【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

読んで字の如し〈人偏−7〉「低」

2018-11-19 07:21:57 | Weblog

「低気圧」……周辺からどんどん空気が流れ込むのに低い気圧を持続できる不思議な物体
「台湾低気圧」……台湾限定の低気圧
「低語」……低い声で語られる言葉
「低教会」……高教会より低地にある教会
「低姿勢」……心は別かも
「低次元」……たとえば21次元に対する20次元
「低燃費」……「低」が褒め言葉になる例
「低価格」……同上、ただしアベノミクス信者には嫌われる
「低所得者」……なぜかアベノミクス信者には軽視される
「低用量ピル」……ピル嫌いの人には用量の違いは無視される
「低塩醤油」……「減塩醤油」との違いが説明できます?

【ただいま読書中】『ハンガー・ゲーム(3)マネシカケスの少女(下)』スーザン・コリンズ 著、 河井直子 訳、 メディアファクトリー、2012年、590円(税別)

 ピータは「カットニスは実は危険な敵だ」と洗脳されていました。打ちのめされたカットニスですが、その代わりのように動いているのが、カットニスの妹プリムです。いつも保護されるべき対象だったはずなのに、いつのまにか自立して人々の役に立っています。というか、すでにそのように成長していたのに、それがカットニスには見えなかっただけでしょう。ピータも混乱しつつ少しずつ回復してきますが、そこでカットニスは、自分の残酷で狡猾な本性を自認し、さらにそれがピータにも知られてしまったことを知ります。
 ピータの洗脳を解くために二人であるいはチームで行われる「本当?本当じゃない?」の記憶ゲームは、ある意味「ハンガー・ゲーム」の鏡像です。人を殺す罠を見抜くことがハンガー・ゲームの真髄に位置していますが、「本当?本当じゃない?」ゲームは人の蘇生のためのゲームです。
 反乱軍の首都への侵攻も、大きな意味での「ハンガー・ゲーム」でした。特殊部隊の一員としてカットニスは戦いますが、仲間は次々死んでいきます。しかしついに戦闘が終わろうとする瞬間、惨事が。そして戦後の裁判・処刑の場面でカットニスはまたもや周囲の人間には予想外の行動に出ます。彼女にとって最初のハンガー・ゲームの時に審査員たちに対しておこなったのと同じように。あるいは2回目のハンガー・ゲームの時にも意外なところを狙ったのと同じように。
 死者数はとても多い小説ですが、カットニスは(自分が知っている限りは)それぞれの名前を言います。カットニスにとっては「○人の死者」ではなくて「○○と××と△△が死んだ」なのです。これって、大切なことですよね。人にはすべて名前と個性があるのですから。それを忘れた政治家は“カットニス"の手によってさっさと引退させられた方が良いのかもしれません。