レッスン中、ふとした時に説明しながら
こうこう、と連絡用のノートに
絵やポイントとなる単語をかき込んだりします。
「荒野のバラ」を弾いている生徒さんに
これは野ばらだから、お花屋さんで売られているような
大輪の八重咲きのバラではなく
苺の花みたいな、一重のシンプルな可憐なバラでねー
と描き描き。
変ホ長調の「変」は、平安時代から使われているのよー。
当時の音楽は中国から入ってきているから
音名は「宮」とか「羽」というように漢字なのね。
もともと五音しかなかったところに、半音低い音を足すため
変の字を付けて「変宮」というようにしたわけ。
と、「変ホ長調」の横に ささっとメモ。
レッスン中、外から
妙に甲高い、作ったような話し声が聞こえたので
私 「あら、オヤマみたいな声がする」
生徒「オヤマ?」
私 「知らない?歌舞伎で女役をする人を指すのだけど。
昔、歌舞伎そのものは阿国という女性が始めたのだけど
風紀上よろしくないということで、
女性の役者が禁止されたのね。
でも女役がなくては困るから、
男性が女役をするようになったの。
だからといって、そのまま野太い声で演じるのもアレなので
セリフはちゃんと高い作り声で言うのよー。
こういう漢字を書きます。
「女形(おやま)」とメモ。
ふと気が付いて見直すと
生徒さんのノートには
バラのイラストと「変宮」「女形」の字が散らばっています。
私 「…このノート、お母さんは見ないよね?」
生徒「いえ?たまに見ます。この花の絵は何?とか聞かれる」
私 「女形は消しておこうか…」
生徒「え?残しておいていいと思いますけど。」
お母さま、不安になっていないとよいのですが。