虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

オーストラリアからのお客様

2010-04-09 20:50:55 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
今日はオーストラリアで暮らしている☆ちゃん、★くんが、
1年ぶりに虹色教室に遊びに来てくれました。
☆ちゃんは日本の小学1年生にあたります。オーストラリアの学校では
教科書を使わず、それぞれの子の進度に合わせて学ぶそうです。
参観に行くと、ひとりひとりの子が他の子とは異なる課題をしている
そうです。

☆ちゃんは自分が選んですることに安心感を抱いていて、
日本の一般的なこの年齢の子より
集中力や根気があるように見えます。
遊んでいる最中にうまくいかない場合に、自分で問題を解決する能力や、
目の前の課題に真剣に集中して考えるのも得意です。

海外から(それもまだ自然がたっぷり残っている地域から)来てくれる子どもたちに接していると、地頭の良さのようなものと、
「自分」というものの核がしっかりあるな~という印象を受けます。

自分が自分であることに安心している感じです。
自分が自分であることに安心している子って、
自分なりの尺度で、「成長したい」「できるようになりたい」という気持ちを外に向かって放っています。
かといって大人からの承認や評価を気にかけていません。

海外から教室に来てくれる子たちに接していると、
今、日本の子どもの生活から何が奪われているのか、気づかされます.

ぼーっとしたり、ぼんやりしたり、好きなことを好きなペースでしていると、
今の日本では、「怠けている」「時間の無駄」「非生産的」ととられがちです。
幼稚園の年少さんの段階で、今の日本の子は
とてもあわただしい日々を送っているものです。
さまざまな場で何かすることを与えられ、結果を評価されています。
また隙間の時間も子供向けのビデオなどで埋まっている子が多いです。

そのビデオが英語学習や知能アップのための質の良いもの
だったとしても、
ぼーっとする時間が減るのは事実です。

ぼーっとする時間がないということは、つまり、空想したり、想像力を膨らませる時間がないということですよね。

エセル・S・パーソンは、『人はなぜ空想するのか』という著書の中で
次のようなことを書いています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
空想する能力を身につけることは、発達課題の達成であり、この能力がなければ
活気や情熱を持てず、
ときには希望や前進力に欠けた人生を送ることになる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

海外で、日本とは全く異なる環境と時間のもとで暮らしている子たちに
接していると、
この空想する能力というか、イメージしながら考える力の高さを
感じるのです。
そのため、活気や情熱にあふれています。

幼児期に、「子どもの時間を有意義なものにしたい」「価値あるものにしたい」と気持ちが急くときには、
そうして何かさせることが
子どもの想像力の発達を妨げていないか
注意する必要がありますね。


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小学生の子に家庭学習の習慣は必要なのでしょうか?

2010-04-09 08:05:55 | 教育論 読者の方からのQ&A
コメント欄で次のような質問をいただきました。
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……私の息子も「競争がきらいで、コツコツ練習するのも嫌い、学校の宿題はぐずぐず」にあてはまります。
親としては学校の事はとやかく言わないで好きなことを思い切りさせてあげられる環境を整えることがベストなのは自然に理解できるのですが、幼児の時と違い、宿題(学校との約束)や決められた事をしなくてはいけないという場面が沢山出てくる小学校生活は、親としてはどう見守れば良いものなのでしょうか?
宿題や時間割を親も一緒にチェックしてくださいと言われます。できていないことが続くと電話もかかってきます。子どもは叱られて自分が困って学んでいく、のが良いと思うのですが、同時に親の義務みたいなものも生じ、子どもに「させなくてはならない」状況が生まれ…

うまく言えないのですが、子どもの性格やペースと、集団生活とのバランスをとるのが難しいと感じます。幼児の頃は全然悩まないでいられたのですが、小学校に入るとそのあたりが複雑に感じます。
また、幼児の時は、ワークなどはむしろ(子どもによっては)必要なしで良かったと思うのですが、小学生ではどうなのでしょうか?
学校の授業も上の空、家でのワークはもちろん好まないのですが、こういう性格だからと、小学生でも、好きなことだけをさせているのはやはりこの先危険でしょうか?
やはりよく言われる「家庭学習の習慣」は必要なのでしょうか?

私は物づくりが好きで(仕事もこの分野です)、毎日手を動かしています。子どもに強制はしないですが子どももいつも見ていますし、本人もブロックや工作は大好きです。
でもやっぱりこれだけじゃ、親としてはダメなのかなと悩む所もあります。偏ってますしね。
なおみ先生はどうお考えになるかな…と疑問がわきました。
面倒くさい奴だなーと思ったらスルーしてくださいね(笑)
一方的な話を読んでくださり、ありがとうございました。
これからも、微力ながら心から応援しています。
---------------------------------------------------------------
学校の宿題にしろ、家庭学習にしろ、
「学習によって何かをマスターさせること」と、
「自分の義務を自覚させ、責任感を育てること」というふたつの面を持っていると思います。

子どもによって、こうした習慣がつきやすい子もいるし、
毎回、宿題をぐずぐず先延ばしにしたり、宿題を忘れてしまうことも多い子がいますよね。

うちの家庭などは、親子ともども
ADD気味で、ワーキングメモリーが弱いので、
忘れっぽい上に、単純作業が極端に苦手……

きちんとしたい気持ちがあっても、「ダメだな~できてないな~」という現実に直面することがしょっちゅうです。

それでも、小学校の間は、公立のゆるめの宿題ですら、
こなすのが大変だった息子が、
今は私立の長時間の授業と大量の宿題を、それなりにこなしつつ、
受験勉強も自分で計画を立てて、「勉強自体が面白くてたまらない」といって学習に取り組んでいる姿を見ると、

「できない」「うまくいかない」「失敗」「ミス」にぶつかること自体どうってことなくて、
つまりスタート地点から完璧である必要などなくて、
「できない」「うまくいかない」「失敗」「ミス」に出会うたび、素直に
その出来事から学んで、ちょっとでも成長していけばいいんだな~という思いを抱いています。

ちょっとでも成長し続けるためには、
高いセルフ・エスティーム(自尊心)
セルフ・コンディス(自己信頼)
セルフ・コンセプト(自分についての考え)という人の核となる部分が必要です。

その3つがいい状態に保たれるように、子どもを導いていくのが親の役目かな?と感じています。

子どもによっては、嫌なことからすぐに逃げたがる子もいるし、
極端に手先が不器用で他の子のペースについていけない子もいます。
学習の理解力に他の子よりハンディがある子もいます。

前提として、能力も個性も平等ではないし、同じではないのですよね。

だから、「集団生活が始まって、学校から宿題も出る」という状態を
簡単に完璧にこなせる子もいれば、

「できない」「うまくいかない」「やりたくない」「ミスばかり」という子もいますし、だからといって別に怠けているわけではないのですよね。
むしろ、らくらくこなしている子より、苦しんでいる量は大きいかもしれません。忘れて叱られることが続いていたとしても。

ただ、そこで、大人の対応が、子どもの自尊心や自己信頼や
自分についての考えへの自信を失わせたり、揺るがせたりするものだと、
つまり「また~?」「いつも、あなたは~」「ダメな子」「どうして~なの?」というモードだと、
子どもは「反省」ではなく「自己嫌悪」におちいることを
覚えていくのではないでしょうか?

子どもが自己嫌悪におちいって、
自分を責めて、
落ち込んで、現実から目をそらして、
「強制的に叱られないとできない」
というパターンに甘んじるように、導いてしまうのはよくないですよね。

心理セラピストのリズ山崎さんが、こんなことを書いていました。(要約させれいただきます)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

何か失敗してしまったとき、自己嫌悪におちいる人は多いと思います。
「反省」する素直さはないけど人並みの良心はある、という人が自己嫌悪におちいりがちです。

人間がおこなう精神活動のなかで、「自己嫌悪」ほど
非建設的で無責任なものはありません。
自己嫌悪を心理的に見てみると、「自分はこんなに苦しんでいる。だから許されてもいいだろう」と勝手に安心しているところがあるんですね。
自虐的安心感を得ているのです。
「自己嫌悪」などといった無責任なことはせず、
どんなに自分がまずかったか「反省」をしましょう。
反省する際に大切なのは、失敗したことや、失敗したときに感じた
気持ちをゃんと自分で受け入れ、許してあげること。
フォローも、その土台あってこそ、建設的なものになります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

相談者さんのお子さんの
「競争がきらいで、コツコツ練習するのも嫌い、学校の宿題はぐずぐず」という性質が、
これまでの失敗体験の挫折感からきているのか、
不器用さといった能力からきているのか、
がんばることに抵抗があるという個性からきているのか、
勉強は面白くないという思い込みからきているのか、で
対応そのものはずいぶんちがうとは思います。

ただ、どれであっても、
最終的に、宿題を先延ばししてしまう自分や、
勉強をめんどうだな~と感じる自分に対して
自己嫌悪を感じるのでなくて、
素直に、
「自分にはそういう欠点があるな。
がんばって乗り越えていきたいな」と反省できる気持ちが持てるように
支えてあげることが大事だと思います。

高いセルフ・エスティーム(自尊心)
セルフ・コンディス(自己信頼)
セルフ・コンセプト(自分についての考え)が育つように気をつけていくと、
成長するにつれて、
自分を大切にする思いから、苦手なことにも
しっかり取り組むようになっていきますよ。

小学生の子に家庭学習の習慣は必要なのでしょうか?
という質問でしたよね。
「成長したい、向上したい」という自分があっての学習習慣ですから、
何時間する~という決め方でなく、
子どもと話し合いながら、
自分という核をしっかり育てつつ、習慣を作っていくことが
必要ではないでしょうか?
宿題をしたり、学校での学習で自分が困らないように
家庭学習をすることは、
自分に良いイメージを抱くことや、
自分を大切にすることと結びついていると思います。
小学生の子が怠けてばかりの場合、時には厳しく叱って、
強制して学習させることも必要ですよね。
ただ、叱って学習させることが習慣化して、
親が叱ってくれないと、机に向かえないという依存的な態度を定着させると
まずいわけで……。
小学生の場合、厳しさと受容と見守りのバランスを取りつつ、少しずつ手を放していく……という高度なワザがいますよね。
その高度なワザを身につける簡単な方法があります。
自分の基本の子育ての姿勢を主にして大切にしつつ、
正反対の子育てのよさも取り入れて、微調整するのです。

がんばっている人はちょっと手を抜けばいいし、
放任しすぎた人は、たまにビシッと叱ったり、少しは縛りを設けるなどして、
メリハリをつけるのです。
自分の子育てを基本にしつつ、ちょっと微調整するのは、
正反対の子育て法の間を揺れながら行き来するよりずっとうまくいきますよ。






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