壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『現場で生まれた100のことば』、続き

2010年05月21日 | 読書
『現場で生まれた100のことば』(小関智弘著)を読みました。その続き。

(通常の旋盤にひと工夫して、能率を上げてみせ)な、こういうのを、機械にニンベンを付けて仕事をする、って言うんだ。
(工場長の岸さん 機械部品製造 大同精機 大田区)

朝から晩まで、真面目な顔して機械につかまって、小便するのも駆け足でするような忠実そうな顔してるくせに、自分の機械に手一つ加えないどころか、ちょっと故障すればもう腕を組んでいるしか能がないんだ。仕事の上っ面だけは真面目を売りものにしながら、仕事の中身はまるで怠け者っての。ああいうズクナシにはなりたくないねえ。
(藤井幸男さん 旋盤工 大田区)

どちらも工夫が大切、ということを言っています。なお、トヨタ自動織機という、トヨタ自動車の本家があります。この社名は最初は「自働」だったんです。でも、織機の輸出を始め、英語標記が必要になった。ところが英語に「自働」に該当する単語はない。オートマチックは「自動」である。それで「自動」に変更したそうです。ニンベンを付けることの大切さ。豊田佐吉さんは、「私の作った機械はみな、動くのでなく働く機械なのに」と残念がったそうです。

知的といわれるものを、学者さんは頭脳でしか育たないと思っているようだけど、上等な知は、手や体を通して育つ。そのほうが本物じゃないかな。
(大木惠嗣さん プレス機械製造 能率機械製作所 江戸川区)

あの頃私たちはよく、こんな冗談を飛ばして笑い合ったものだ。「腹を立てたところで誰もトクしねえようなら、代わりにマラを立てることだ。そうすりゃ、かあちゃんが喜ぶべえさ」。いまを苦しむことを知っている者は、やたら泣きごとを言わない。
(『春は鉄までが匂った』<小関智弘著>)

町工場だけでなく、皆が厳しい時代。やたら泣きごとを言わず、上を向いて歩いていきたいものです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿