【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

ツバメの飛行高度

2020-05-24 09:45:17 | Weblog

 「ツバメが高く飛ぶと晴れ、低く飛ぶと雨」という言葉があります。最近のテレビでは気象予報士が時々これを言っています。で、その理由は「ツバメのエサの虫が、晴れたときには高く、湿度が高いときには低く飛ぶから」。ところがいくつか気象予報士のブログを読んでみると、「なぜ虫がそのように飛ぶのか」についての理由が書いてありません。せいぜい「湿度が高いと羽根が動かしにくくなるのではないか」という推定だけです。
 さて、本当に湿度が高いと虫は羽根が動かしにくくなるのでしょうか? そもそも虫は天候によって飛ぶ高度が違うのでしょうか? たとえば蚊柱、最近私は見なくなりましたが、晴れの時ははるか上空で、曇りの時には地面すれすれ、でしたっけ?(記憶が定かではありません)
 必要なのは実証でしょうね。虫は湿度によってどの高度を好んで飛ぶのか。それがわかったら次は「それはなぜか」の解明、という手順でしょう。
 ところで、ツバメは本当に晴れの時には高く、雨の時には低く飛んでます? 言われたらたしかにそんな感じはしますが、こちらも実証されてましたっけ?

【ただいま読書中】『星の王子様』サン=テグジュペリ 著、 内藤濯 訳、 岩波書店、2000年、1000円(税別)
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 1945年のフランス版ではなくて、43年のアメリカ版をもとにして「サン=テグジュペリ生誕100年記念」の「オリジナル版」として出版された本です。日本で出版された『星の王子様』はすべてフランス版を底本としていますが、実は挿絵の細部がアメリカ版とはずいぶん違うのだそうです。子供時代に読んだ『星の王子様』がどんな挿絵だったかを精密に記憶しているわけではないので自分の記憶では比較検討はできませんが、約半世紀前に初めて本書を読んだときの衝撃はまだ忘れてはいません。さてさて、今回はどんな感想になるでしょう。
 初っ端から私の涙腺は緩みます。こんなに心にしみる「献辞」がついていたんですね。子供時代の私はここはさっさとすっ飛ばしていました。著者は、「子供と大人」「文学」といった時代を超える一般論と「今という時代(当時の戦争状態)」とを同時に見つめています。飛行家である著者は、文字でも時代と世界を飛んでいるかのようです。

 あっという間に“離陸”、本文を快適に“飛行”し、私は無事“着陸”して本を閉じ、一つため息をつきました。
 ジョン・ダンは人を島にたとえました(というか「人は島にあらず」と表現しました)が、サン=テグジュペリは人を星に見立てたのかもしれません。島よりも星の方が真空の宇宙空間に隔てられているだけさらに「孤独」に感じられます。だけど、サン=テグジュペリはその「孤独」を声高に強調しているようには私には感じられませんでした。もちろん望めば孤独でいることは可能です。でも、「王子様」が旅をしてきてくれたら、その孤独は破られます。あるいは、自分自身が王子様のように旅をしたら、やはり自分は孤独ではなくなるはずです。そしてその「旅」は、肉体の移動だけではなくて、魂の移動でも可能なはずなのです。

 



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