ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

日本語教師として・・

2020-09-10 19:51:20 | 日本語

猛暑日はなくなったものの、蒸し暑い日が続いていますね。

私はけっこう毎日忙しく暮らしています。

というのも、プライベートで外国人に日本語を教えているからです。

日本語教師の資格を取ったのは7年ほど前のこと。

3・11で福島第一原発が爆発し、日本中が放射能で汚染されるのではないか、という危機感から、もしも日本を脱出しなくてはならなくなったとき、海外で私にできる仕事は何だろう・・

と考えて、とりあえず日本語教師の資格を取ったのでした。

(あの頃は本気で日本を脱出する気だった)

そのほかにもレイキやカウンセラーの資格なんかも取りましたが、一番役に立っているのは日本語教師です。

外国人に日本語を教えるには、学校で習ってきた文法とは全く違う文法を学び直さなくてはいけません。

動詞の活用は、五段活用、上一段活用、下一段活用・・ではなく、グループ1、グループ2、グループ3と活用の形態によって分けられます。

形容詞も、イ形容詞、ナ形容詞、というように、学校文法とは全くちがう文法があるのです。

この文法は論理的でわかりやすいので、日本の学校でも取り入れるといいのではないかと思います。

プライベートレッスンで一番多いのは、JLPTテストに向けた受験対策です。

JLPTというのは、日本語が母国語ではない人向けの日本語能力試験のことで、N5~N1まであります(N5が初級でN1が最上級)。
言語知識(文字・語彙・文法)、読解、聴解といったテストがあります。

JLPTのN2に合格すると、日本で仕事が得やすくなるので、皆N2を目指すのですが、これがけっこう難しい。長文読解なんて大学受験並みです。

日本に来てたった数年の彼らが、よくここまで勉強したものだと、毎回感心します。

特にアルファベットを使っている国の人たちにとっては、漢字、ひらがな、カタカナと三種類もの文字を持つ日本語は本当にやっかいな言語です。

N2では「~かぎらず」「~のみならず」「~ばかりか」「~はもとより」あるいは「~にもかかわらず」「~とはいうものの」「~ながら」「~つつ(も)」なんて表現がざらに試験に出るのですから、それは難しい。

現在私は数人の外国人に日本語を教えていますが、それぞれとてもユニークで楽しいです。

国籍も様々で、アメリカ、オランダ、トリニダード・トバゴ、メキシコ、ドミニカ共和国、ベトナムなど多彩です。そして、皆さんとても熱心で、ぐんぐん伸びています。

外国人て時間守らないよね、とか、平気でドタキャンするよね、とか言われていますが、私の生徒たちはそんなことはない。たまにドタキャンもありますが、やむを得ない事情の時だけで、普段は至って真面目です。

彼らは、右も左もわからない外国に来てその国の言語を学ぼうとしているわけなので、必死で取り組まざるをえないのです。

言語の壁は高くて超えるのは並大抵ではありません。

現に私など、中学から英語をやっているにも関わらず、いまだにまともな会話もできずにいるのですから。

日本語を教えるために英語はどうしても必要なので、私も必死で勉強しています。日本語だけで教える方法もありますが、英語で説明できると便利だし、時短にもなります。

面白いことに、英語圏の人たちよりも、英語が第二外国語である人たちとのコミュニケーションの方が楽なのは、お互い英語がそれほど得意ではないという意識があるからでしょう。

昔読んだトーマス・マンの「魔の山」の中に、主人公の青年が美しいロシア人の女性とフランス語で会話をするシーンがありました。

この女性が乱暴に食堂のドアをバタンと閉めるシーンと、二人でフランス語で会話するシーンだけ覚えています(あとは全部忘れた)。

互いに母国語ではない第二外国語を使うからこそ、逆に通じあえる部分がある、とそんなようなことが書いてあって(たぶん。もしかすると違うかも)、当時まだ十代だった私は、へえ、そういうものなのか、と思ったのでした。

言葉というのは不思議なもので、言語それ自体よりも、ボディランゲージや声のトーンなどで伝わる部分が大きい。

だから、日本語がそれほど上手でなくても、コミュニケ―ション力のある人の日本語はなぜかよくわかるのですね。

英語もたぶん同じだと思います。

日本人はともすれば正確に文法通りしゃべろうとしますが、たとえ文法がめちゃくちゃでも案外伝わるものです。

日本語を教えていると、それがよくわかります。

だから、英語が下手でも恐れずに話すことが大事。

たった一つの言葉からでも、相手は何をいいたいのか察してくれます。

日本語の場合もそうですね。外国人が何か言いかければ、私たちは想像力を駆使して相手の意図を読み取ろうとします。

日本語を学ぶ外国人たちは皆とても勇気があり、一生懸命話そうとします。

伝えたいことがあるとき、言葉は自然と伝わるものです。

私は日本語教師の資格を取っておいて、本当によかったと思っています。

何より、70歳を過ぎても仕事ができるって本当にありがたいことです。

日本語教師に興味のある人はネットで調べてみてはいかがでしょうか。

(猫語もトライするにゃ)

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