めぐりあう時間たち by METライブビューイング

2023-02-09 00:10:26 | シアターライヴ
これってオペラなん!?

ミュージカル感覚で観てた。

いやー、オペラに対する偏見を覆すくらいめちゃくちゃ良かった!

っていうか、まさか泣けるとは思わなかった!

ということで、ネットニュースの告知で主演3名さんのヴィジュアルを見た時からからめちゃくちゃ観たかったので、行きたい神社があったので京都の映画館で観てきました。

今年はニコールイヤーか!?といわんばかりにニコール関連作品が日本で観られる!

先日のノースマンや8月のムーラン・ルージュ、そして本作。あと、4月に藤田俊太郎さん演出のラビットホールもあった!

ま、ノースマン以外はニコールとは直接関係ないので、間接的ニコールイヤーって感じですかね??藁



差別発言して申し訳ないですが、ミュージカル好きでビジュアル至上主義人間で、オペラに対してめちゃくちゃ偏見がある私でも、これなら何度でも観たくなるくらいめちゃくちゃ良かった!

昨日の月組もそうだけど、やはり生オケはめちゃくちゃ臨場感がある。

宝塚にはオーケストラがあるんだから、足りない楽器があるのかもしれないが、うたかたの恋も♪美しく青きドナウ♪を生オケで演奏したほうが断然臨場感が出ると思うんよね…。映像だと分かりにくいけど、劇場内だと明らかに録音だと分かるのでそれだけで気持ちが冷めてしまう。これって私だけ???

本作はライブビューイングだから映像ものだけども、明らかに生オケならではの迫力が伝わってきて、また、声楽と相まって素晴らしいハーモニーを醸しだしていて尚一層世界観に浸れた。

なんてたって、主役3名さんの表現力がめちゃくちゃ素晴らしい!

オペラって、演者は俳優ではなくて歌手と呼ばれているから声量があればいいと思っていたけど、彼女らの歌声には役の気持ちが込められていて、もはや歌手ではなく女優さんの表現力でした。

ぶっちゃけ、ヴィジュアルも映画のイメージのままのお三人さんだったので、全く違和感なく自然に世界観に入ることができた。

オペラ座の怪人のファントムじゃないけど、ヴィジュアルは大事だと私は思う。

くれぐれも太っているからヴィジュアルが悪いと言いたいのではなく、役のイメージがあるわけだからね。栄誉失調で瀕死の状態なのに太っていたらおかしくないかい?←めちゃくちゃ偏見に満ちあふれています。m(__)m

その点、リチャードを演じられた方は、エイズ発症前と後で体型を変えていたのは素晴らしかった!


映画は映画で、キャスト陣の演技力はさることながら、音楽がピカイチで編集も冴えていて素晴らしかったけども、ぶっちゃけニコールが主演なのはいささか疑問ではあったが…。

オペラはオペラで、映画では困難な表現を可能にしており、時代が違う主人公3人を同時に見せたり絡ませたりと演出が冴えてました。

しかも、映画よりもめちゃくちゃメッセージ性があり、ラストはマジ泣けた!

欧米文化の慣わしなのか、エリザベートのようにトートらしき死神、スーツを着ていたが間違いなく死神であろう人物を登場するのも印象的でした。

舞台美術や転換も素晴らしく、映画を観ているときと同じ感覚で観てた。

設定的に映画とオペラでは異なる点もありましたが、それはきっと原作重視だと思いますが、それでも全く文句を付ける箇所がない。

音楽も、まるでミス・サイゴンを観ているような、重要な見せ場となるシーンでは重低音を轟かせたりと、古典オペラでない現代作曲家による新作オペラならではの音楽表現が素晴らしかった!

インタビューでも語られていましたが、オペラは、ミュージカルもしかり、本や映画では表現できない見せ方ができるのも舞台作品だけある。

本だと二人の台詞を同時に読むことはできない。1行ずつ順番がある。

映画だと二人の台詞を同時に聞くことは出来ない。何を喋っているのか分からない。

オペラやミュージカルなら、重唱が可能。同時進行が可能になる。

特にこの作品は、3人の主人公の時代設定は異なるが、起こる出来事は似ている。どの時代にもダロウェイ夫人の物語に似た展開が起こる。心情も重なる部分が多々あるから同時進行で見せることは演出効果としては外せない。

映画を観た時には気づかなかったヴァージニア・ウルフとリチャードがなぜ自殺したか。

オペラを観て、自分よがり、生きることが辛くての自殺ではなく、自分のせいで愛する人の自由を奪っていることが辛くて仕方ないのだ。自分さえいなければ、もっと望み通りの人生を歩めるはず。愛するが故の決断でもある。

だから、映画では不可能だった、主人公3人が肩を並べて歌うシーンで、自分自身の過去という殻を破って自由選択で生きていくことの尊さを語った歌に涙涙。

だれもが苦しい現状から抜け出したくて出口を探し彷徨っている。

その出口が自死であったヴァージニア・ウルフとリチャードであったが、自由選択と自由意志、魂の自由で生きていくことで出口が見つかることをメッセージとして伝えている3人の歌がめちゃくちゃ響いてきた。

円盤が欲しくなるくらいめちゃくちゃ良かった。

ライブビューイングは明日9日までですが、東京ではまだまだ観れるようなので、映画を観たことある方は是非オペラ版も観てもいたい。