虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子供を一時保育園に預けようと思っています

2009-08-30 22:42:34 | 教育論 読者の方からのQ&A
「いい反応をしてほしい 食いついてほしい~」の記事に次のようなコメントをいただきました。

常日頃、特に幼児教室なんかにいくと他の子がいい反応をしているともう本人にも直接「ほら!あれ見て」なんか言っちゃいます・・・
 今まで子供の行動を逐一観察し、行動ひとつに一喜一憂し怒鳴ったりもしてしまい、どうしてこんな小さい子に親を喜ばせる結果をもとめてしまうのだろうと思っていたところにこの記事がアップされ、現時点の子供ができる範囲を超え自分の理想ばかり追いかけ、子供の事を愛していても目の前のあるがままの姿を肯定することができていなかった自分がいることがわかりました。
子供にとって自分が自分でいていいということがわかるとそれだけで楽になるんですね。

自分自身も自己嫌悪に陥り子供を叩いてしまうようになってしまったので、子供の行動を逐一観察しないで済むように子供を一時保育園に預けようと思っているのですが(先月位から考えており夫や役場の保健師さんにも相談しました。)前の日の記事に保育園の弊害の記事もあり(もう4歳ですが・・)、子供の気づきや反応に一緒に共感してあげることができることができない、子供が集団の場で異常に緊張する内向型であることもあり自分、子にとってどうすればいいのかずっと悩んでいます。
嫌がる子供を保育園に預けるのも、自分自身が変わろうとせず自分勝手な行動ではないかと・・
子育てって考えれば考えるほど深みにはまりますね・・



子どもに期待してしまう、叩いてしまう、逐一観察してしまう、干渉してしまう、幼児教室で比べてしまう……

だから、ちょっと距離をとるために保育所に預ける

という考えは、言葉だけで考えていくなら
周囲も自分も納得させる響きがあるかもしれません。

でも現実には、「集団の場で異常に緊張する内向型であるという子」を、
初めての集団に入れるとなれば、
他の子についていけなかったり、チックや登園拒否や先生から個人的な注意を受けたり、その他のさまざまな問題が起こることを覚悟しなくてはなりません。

大らかで子育てに慣れている親御さんも
すごく悩む場合が多いです。

どうしても他の子と比べてしまうというお母さんの場合、
集団生活が苦手な子を集団生活させる場合、よほどの覚悟が必要です。

ただお子さんは4歳ですし、本来ならそろそろお母さんと離れて
お友だちと過すのも楽しくなってくる年齢ですよね。

でも私は、親御さんと子どもの関係がとても悪くて、
その問題を解決するために
集団の苦手な子を集団に入れる

というのは、それが問題の解決に結びつくのか、ちょっと気がかりなのです。
保育所の弊害の問題ではなく、

子どもさんがお母さんとうまくいっていないため、
自分や他人を信じる気持ちが育っていない
親への愛着が育っていない

という状態で、集団生活を始めることは、
子どもに大きなストレスをかけてしまい、
これまでできていたことができなくなったり、
お友だちへの攻撃になったり(ものすごくおとなしい子が豹変することがあります)
集団行動ができない、参加しない、
の原因となったりするのです。

いきなり集団に入れる前に、もしあればファミリーサポートなどに
短い時間預けてみて、親がリフレッシュするとか、

集団生活に向けて、
相談しやすい知人のフォローを受けながら親子の関係を改善していって
子どもが集団の場で異常に緊張するからちょっと緊張する

くらいにまで変化したときに集団に入れることを考えてみてはいかがでしょうか。

子どもが集団の場で異常に緊張する原因として、
お母さんとの関係もあるでしょうが、

自閉症スペクトラムに含まれる子である可能性もあります。
私が子育てに悩みを持っている親御さんや自分の育て方への罪悪感で苦しんでいる親御さんとお会いするとき、
子どもが
広汎性発達障がいやADHDなどを持っていて、
もともと非常に育てにくい子であることが少なくないのです。
育て方の問題を子どもの問題に
すりかえているようで気持ちがよくないかもしれませんが、
本当に発達障がいの子であったときには
子どもの抱える困難を理解してあげなくてはなりません。

今、とても辛いから、
集団に入れると楽になるかもしれない、
問題が解決するかもしれない

と期待するのはやめて、
自分の力で子どもとの問題を少しでいいから解決してみよう!
と決心することが、
一番いい解決法ではないでしょうか?
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写真は映画村に遠足で出かけたときのものです。




しっかり考えられる子になるための大事なこと

2009-08-30 13:31:09 | 幼児教育の基本

前回に引き続き、夏の科学クラブとブロック教室をしていて
気づいたことをお話します。

今回、たくさんの子たちと接してみて、
深刻な深刻な問題だ!!
と感じたことがあります。

それは1~3歳までの子の子育て環境が、

子どもが自分で考える
自分の感情で感じる

という仕事をほとんど奪い取ってしまうものとなっていることです。

ちょうど3歳の子たちのブロック教室をしていると、
3歳くらいの子というのは、すぐに物を奪い合うのですが、
そのたびにたちまちお母さんが
「貸してあげなさい」とか、「取ったらダメ!」とか
指示を出しているのです。

子どもには現場ですぐ教えるのが大事というのはわかるのです。
でも、はやく決着させたい気持ちと、親同士の遠慮が、
子どもから自分で考え判断する能力を奪った上、まちがった教育をほどこしている場合がよくあるのです。

☆ちゃんが★ちゃんのおもちゃを奪おうとしたとき、こんなことがありました。

たちまち☆ちゃんのお母さんが
☆ちゃんに「ダメでしょ~!」
★ちゃんがすんなりおもちゃを☆ちゃんに渡してしまって、
呆然とした顔をしていると一同「えらい~!」と言いながらパチパチパチ~!!
☆ちゃんに「ありがとうは?」
で一件落着~

これで……いいのでしょうか???

まず、★ちゃんは、次にどうすればよいか学べてませんよね。
★「ありがとう」と言えば、取ってしまってもいいのでしょうか?

また☆ちゃんは、何も考えずに
手さえ離せば褒められる
自分が我慢するのが正しい
という間違った対応を教えられてますから、今後、混乱して
自分で考えることを放棄してしまうかもしれません。

なら、こういう場面でどういう対応をすればいいでしょうか?

こういう場面って、その都度、状況によって変化します。
ちょうだい!っと欲しがってもOKな場もあれば、相手が赤ちゃんだから譲ってあげよう~という場合もあります。

まず、今の子どもの気持ちや欲求を言葉にしてはっきりさせる
認めてあげる。

ことがいりますよね。
奪おうとした子には、
「●●のおもちゃが使いたいのよね、●●したいもんね。
奪われそうになって、おもちゃをにぎってる子には、
「おもちゃ貸してほしいんだって。どうする?」
さらにぎゅっとおもちゃをにぎれば、
「今、貸したくないんだね」
最初の子に「今、貸したくないんだって」
そういって、あとは渡してしまうなり、嫌がって渡さないなり
子どもの判断にまかせます。

客観的に見ての善悪は、子どもの心の中で熟成されて
ゆっくり良い判断がくだせるように、徐々に教えていけばいいのではないでしょうか。

1~3歳の子にとって、物の奪い合いは
頭をフルで働かせるチャンスです。

でも「考えなさい」と言うのは矛盾しているのです。
指示を与えすぎず、考える子にしようと思いながら、

「考えなさい」という
指示を与えてすぐに答えを出させようとしているのですから……。

考えるという行為は
「考えなさい」と言われてするものではなくて、さまざまな場面にぶつかって
自分で解決したり、判断を下さなければならないとき、
しはじめます。
「考えなさい」という指示で考えようとすれば、
頭が空っぽになってしまいます。

それよりも子どものくだした結論が
たとえ「ベスト」でなくても、

今その子にとってそれが「ベスト」の答えなのですから、、
間違っていれば、
間違いを学ぶ良いチャンスが与えられたのだし……

といったんそれを認めることが大事なこともよくあります。

あとひとつ、「考える」ことの障害物となるものに、
「体験のともなわない知識」があります。
知的好奇心が強いことは良いことです。

でも、手で簡単なものを作るレベルに
意識を目の前の現実に向けられない子が、
大量の知識を持つことはとても危険なことでもあると感じています。
危険とまで書いたのは、私が軽度発達障がいの子らとたくさん接し、
そうしたさまざまな情報に目を通すことがあるからです。

軽度発達障がいの子の特徴は

「できることとできないことの差の開きが大きい」

ということです。

言葉は達者なのに極端に不器用、読書好きで図形はさっぱり~

すごく手先が器用なのに、言語面の発達がゆっくり、すごい作品が作れるのに言葉の理解力が弱い

といった感じです。
脳のタイプが一般的な子と少し異なるため、そうなるのです。

でも最近、親御さんが知識をインプットしようとする態度で
子どもと接していたり、語りかけ育児を誤った方法でしていたりするため、

発達障がいの子でないのに、

「できることとできないことの差の開き」が大きな子が増えているように思います。

目安として、4歳半~の子で、

知識は豊富なのに
ゴム鉄砲や簡単なコマを回すこと(ひものものではありません)ができない

場合、子どもの生活を見直す必要があると思います。
こうした子は頭が働くし、さまざまなことに敏感に気づく力があるのに、
実際には学校に入って、テキパキ動作することができなくて
自分に自信を失ってしまいます。

記憶するけれど
思考しない

という態度にもつながります。

思春期にがんばっている子 という本の中で明橋大二氏が、

大人が、もう一度遊び心をとりもどすこと。それがそのまま、子どもの
やる気を育てることになる

とおっしゃっています。
明橋氏はこんなこともおっしゃっています。

遊びに満ちていたはずの子どもの世界が、今は、指示され、命令され、強制され
る「仕事」ばかりになってはいないでしょうか。
それが子どもののやる気をそぎ、ひいては、学ぶこと、働くことに、苦痛しか感じられなくさせているように思います。