【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

過忙

2010-04-30 18:12:40 | Weblog
 忙しすぎると「今忙しい」という暇さえ惜しくなります。

【ただいま読書中】『とろける鉄工所』野村宗弘 作、イブニングKC 講談社、2008年、580円(税別)

 鉄の融点は約1550度。そんな温度を日常的に目の前で操っている人たち、溶接工を主人公とした「イブニング」の連載漫画です。
 「溶接」が漫画になるのか、と思ったら、なってます。街中で鉄骨の部分を妙に熱心に観察して「俺より上手い」とか呟いている・妙なところが部分日焼けしている・熱い鍋の蓋などを平気で持てる・目が焼けて涙ぽろぽろ・あちこち怪我だらけ・手は異常に汚れている……町工場(なぜか広島弁ばりばり)で働くそんな溶接工たちが過ごしている“日常”(私たちから見たら非日常)の生活を4ページずつにまとめて描いているのですが、それがなぜか笑えます。ペーソスもあります。いわゆる「専門家の日常生活」は基本的にどれも「非日常」ではありますが、溶接工のもそれなりに強いインパクトがあります。
 おまけとして、欄外に担当編集者が「いいとこのお嬢様」で登場していろいろ呟いています。まあ、これはこれで笑えます。
 09年11月2日に読んだ『目で見てわかる はんだ付け作業』では、「はんだ付けは、はんだと銅の境界に、スズと銅の合金層(金属間化合物)を形成すること」と教わりましたが、こちらでは「溶接とは、二つの材料を溶けこますこと」なのだそうです。なんだか溶接も奥が深そう。わかりやすそうな専門書を求めて、ちょっと図書館の本棚に検索をかけてみようかな。
 あ、それから、こんど鉄骨がむき出しのところを見つけたら、溶接がどうなっているのか、ちょっと観察をしてみることにします。良い溶接かどうかはたぶんすぐにはわからないでしょうが、数を見ていたらそのうちわかるようになるかもしれませんし。こういった社会を支えている部分での「良い仕事」って、やっぱり見つけてあげたい。感謝しなきゃいけませんもの。




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