【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

少女たち

2019-08-21 07:55:12 | Weblog

 私が小学生の時に読んだ「少女が主人公」の本で今も印象に強く残っているのは……「小公女」「赤毛のアン」「アルプスの少女ハイジ」……だけど一番強烈だったのは「長くつ下のピッピ」です。子供心に、彼女は“ヒーロー"でした。

【ただいま読書中】『長くつ下のピッピ』アストリッド・リンドグレーン 著、 イングリッド・ヴァン・ニイマン 絵、菱木晃子 訳、 岩波書店、2018年、1650円(税別)


 9歳のピッピ・ナガクツシタは、一人でごたごた荘に住んでいました。おっと、ひとりではありません。猿と馬が一緒ですから。
 大金持ちで怪力で、ホラ話が大好きで常識に縛られず(というか常識というものが世の中に存在していることを知らず)、いじめっ子が嫌い、という人物像は、メアリー・ポピンズの少女版(ただし、持つ「力」は魔法ではなくて“実力")といった感じです。
 「子供が一人暮らしをするのはイカガナモノカ」とやって来る警察官を文字通り手玉に取り、学校には休むために出かけ、サーカス見物では飛び入りで最高の芸をして見せます。
 ピッピの痛快な活躍を単純に楽しむだけでも良いのですが、それだともったいない。たとえばごたごた荘に忍び込んだ泥棒二人組、ピッピによってひどい目に遭うのですが、最後の最後に実に真っ当な思いをすることになります。勧善懲悪とか反逆とか、出来合いの言葉ではピッピは割り切れない(必ずあまりが生じる)と私には思えます。



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