変化でしたが……。

その後、線路のおもちゃを出してひとりで遊びはじめた★くんは、
丸く線路をつなぎたかったのに、レールが1本足りないことに困惑していました。
「どうしてないの!」と訴えつつ、別のもので代用しようとしてみたものの
気に入らず、「ないない~」と、おもちゃの入っているいくつかの引き出しをかきまわしていきました。
私もそのレール探しに参加して、「ないね~」とやっていると、
以前は私の顔を見ようとしなかった★くんが、
時折り、言葉を発する私の顔をチラッと確認しています。
最後に、意外なところからレールが見つかって、「やったね~よかったね~」と喜び合うと、私の表情を見上げる★くんの顔いっぱいに笑顔が広がっていました。

★くんは、これまで、他の人と視線を共有する「共同注視」ができませんでした。それ以前に、相手の目や表情を見るということもほとんどなかったのです。

それが、ほんの1瞬とはいえ、私の表情を自分から確認するようになったのですから、
次に「共同注視」をうながす遊びができないかな~という期待が膨らみました。

サイコロを転がしはじめた★くんの横で、私もサイコロ代わりに穴のあいた積み木を転がしました。
「あっ、★くんが5!先生は1だ。ざんね~ん」
「あっ、★くん6だね。先生、また1だ。ざんね~ん」とオーバーに残念がっていると、数の多い少ないが少しわかっている★くんは、
私の表情を見て、私の視線の先のサイコロを見て、ふたたび私の表情を見て
キャッキャッと笑うということを繰り返しました。
私が転がすサイコロ(積み木)がいつも1しか出ないことは、
★くんをとても安心させ、楽しい気持ちにさせたようです。
でも、「どうして、1しかでないのかな?」とたずねると、
「わかんない~」と首をかしげていました。
★くんは、数はわかるし、数の大小もわかるけれど、こうした意味を問う問題はとても苦手なのです。

広汎性発達障がいの子たちに、「ごめんなさいって言いなさい」「勝手に取っちゃだめ。」「ありがとうは?」「お友だちに入れて~って言ってごらん」など言葉でコミュニケーションする方法を教える方は多いです。
けれども、
非言語の世界の
「場の雰囲気を読み、それにふさわしい行動をとったり、
相手の気持ちを察して、相手を良い気持にさせたりする」といったやりとりは、教えにくい上、こうした子たちは教えてもわからないと
捉えられている場合がよくあります。

けれども、
友だちに親愛の気持ちを行為であらわしたり、
遊びや仕事で協力したり、
視線や身ぶりで気持ちを伝えたり、
他人と歩調を合わせたりといった
広汎性発達障害の子たちが苦手な非言語の世界のやりとりは、

ひとつひとつ成功体験を積むことで、
少しずつですが、身についてくることでもあります。
私は子どもたちの姿を観察しながら、
広汎性発達障害の子たちであっても、
3人くらいまでの少人数のグループで
良い体験を積むことで、
お友だちと程良い関係が築けるようになってくるなと感じています。

それには、療育の場で、友だちと過させるというだけでは足りなくて、
いくつかの具体的なステップが必要だと感じています。

その一番最初のきっかけとなるのが、
ひとりの人に対する好感とか、愛着とか、興味を持つことです。

私は子どもとの間にそうした親しい心の結びつきを作るために、
出会ってからしばらくは積極的に誘ったり、
何かさせようとしたりしないようにしています。
子どもがこちらに心を許すより先に、
子どもをこちらの思うようにコントロールしようとすると、
それだけで、その先ずっと心を閉ざしてしまう場合もあるからです。
広汎性発達障害の子たちは、こうした他人の態度をとても怖れます。

(ケースバイケースで、場合によっては、強行手段に出ることもあります。子どもによって必要は異なります)

そうして、誘わない代わりに、その子にとって魅力的な遊びや行動を
いろいろします。
どういう遊びがその子にとって魅力的かは、
また次の機会にくわしく書きますが、
たいていの場合、親御さんはその子が嫌がる遊びをして、
「この子はブロックをさせようとしても、~しても遊びません」と言ったりします。

広汎性発達障がいの子たちは、他人であるわたしの反応が
「わかりやすい」と、私に興味をしるします。
次が予測しやすい人が安心できて好きなのです。

その子がサイコロを振れば、私もサイコロを振るとか、
私が、「そのおもちゃちょうだい」と手を差し出して、もらってから、

「あ~げ~る」とオーバーに返すといったことを繰り返すなどです。

そうして、子どもが安心して私とやりとりするようになると、
少しずつ私の行動が私として意味を持っていること、意図があることを
感じさせる行動を増やしていきます。
また、私が見ているものを、子どもも見て面白いと感じるような
場面を作っていきます。共同注視を誘うように遊ぶのです。

広汎性発達障害の子たちは、それぞれの子が
その子固有のこだわりを持っていることがよくあります。
そうしたこだわりをやめさせたい、減らしたいと考えている親御さんは
多くて、
子どもがひとつのことに熱中しはじめると、
他のことをやらせようとしたり無視したりしがちです。
でも、そこで、こだわりを助長するのでは‥‥‥という不安をいったん脇において、本人が楽しいと感じていることに、こちらも参加してみると、
それが子どもの世界を広げるきっかけとなることが
よくあります。

特に、大人がやめさせたいと思うようなこと‥‥‥
パンパン机をたたくくせや、
紙をやぶったり、ドアを繰り返し開け閉めしたり、輪ゴムを引っ張っり続けたり、
かなり大きいのにベビー向けのおもちゃで遊びたがったり、
大量のビーズを糊の中に放り込んだり‥‥‥
といったことを、ユーモアを交えて、こちらも楽しそうにやってみせるのです。(危険がないように注意)

そうして、真似ると向こうもやって、向こうがすればこちらもするという具合に
順番にするようになっていき、
次第に、「相手は次にどうするかしら?」といった期待や、思った通りでゲラゲラ笑いだすと、こちらもいっしょに期待する表情や、笑いを重ねます。
すると、子どもの側に、
ああ、他人と呼吸を合わせるってこんな感じなんだな、というコツがつかめてくるのです。
同じ場面で、いっしょに笑ったり、同じことをいっしょにする
楽しさに少しだけ気づきます。

広汎性発達障がいの子たちは、他の人がすることを見て真似るのが苦手です。
集団で過ごしているとき、お手本を見せて、
他の子たちが私の方に注目して真似ていても、
ひとりだけ自分のしたいことをしていることがよくあります。

障害特性ゆえ‥‥‥といえば、そうなのですが、
『他人のすることを見て真似る』という体験自体をしたことがなくて、
真似るってどいうことなのかわかっていない面もあります。
ですから、ごく簡単なことでも、真似るパターンを学んでいくと、
「お友だちのしているのをよく見てちょうだい。どうやってすればいいかわかるでしょ」と言うだけで、さっと態度を正せるようになってくることがあるのです。

そうした真似る体験をさせるのにも、
まず1対1で、広汎性発達障害の子のこだわりの世界に
大人の側が近づいていくというのが役に立つのです。
まず、本人の大好きな世界にこちらが共感をしめすことで、
子どもは、誰かといっしょに楽しむという体験をします。
まず大人が子どもの真似をします。
すると、自分の真似なので、子どもは興味を持つのですが、
それを見て、自分もやってみることを繰り返していると、
相手の手本を見て真似るという形に移行していくことがよくあるのです。



写真は、★くんと私の共同作品のカメラです。
この日、私が、ティッシュ箱に穴を開けていくと、★くんはチラッとこちらを見て、知らんふりでした。

が、その後で、私がサイコロを振る遊びや引き出しをかき回す「ないない」につきあって、★くんの真似をし、いっしょに笑いあうことをしたところ、

★くんは自分からこの箱を手にして、穴に目をあてて、カメラに見立てているような素振りをしました。
そこで、「カメラを作ろうか?」といってキラキラする折り紙をセロハンテープを用意すると、積極的に制作に参加しました。
★くんは、これまで工作の誘いにほとんど乗ったことがなかったのですが、
その様子からは、「他人といっしょに何かする」ことを
自分から求めているように見えました。

それから、うれしそうにポーズ。私の写真を撮ってくれています。