虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自由遊びと知的発達

2010-11-30 12:50:21 | 教育論 読者の方からのQ&A
別冊日経サイエンスの01号の
自由遊びと子どもの知的発達について書かれていた記事を読みました。

記事の内容を少しだけピックアップすると次のようなものです。
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発達中の脳にとって、
サッカーや楽器の演奏といったゲームや系統だった活動をする場合と、
自由に遊ぶ場合を比べると、
自由遊びの方がよい刺激になるため重要なのだそうです。

遊びの創造的側面は、発達中の脳にとってあらかじめ決められたルールに従うよりも
ずっとよい刺激になるのです。

いくつかの研究で、子どもたちは大人と遊ぶときよりも、子どもどうしで遊ぶときのほうが、より洗練された言語を使うことがわかっているのだとか。
大人が相手だと、大人のほうが子どもの足りない部分を補ってしまうので子どもは楽をするのです。

生後4~5ヶ月の最も遊ぶ発達時期のラットを、
2週間隔離して、その後、他のラットと交わらせると、同時期に隔離されなかったラットに比べて社会的な活動がとても少なかったそうです。
別の研究では、遊びが、情動反応と社会的学習にかかわる「高位の」脳領域での神経の発達を促すことがしるされています。

戦闘ごっこをすると、新しいニューロンの成長を促進させる
脳由来神経栄養因子というたんぱく質がそうした領域で放出されることが、
2003年に報告されたそうです。

また古典的な研究では、90人の就学前児童を3グループに分け、
ペーパータオルの山やドライバー、木の板、クリップの山といった日用品で自由に遊ばせ、2番目のグループは、大人の手本どおり使い方を真似させました。最後のグループは何も見ずに自由に絵を描かせました。

10分後、品物のひとつを指してどう使うかたずねたところ、遊んだグループが他の3倍も、創造的な使い方を挙げ、創造的思考を伸ばしたと考えられました。

また、大暴れする戦闘ごっこは、社会的な問題解決のスキルを向上させる結果を生みました。

2007年に発表された研究によると、
18ヶ月から2歳半の子に積み木を与えて調べたところ、
積み木でよく遊んだ子は言語テストの得点が
明らかに高くなる結果が出たそうです。

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虹色教室では、ルールのある遊びも教えているのですが、
基本的は日常の自由遊びの幅を広げていくことを大事にしています。
自由に想像力を使って、創造的に遊んでいくための
素地を養っているのです。

(でも、記事となると、ワザや方法を伝えることも増えるため、
そうしたルールのある遊びや学習と、
自由な目的のない遊びとの間のバランスを伝えいく難しさを感じています。)

どうして、自由遊びなのに、わざわざ、その幅を大人の私が
広げようとしているのかというと、
現代の子特有の遊びの成り立たなさがあるからです。
自由になるとお友だちと、ただふらふら移動するだけで過したり、
ひとりがごっこ遊びに誘うと、もうひとりが無視して
自分のしたいことをはじめたり、
ひとりの子が友だちに母親のように指示を与え続けて遊ぶといったことが
起きているからです。

遊ぶ時、自分の心を解放し、リラックスして、
自発的に、
いろんなことをひらめいたり、想像を膨らませてお友だちと共有したり、
それを実行してみたり、工夫してみたり……ふざけたり、力の限り暴れたり……

そうした経験がないために、
子どもだけど、遊べないという子もけっこういるのです。
困った問題ですね。

そうしたとき、大人は遊び方を教えるよりも、
遊べる環境を整え、
干渉しすぎず、子どもどうし協力しあったり、適度にぶつかりあったりして、
遊べるよう見守ることが大事だと思っています。




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