【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

住民投票

2014-03-18 06:59:03 | Weblog

 プーチンさん。クリミアのように、日本の北の方にある島でも住民投票をして「日本に帰属したい」と言ったら、そこは“日本領土”になる、と考えて良いですか?
 待てよ、すぐに「編入」ではなくて、ハワイやテキサスのように、まず「独立」をしてから「併合願い」という手順だったら、OKなのかな。

【ただいま読書中】『星界の戰旗I ──絆のかたち』森岡浩之 著、 早川書房、1996年(99年15刷)、540円(税別)

 〈星界の紋章〉の続編です。
 3年前、〈三箇国連合軍〉が〈アーヴによる人類帝国〉に侵攻を開始、帝国はそれを迎撃、一応の勝利は収めましたが双方とも大損害を受け、帝国はかなりの領域を占領されたまま小康状態となっていました。しかし、ついに帝国は反攻を開始しました。作戦名は「幻炎(レニーヴ)」。
 〈星界の紋章〉の主人公だったラフィールは20人乗りの小さな突撃艦〈バースロイル〉の艦長になっています(アーヴとして“出世”の第一歩です)。もうひとりの主人公ジントはハイド伯爵となりさらに主計列翼翔士として〈バースロイル〉に乗り組んでいました。“あの冒険”から3年ぶりのラフィールとの出会いです。
 ここで私は一度本を置きます。「小さな艦からステップアップ」は、ホーンブロワーやボライソーで“経験済み”ですが、こちらは舞台が宇宙で登場するのがとにかく美形揃い。〈星界の紋章〉なんてもろにボーイ・ミーツ・ガール。さらに頁全体が華麗なアーヴ語の乱舞です。どうやって読んでいったら良いのか、ちょっと迷ってしまいます。ま、迷っていても話は進みません。また本を広げましょう。
 「初陣」が始まります。二人にとっては〈星界の紋章〉でくらった攻撃を逆転させた構図の戦いですが、不安と緊張と高揚感と恐怖のカクテルが二人を襲います。戦いをなんとか無事切り抜けた二人ですが、それはさらなる大きな戦いのほんの前哨戦に過ぎませんでした。
 遺伝子工学によってちょっといじくられただけですが、アーヴは人類とは“異種族”です。地表人類は、基本的に「地表」という二次元世界に生き世界を視覚というやはり二次元感覚で捉えることがメインです。それに対してアーヴは、「空間」を認識しながら生きることが当たり前で、「平面」は超光速で移動するときに平面宇宙に入るときにだけ意識します。つまり「世界観」がまるっきり異質。当然価値観も異なります。それでも共通の遺伝子を持っていて言葉も通じるわけ、という「未知の宇宙人とのファースト・コンタクト」とはひと味違った設定になっています。
 もしかしてこれって、地上で展開されるなら、「男」と「女」という“異人種”の出会いの物語なのかな。
 ともかく、人類とアーヴの会話は、かみ合っているようなかみ合っていないような、絶妙の距離感を保ちつつユーモアで彩られています。私から見たらアーヴ同士の会話もとても面白いものですが、アーヴから見たら人類同士の会話も同様に不思議なものなのでしょうね。
 激しい艦隊線が続き、ついに〈バースロイル〉も深刻なダメージを受けます。死を覚悟したジントですが、そこにラフィールが救助に駆けつけます。「そなたが死んだら、わたしが悲しむ」と。
 本書では、様々な人間模様が登場しますが、やはり〈バースロイル〉での人々の交流が密に描かれます。それをベースとして青年となったラフィールとジントの“絆”が立体的に浮き彫りにされる様を読むのは、快感です。



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