もしスポーツ界で「先輩は絶対的にエラい」のだったら、どうして最年長者がつねに世界チャンピオンではないのでしょう? というか、最初から試合も不要ですね。生年月日を比較して「勝ち負け」を競えば良い。
【ただいま読書中】『空中写真に遺された昭和の日本 戦災から復興へ 東日本編』一般財団法人日本地図センター 編集、創元社、2017年、8000円(税別)
同じ都市の同じ地域を、何年かごとの空中写真あるいは地図を並べて比較できるようにしています。
札幌市は、市の中心部です(テレビ塔が大体ページの真ん中に位置しています)。1930年(昭和5年)と1937年(昭和12年)は地図ですが、1945年6月29日は米軍の空中写真です。札幌市も空襲の対象として見なされていたということかな。私は札幌・名古屋・広島の幅100mの道路は、建物疎開によって造られた、と思っていたのですが、戦前の地図には札幌にはすでに「大通」が存在しています。おやおや、自分の想像を更新しなくては。名古屋はどうかな、と思いましたが、これは「西日本編」かな、この本にはありません。
東京は、上野、秋葉原、銀座・丸の内、新宿、渋谷が選択されています。上野や秋葉原は昭和20年4月2日の空中写真では駅周囲は焼け野原ですが、22年には一面建物に埋め尽くされています。復興のエネルギーはすごいものです。
横浜も同様で、昭和20年は焼け野原ですが、22年は建物がぎっしりになっています。
新宿では、浄水場があったところに超高層ビルが建つにつれ「長い影」がどんどん増えていくのが印象的です。
渋谷では、昭和20年の写真でずいぶん広い空き地があるので「ここも焼けたのかな?」と一瞬思って「代々木練兵場だ」とあとから気づきました。22年にここは「ワシントン・ハイツ」となり(周囲とは全然違う、実にゆとりのあるゲーテッド・シティーです)、1963年にはオリンピックの競技場の建設が行われています。都市の経過と共に写真面が少しずつ黒っぽくなっているのは、建物の高さが高くなって影が長くなったことの影響でしょう。
米国立公文書館や国土地理院から各種資料は入手可能でしょうから、「地域興し」の一環として「我が町の変遷(空中の視点から)」といったパンフレットをそれぞれの地域が作製したら、愛郷心のある人には意味のあるものになるかもしれません。私だったら、自分の故郷のものは、欲しいな。