3月は卒業・別れの季節。
小学6年生・中学3年生は4月から中学生・高校生。
生活のリズムが大きく変わる時期ですから
ここが一つの境目です。
小学6年生の生徒さんの1人は、年明け早々
「中学生になったら忙しくなるし
部活をやりたい、ダンスも習いたいので
3月いっぱいでやめます」
と退会届けを出されました。
自分でやりたい事を見つけたのなら
それは応援したいので、
気持ちよく見送ろうと思いましたが
彼女にとって『ピアノを習いに来てよかった』
という感動があったのかどうか
手応えがとても薄かった事だけが心残り。
練習はさぼらず、でも特別には頑張らず
弾きたい曲はない?と聞いても「別に・・・」。
基本姿勢は「受身」で、
ほめてもひっそりと喜ぶタイプ。
淡々とレッスンに通ってきていて
まあ、こういうきっかけでやめるかも
と予想はしていましたが
せめて最後の最後くらい
「音楽の楽しさをはっきりと感じている姿」を見たい。
で
今回、本当に弾きたい曲はない?と
食い下がって聞いてみたところ
『エリーゼのために』に反応しました。
発表会が終わるまでは、余裕がないでしょうから
レッスンできる期間は実質1ヶ月。
譜読みして、ただ弾くだけなら弾けるでしょうが
弾く以上は、やはり
「人にお聞かせできる」ところまでいきたい。
『名曲』ってすごいな、と思いました。
ひそかに憧れていた曲だけに食いつきが違います。
お母さまがびっくりするくらい練習したらしく
レッスン最終日、素敵に演奏してくれました。
演奏し終えた彼女は、初めて
「とっても嬉しそうな満足顔」。
ピアノが楽しいという気持ちのままでやめるなら
きっと、いつかまた再開してくれる。
そう信じての「さようなら」です。