車検の代車で軽自動車に二日ほど乗りました。前回の車検の時にも別の軽が代車で、あれはずいぶんきびきび走ったので軽を見直したのですが、今回のはどうも鈍重であきらかに馬力不足の印象でした。軽と言っても色々なんですね。
【ただいま読書中】『英国脱出』リチャード・ローマー 著、 矢野徹 訳、 集英社、1978年、1200円
73年『最後通告』74年『エクソン接収』に続いて75年に発表された作品です。期せずして、私は著者のデビュー作から順々に読んでいるようです。
今回窮地に立たされるのはイギリス。イスラエルにこっそりと武器を輸出したのがばれてサウジアラビアが激怒、アラブの産油国が一致してイギリスに投資していたオイルマネーを「全額」引き上げるというのです。それも即日。これはサウジなどにとっては痛手です。巨額の損失が生じますから。しかしイギリスにとってはもっと痛手です。「破産」を意味するのですから。さらにサウジは「金がない国には原油は輸出しない」と断言します。経済恐慌+オイルショックです。英国首相はアメリカ大統領に電話をします。経済援助の懇願と同時に、大量移民の受け入れを。経済崩壊と原油不足と食糧不足に見舞われる予定の「破産した国」からは最低600万人のイギリス人が国外移住をする見込みで、その多くはアメリカを目指す予測がすでにあるのです。それを聞いてアメリカ大統領は焦りまくります。
『日本沈没』では「日本列島の住人すべて」に海外移住の必要がありましたが、こちらも大変な騒ぎです。いくら「大英帝国の絆」があるにしても、100万単位での移民を打診されたカナダもあたふたします。英語を話す人間が大量に流入することを嫌ったケベック州(フランス系の住民が多い)が、独立宣言をしそうなのです。ところがカナダ西部の州は人手を欲しがっていて、連邦が移民を受け入れないのなら自分たちは独立して独自にイギリスからの移民を受け入れる、と決議します。イギリスの災難によってカナダはバラバラになってしまいそうです。
イギリス首相は、面と向かっての交渉のため、カナダ、アメリカ、そしてイランを巡る旅に出ます。しかし飛行機が不時着。各地で暴動が起きているイギリスは戒厳令を敷き、首相抜きで難局を乗り切らなければならなくなります。アメリカを訪問しているイギリスの大蔵大臣に対してアメリカ政府は「北海油田をきちんと開発すること(イギリスにできないのなら、アメリカがするぞ)」と要求します。
さあ、大量の移民は受け入れられるのか。分裂の危機にあるカナダはどうやって州同士の関係を修復するのか。そして、イギリスはどうやってこの破産状態から立ち上がろうとするのでしょうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます