結果的には良い作品だった…。
が、脚本賞はないな〜。ノミネート止まりやな〜。
キャリー・マリガンや編集のノミネートは納得!
ということで、「スーパーノヴァ」を観に行った時に流れていた予告編を見て、めちゃ観たい!と思い、
まさかこの作品が脚本賞でオスカーを獲った作品だとは知らず、
単純に、予告編で流れた、ブリトニー・スピアーズの♪Toxic♪のアレンジに惹かれ、キャリー・マリガンのヴィッチな存在感にも魅了されたので、
世間での評判もすこぶる良かったので観てきました。
ぶっちゃけね、
脚本はイマイチだった。
カメラワークや見せ方は良かった!
もちろん、マリガンの演技も良かった!
途中からは、マジ萎えた。
途中から先の展開が読めたし、登場人物の心理描写もイマイチだったので、
なんでこれがオスカーなん!?と思った。
でもね、
最後まで観たら、決して悪い作品ではなかったのは確か。
途中までは良かったんだよ。役者に優しい演出だったし、何より、ワーグナーの♪愛の死♪が流れた時は最高やん!と思ったよ。
でもね、途中からマリガン演じるキャシーがライアンといちゃつき始めてから、
ニーナへの愛は何処にいったんや!?
そんなに簡単にライアンになびくか??
ライアンも、キャシーのヴィッチぶりを見てそんなに簡単に元の鞘に収まれるんか!?などなど…、心理描写イマイチでした。
ライアンがあのバーに来た時から、先の展開が読めて、まさにその通りの展開になり、
完全に飽き飽きしながら観てたんですが、
ラストの展開で、
キャシーのニーナへの愛は本物だったことが分かり、
結果的には、ワタクシの好みの展開だったので、決して悪くなかった…というわけであります。
オープニングから男達の下半身を映すカメラワークが良かった!
まさに、この作品のテーマ。
男の下半身事情だけでなく、女性も同じ。
泥酔したからレイプされて当然なのか?自業自得なのか?といった問題提起もあり、
また、社会はまだまだ権力者に有利、かつ男尊女卑の社会のまま。
昨今のMeToo運動に象徴されるように、女性が男性社会において性の奴隷化扱いされていることに真っ向から挑んだ作品でもあり、
性の奴隷化だけでなく、LGBTもテーマになっていて、
根底にはちゃんと本当の愛が描かれていたので、
決して悪くはありませんでした。
見せ方なんて、本当に役者に優しい演出でした。
レイプシーンが映像になっているわけでない、残虐なシーンがあるわけでない。
観客の想像に委ねる見せ方は良い!
日本は特に顕著だが、セックスシーンが多過ぎ!女優さんが裸になり過ぎ!っていうかそれを売りにしすぎ!そんなの熱演なんて言わないよ!今の時代は。それこそ、大人の事情が裏で働いているのが丸分かり。ま、ヨーロッパ作品も必要以上に脱ぎ過ぎ!
日本が世界に遅れているし、昔から、ぶっちゃけ江戸時代から、日本の芸能界は、アコギな商売だよ。
でもね、日本神話の歴史からすると、アマテラス様が天岩戸にお隠れになられた時、アメノウズメが裸踊りでアマテラス様に興味を引かせたことを考えたら、女優さんが裸になることは神聖なことなのかも…?アコギな世の中だから仕方ないことなのか…?とも思ってしまう。
ま、世界基準だと日本神話はただの神話に過ぎない。
でも、日本の天皇制の観点ではただの神話ではない。
話を映画に戻すと、
「プロミシング〜」は、同じ同性愛をテーマにした「スーパーノヴァ」と違って、ちゃんと同性愛に意味があった。「スーパーノヴァ」は、男女の愛と変わらない。
こちらは、具体的なシーンがある訳じゃないけど、明らかに同性愛が根底にある展開。
相手が死んだことで点となって永遠の存在となり、また神格化されることによって、よりキャシーの闇の深さがリアルに伝わってくる。
周りも二人の関係を薄々感じているが公に認めてるわけではない。しかもキャシーを精神疾患者扱いしている。
異性を好きになって普通に戻ったと思ってしまう両親の存在もリアル。
昨今のMeToo運動に象徴されるような、過去の制裁を受けてしまったターゲットの存在も時代を反映していたし、
ライアンがキャシーに、完璧な人生を送っているのか!みたいな台詞を言い放つところもリアリティーがあった。
皆キレイな人生を歩んでいるわけじゃない。少なくとも私は歩んでいない。言ってないだけで、叩けば埃がたくさん出てくるよ。制裁を受けて仕方ないこともあるし、実際に制裁を受けたこともある。
人生はお勉強だから、経験から何を学ぶかが大事だと思う。
というのも描いているので、
まんざら悪い脚本ではない。
ただワタクシ的には、キャシーとライアンがいちゃついたり、距離があいてまた縮む過程が腑に落ちなかったりしたけど、
ラストまで観たら、ライアンも所詮男ですから!というオチにもなるから、あのいちゃつきも作品の演出として、見せ方としてはアリなのかな?とは思った。
なんせ、途中からつまらないと思っていた感情が、ラストでよく出来てるかも!と仕掛けに引っかかったかと思うと、よく練られた作品だったと思う。見せ方は、本当に良かったと思う。
予告編を見た時から、マリガンの存在感に惹きつけられ、実際に映画の中のマリガンは、期待を裏切らない素晴らしい存在感がありました!
日中はカフェの店員として無愛想に働き、夜はヴィッチな装いに化け、泥酔をしたふりをして下心丸出しの男たちを制裁する様が、ダークヒーロー的でまるでアニメの実写化を観てる感覚でした。
ラストで、キャシーのニーナへの愛が本物だと分かる演出や、キャシーの覚悟がオーラスで伝わってくるので、見せ方は本当に良かった!
ダークな内容なのにポップな音楽で空気を重くさせない、一見コメディ?と思わせるような演出とか、アメリカの典型的なソープドラマを観てるような味わいもあり、女性監督ならではのセンスが随所に散りばめられていて視覚的聴覚的にも見応えはあった。
マリガンの、レオと共演した「華麗なるギャツビー」の時の可愛らしさと違って、あまりにもヴィッチ過ぎて、しかもハスキーボイスが更にキャシーの深みを与えていて、化粧や衣装によって七変化する様が超魅力的だった!
なんせ、デイジーの面影が全くない!!
直接制裁するシーンがないし、ニーナとのシーンもない、役を膨らませるシーンがないのに、完全にマリガンの役作りだけで、キャシーの過去や闇を想像させる演技、そして、ライアンに出会った時や一緒にいる時のライアンを見つめる乙女の目とか、本当に役作りが素晴らしかった!
マリガンの演技だけでも観る価値あり!
めちゃネタバレしてるので、これからご覧になられる方は、ごめんなさいm(_ _;)m