次のような質問をいただきました。
--------------------------------------------------------------------
色々な子に合わせた内容に楽しみにしています。特にうちの子は自閉症なので、有難く読ませていただいてます。以前の記事で言葉の遅れの子で絵本やおもちゃの誘いから逃げる子のコツの続きを楽しみに待っています。
療育では、「一人遊びさせないで、友達とは同じ空間いらられればOK」とコツまでは習得できません。
なので、物で遊ぶのが一人でも他人とでも難しいし体を使うのも長く持ちません。何気においてあるチラシの文字を読んでと言ったり、お店が興味あるので新しいものを見ると「どこで買ったの?」という質問は最近出てきました。
二階にも大きめなおもちゃがあるのですが、行きません。
ごろごろ布団やテレビと何かをするのがなく誘いも難しいです。なおみ先生。ぜひ、一人での遊びや人とのやりとり、記事の続きをお願いします。
------------------------------------------------------------------------
自閉症スペクトラムの子との遊び方は、ひとりひとり非常に異なるので、
「こういう方法がいい」と書きにくいものです。
直接、子どもさんと会って、それも何度も会ってゆっくりゆっくり親しくなる関係を作っていかなくては、
「この子にはこういった遊び方をするといいです」とは伝えられないのですが、
とりあえず、大雑把に遊びを楽しくなりたたせていくコツのようなものを紹介しますね。
たとえば、絵本を読んであげるのでしたら、
「絵本はこのように読んであげるもの」という従来のイメージを捨てることが大事だと思います。
言葉にするのが難しいのですが、
自閉症スペクトラムの子と仲良くなるには、
まずこちらのやり方も知識も全て捨て去ってゼロの状態で、
自閉症スペクトラムの子の遊び方、楽しみ方、興味、呼吸の仕方、動き方、目の動かし方、
リズムなどからこちらが学ぶ姿勢、
察する姿勢、それらの全てを受け入れつつ、それに遅れて従っていく姿勢が大事だと感じています。
こちらは普通の人間、あとらは自閉症の子という
差別的な最初から優劣をつけたような状態で付き合いはじめても、
いつまでたってもお互いに共鳴しあうことはないように思います。
まず、子どもの側のやり方から学ぶことがどうして大事なのかというと、
こちらが学べば、次にはふたりの興味が響き合う中間の活動が生まれて、
次にはあちらがこちらから学ぼうとしはじめるからです。
自閉症スペクトラムの子は、
自分からは、相手から学ぶことの大切さに気づきにくいし、学び方のコツがわかっていません。
こちらが積極的にあちらから学ぼうとすると、いっしょに何かする楽しさや大切さに気づき、
学び方についてもわかってきます。
たとえば、身体を揺らして歌うような声を出すのが好きな子でしたら、
絵本は童謡が載っているものにして、
手遊びしながら読んであげるといいかもしれません。
読みかけたところで、どんどんページをめくって
閉じてしまうのなら、
「読みかけたところでどんどんページをめくって閉じる」ということを
絵本読みに取り入れて遊びます。
そのあたりで、もう面倒になって閉じてしまいたくなる
その子の気持ちを代弁して、こちらもそのように本を読んで見せると、
笑いだして、「もっとやって!」という期待が生まれてくるかもしれません。
そうして期待が生まれてくると、
「次は~どの本にしようかな。○○」とタイトルを読みあげるときに
楽しむようになるかもしれません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コメントをいただいた方のお子さんは、お店に興味があるということなので、
できれば、その子の好みそうなスーパーマーケットとかハンバーガーショップなどを
リアルに再現したリカちゃんのドールハウスなどを購入すると
遊びの幅が広がるかもしれません。
できるだけ本物そっくりに作ってあるものなら、
それほど想像力がなくても、
ショッピングカートに果物を入れたり、レジで並んだりして遊ぶ
ごっこが楽しめるかもしれません。
また子どもと遊んであげようと思い過ぎず、
スーパーのちらしのなかから、その子の好きな食材を切り抜く作業を
子どもの近くで静かに続けて、
大人のしていることに関心を抱くという体験をさせることもできます。
そのとき、最初から呼びかけて遊びに誘うのではなく
ちらっと目でこちらを捉える程度でよしとして、
時間をかけて好奇心を育てていくことが大事です。
自閉症スペクトラムの子が大人の誘いに乗らない場合、
知らず知らずのうちに大人が
子どものペースを壊して接近しすぎていることが多いように思います。
その子が自分のペースで人との距離を縮めていけるように
大人は魅力的な提案を続けながらも
静かに待っていることが大事だと思っています。