『職人ことばの「技と粋」』(小関智弘著)を読みました。小関さんの本は数冊しか読んだことがなかったのですが、非常に好きな作家のひとりです。
恨みにつく、という言葉があるそうです。師匠と弟子の関係を表しています。
職人には大別して三通りのタイプがいる。
まず勢いにつく人。勢いのある師匠につけばメシの食いっぱぐれなないと思って適当にやる人。
次に情けにつく職人。師匠に惚れ、とにかく言われた通りやる。
そして恨みにつく人。いい職人とは、このタイプだそうです。師匠に怒られても「ナニクソ」と頑張る。
「恨みというと聞こえは悪いけど、つまり師を超えようとするということですね。それが一番いい職人になる」と、東京の下町、浅草で「鰻禅」という料理屋を開いている村瀬保夫さんからの聞き書きです。
職人だけでなく、企業社会もそうかもしれません。バブル期は金融、少し前はトヨタやパナソニック、今はファーストリテイリング(ユニクロ)など、勢いのある業界へ人は流れます。一方、中小企業のオヤジは義理と人情で、ともすればひ弱な若者を安い給料で引っ張っていく。
中国の昔の賢人、孔子は、得意なことやできることでなく、好きなことが一番だよ、という主旨のことを言っています。ちょっと「恨みにつく」とは違いますね。
現実的には、最初は好き嫌い以前に「ナニクソ」と頑張ってやっているうちに、技術も上がり、仕事が好きにもなり、今度は自分が弟子をとれるようになる、ということでしょう。
自分のこし方を振り返り、自分の原動力は、「ライバルを打ち負かそう」「上司を超えよう」などという目の前の何か具体的な目標でなく、何か漠然としたものに対して「ナニクソ」と思うことでした。「好きでない」ということがコンプレックスでもあったのですが、「恨みについてもいいんだ」と救われた気持ちになりました。
小関智弘さんは、自身、東京の町工場が集まる大田区で旋盤工として働きながら、ルポや小説を発表されている人。たしか芥川賞候補にもなったことがあると思います。対象を見つめる温かさ、優しさが感じられる文章が、とても気に入っています。
今日は、少々、自分濃度が高い原稿になってしまいました。
恨みにつく、という言葉があるそうです。師匠と弟子の関係を表しています。
職人には大別して三通りのタイプがいる。
まず勢いにつく人。勢いのある師匠につけばメシの食いっぱぐれなないと思って適当にやる人。
次に情けにつく職人。師匠に惚れ、とにかく言われた通りやる。
そして恨みにつく人。いい職人とは、このタイプだそうです。師匠に怒られても「ナニクソ」と頑張る。
「恨みというと聞こえは悪いけど、つまり師を超えようとするということですね。それが一番いい職人になる」と、東京の下町、浅草で「鰻禅」という料理屋を開いている村瀬保夫さんからの聞き書きです。
職人だけでなく、企業社会もそうかもしれません。バブル期は金融、少し前はトヨタやパナソニック、今はファーストリテイリング(ユニクロ)など、勢いのある業界へ人は流れます。一方、中小企業のオヤジは義理と人情で、ともすればひ弱な若者を安い給料で引っ張っていく。
中国の昔の賢人、孔子は、得意なことやできることでなく、好きなことが一番だよ、という主旨のことを言っています。ちょっと「恨みにつく」とは違いますね。
現実的には、最初は好き嫌い以前に「ナニクソ」と頑張ってやっているうちに、技術も上がり、仕事が好きにもなり、今度は自分が弟子をとれるようになる、ということでしょう。
自分のこし方を振り返り、自分の原動力は、「ライバルを打ち負かそう」「上司を超えよう」などという目の前の何か具体的な目標でなく、何か漠然としたものに対して「ナニクソ」と思うことでした。「好きでない」ということがコンプレックスでもあったのですが、「恨みについてもいいんだ」と救われた気持ちになりました。
小関智弘さんは、自身、東京の町工場が集まる大田区で旋盤工として働きながら、ルポや小説を発表されている人。たしか芥川賞候補にもなったことがあると思います。対象を見つめる温かさ、優しさが感じられる文章が、とても気に入っています。
今日は、少々、自分濃度が高い原稿になってしまいました。