「蜘蛛伝」「源氏物語~夕顔の章~」

2011-09-20 23:20:05 | 舞台
とんちゃん見たさに行って参りました。

舞踊と朗読のコラボ…?正直観るまではこの二つがどう結びつくのか全くイメージがつきませんでした。意外な組合せに正直朗読で舞えるの…?って思っていました。

実際のところは朗読と舞踊は別々でしたので全く違和感ありませんでした。

第一部は朗読なしの舞踊「蜘蛛伝」

これは私が勝手にイメージしたことなのですが、ストーリーは…、

石蜘蛛仙人の元に実は妖術使いの旅の女・柳花君が宿を借りにやってくる。この柳花君は仙人の秘伝の絵巻を盗もうと企んでおり、持参していた酒を仙人に飲ませ、舞を舞って仙人に享楽を味あわせ、心地よく眠りにつくのを狙って絵巻を盗もうとしたが、眠りについていた仙人が目を覚まし柳花君の企みがバレて(初めからバレていたかも)、お互い妖術(?)を使って争う(スパイダーマンみたいに手から蜘蛛の糸飛ばす演出は圧巻!)。結局柳花君が勝って絵巻は奪われるといった感じのイメージ。

この柳花君を演じた藤間勘十郎さんは袴姿で男の姿のまんまで、どこから見ても男なんですが、私には化粧をした坂東玉三郎さんがそこに舞っているように見えました。イマジネーションがフルに活用してしまって勘十郎さんの舞にかなり魅入って見てしまいました。

勘十郎さんは始終無表情なんですが、時折見せる怪しげな笑みや見得を切る表情が本当に素晴らしくて、こんなに舞踊が素晴らしいと思ったのはそれこそ坂東玉三郎さん以来です。歌舞伎を見に行くと大抵舞踊があるのですが、こんなに魅入ったのは久しぶりです。ちなみに、ここ四年は生の歌舞伎は観てないですが…。

石蜘蛛仙人を演じた梅若玄祥さんは何もしなくてもそこにいるだけでもう十分存在感とオーラがありました。この方こそ始終無表情なんですが、動きが仙人そのものでした。

この舞踊、まさしくこれこそ「ガラスの仮面」の世界のように見えないものが見えたりして、かなりイマジネーションが掻き立てられて不思議な感じでした。具体的な衣装や化粧がない分、かなり左脳を使ったかもしれませんね(笑)

訂正:イマジネーションは右脳でした…。

歌舞伎の演目として上演しても全く違和感ないと思います。化粧と衣装を施したらもっと面白いはず。

楚々と登場した柳花君が隈取して再登場し、蜘蛛の糸を飛ばしたりなんかしたら迫力が増すと思う。

何の演目か忘れましたがたまたまテレビで見たんですが、美しく登場していた玉三郎さんが後半鬼の隈取で見得を切るシーンを思い出しました。イメージはあんな感じになるかな?

蜘蛛の糸の演出も本当拍手ものだったし、歌舞伎の化粧と衣装で観てみたいです。



休憩を挟んで第二部が「源氏物語~夕顔の章~」、とんちゃんの登場です!


とんちゃんは板付きで、黒髪で着物を着て筆で「源氏物語」を書いています。紫式部の役でした。

源氏物語に登場する女性皆が私ですみたいなことを語ります。そして夕顔の章を朗読するのですが…、それがまたとんちゃん節炸裂というか、光源氏、六条御息所、夕顔の君と声音を使って演じ分けるんですよ!

私の源氏物語の知識は宝塚の「新源氏物語」しかないんですが、まさかこの夕顔の章にも六条御息所が登場するとはつゆ知らず、とんちゃんの嫉妬に狂う御息所の狂気っぷりの台詞に「令嬢ジュリー」を観た時と同じように笑みがこぼれてしまいました。とんちゃんの計算された狂気好きです。

しのぶさんの狂気も見応えあるけど、とんちゃんも負けてないね。


てっきり物語を語るだけの朗読だと思っていたので、「弥々」の一人語りの時みたいに、とんちゃんの語り演技が見れるとは…まさかの嬉しい誤算でしたね。

着物姿を見るのが初めてというのもありますが、とんちゃんが筆で文章を書いている佇まいが童女みたいでなんか若紫みたいに見えました。立ち姿はそれこそ成人した紫の上みたいに大人なんですが、座っている時の顎をひいて下を向いている角度にあどけなさがあって意外な一面を見つけた!って感じでしたね。もしこれ、とんちゃんの計算された演出だったら、ホンマ恐るべし元タカラジェンヌです。ちなみに、とんちゃんのタカラジェンヌ時代は全く存じ上げておりません。

とんちゃんが朗読した後に勘十郎さんが六条御息所が夕顔を呪う舞を舞う流れになっているんですが(多分)、こんなこと言ったらなんですが私は御息所のキャラが好きなんですよ。実際の人間だったら好きにはなりませんが、「源氏物語」のキャラクターとしては最高のキャラだと思ってます。

「夕顔」の知識がなかったのが良かったのかもしれませんが、第二部もかなり楽しめました。。

休憩入れて90分と短いんですが、久々に歌舞伎が観たくなったのと、益々「新源氏物語」がリアルで観たくなりました!もちろん源氏はもりえちゃんで!

今日のまとめ:朗読と舞踊って…どういった経緯でコラボすることになったんやろ…?見終えた後の率直な感想です。

しのぶさんが北島マヤなら、とんちゃんは間違いなく姫川亜弓やね。二人の演技バトルがめちゃくちゃ観たくなりました!かなり昔ですが、野田さんの「真夏の夜の夢」の二人は最高!でした。生でなくテレビで観ましたが、録画しておけば良かった…(涙)

初めて玉三郎さんの舞踊(海老蔵になる前の市川新之助と共演の舞台)を観た時思ったこと:それまではずっと衣装は役を演じるための小道具だと思っていました。玉三郎さんの舞踊を観た時、衣装が体の一部のように見えました。衣装にも神経が通っているように見えました。袖の揺れ具合も表現の一部なんだとその時思い知らされました。それ以来衣装や小道具の見方が変わりました。