【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

測定値

2011-06-17 18:55:10 | Weblog

 東京でも細かく放射線値を測定している、とテレビニュースでやってました。もちろんやらないよりはやった方がよいのですが、二つ疑問が。
 1)値の解釈は提供されるのかな? 特に皆が知りたいのは「現在値が危険かどうか」「将来危険になるのかどうか」「たとえば昨年と比較したら増えているのか?」などではないでしょうか。単に「今の数字」だけ見ても何もわからないのではないかと思えるのですが。
 2)なんで今になって?

【ただいま読書中】『新訳・自警』新渡戸稲造 著、 渡邊毅 編訳、 PHP、2008年、950円(税別)

 本書は「自警録」として知られていますが、それは第15刷(縮刷版・昭和4年)からのことで、大正5年初版の書名は『自警』だったからそれに戻したそうです。
 著者は、自身の顔が美しくないことや気が弱いことを弱点だと意識している、と公言しています。そして「自分の弱点をすべて隠すことはできないということを心得ておけば、ずいぶん気が楽になってくる」と述べています。なんだか励まされる人生訓です。具体的な場面(たとえば渡欧して、外国人の聴衆を相手に英語で講演をしなくてはいけなくなった時のことなど)をあげ、そこで何を感じどうのようにプレッシャーに負けそうになりそこでどのように自分に何を言い聞かせたか、が生き生きと述べられます。これはなかなか参考になります。
 本書を通じて私が感じるのは、「品の良さ」「人生の幸福」「(子供時代の)理想を持ち続けること」の大切さです。波長が合わない人には単なる戯れ言でしかないでしょうが。
 そうそう、著者は表現力が豊かです。ちょっとどきっとする表現があちこちにあります。
 いくら大正デモクラシーがあったにしても「個人主義にも社会主義にも、たいへん高尚な意味を含ませることができる」なんてことを平気で言うとはすごい。あるいは、「柔和を偽善と言うなら、それと同じく剛毅もまた偽善と言える」。これまた意外な表現です。「世の中には曲げてもよい意志がたくさんあり、また意志を表示するまでもないこともたくさんあり、あるいは意志を明らかにする必要もないこともたくさんある」では私は笑ってしまいました。しかもその直後に「何ごとについても明白な意志を発表するものは、神経質かあるいは小心な厄介者である」ですから、これは誰に対する皮肉だったのでしょう?



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