プロジェクトＲＳ４ ～３～

【整備工場にて】
約5日間で愛知県安城市のユタカモータースさんに届いたRS4。
オイル漏れの原因を追究すべく、エンジンの洗浄から始まり、
アイドリング、低速、中速、高速でのテスト走行を
時間をかけて行って下さったそうです。
そしてエンジンの上部を開けて検査。

最初は全く見当の付かなかった漏れの問題点は、ヘッドカバーガスケットなどの
交換で多少減少したものの、根本的な問題点は分からなかったそうだ。
時間をかけて、丁寧にテストドライブを繰り返した結果、
ある一定の条件で漏れ出すという事が判明。
そこで叩きだされた回答は、
「ヘッドに極少のクラックがあり、ここから一定の温度で漏れるのではないか？」
という結論に達した。

どうしてそんな簡単な問題が見つからなかったのか？
それはこの車の生い立ちにある。
ポルシェが存続の危機になっていた1992年頃、空いてしまった生産ラインを使って
ハイパフォーマンスエンジンを搭載したのがRS4の先代であるRS2の誕生秘話だ。
同時期に開発製造されていたメルセデスの500E（E500）も同じ事情から登場したことは
皆さんもご存じだろう。
RS2の後継として企画されたRS4は、再びポルシェ社が開発に関与したものの、
生産ラインはネッカーズウルムのアウディ工場（元NSU工場）の端にある
クアトロGmbh社製造ラインで製造されるようになりました。
バルクヘッドを中心に特殊補強されたボディーには、
コスワースチューンのV6ツインターボが半ば無理に搭載され、
270km/hでの巡航性能が与えられたスーパーマシンです。

しかし、押し込んだに近いエンジンは、ベイの中にギツギツに入っており
整備性は最悪。指どころか、整備用鏡も入らない狭さ。
ですからオイルが漏れても目視確認は皆無で、
その漏れたオイルも直ぐ真下を通るエギゾーストに直接垂れる場所だから、
あれだけの煙が出たのでしょう。

本国有識者の意見を聞いた所、

「RS系統は本物のメーカーチューニングカーです。多少スポーティーな
味付けだけのS系と比べてはいけません。所有するならスポーツクアトロを
管理する気分で余裕を持って定期的に整備しないと本当の調子は出ませんよ。」

そう、乗りっぱなしではダメですし、調子が良好でも定期的整備が
必需なスーパースポーツワゴンなのです。

【アーシング】
ユタカモータースさんと言えば、アーシングでも有名なお店です。
約3万円でワンオフ製造＆装着して下さるので、このRS4にも施工して頂きました。
アーシングは素人でも簡単に出来ますが、彼らの施工はそこいらのテキトーな
施工ではなく、欧州車経験やボッシュ診断機に基づく根拠もあります。

ポイントは、バッテリーにアーシングポイントを全て持って来るのではなく
ボディーアースをさせる事だという。詳細は別の項目で詳しく書こうと思う。

エンジンルームのアーシング
ちゃんとルーターで塗装を削って装着。

トランスミッションからボディーへのアーシング

もちろんボディーからバッテリーへのアースも重要だ。

【その他】
タイア交換や、排気センサーのトラブルも全て解消。
2か月の入院期間を経て、退院となった。

残念ながら僕の体調が悪かった事や、290kmも離れている工場での出来事なので
作業中の撮影は一切出来なかったものの、記録用に画像を取っておいて下さった。
どうやら大きな整備をする車は全てデジカメで記録しており、
プリントアウトした物は、オーナー向け説明用に渡して下さるサービスがあります。
これは長期に預けた（＝大整備）方には、本当に嬉しくなるサービスですね。


【帰路】
明らかにスムーズになったのは、タイア交換もあるものの、
アーシングの影響もあるようだ。
僕は助手席でこの車を味わいましたが、とにかくスムーズライドで
ぐっすり眠ってしまった事でも良さが分かるでしょう。
しいて言えば、ショックアブソーバーの寿命は確実に訪れており、
今後、この辺りの交換も視野に入れるべきでしょう。

問題のあったオイルの燃える臭いは出なかったものの、
再発する可能性は大であり、その時はエンジンを外しての
大整備になるでしょう。それに掛かる費用は、
エンジンを開けてみないと分からないので、
修理維持費もレンシュポルト（RS＝レーシングスポーツの意味)
なのかも知れません。
トラブルを楽しむことが出来る人にお勧めのRS4。
僕はこの車を見るだけでなく、触れる事が出来たことに
幸せを感じている今日この頃です。
（つづく）

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