日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

世界銀行も中国の経済成長予測を下方修正

2009-03-21 | 中国経済関連
 世界銀行が中国の今年のGDPの成長率を6.5%に修正しました。それでも、他国よりは高い成長率だという評価を受けています。

 一方これは、1980年以来最も低い成長率という事で、1989年の天安門事件直後に日本を除く欧米諸国との貿易が急激に下落した時期を下回る水準のようです。しかも、中国政府が60兆円に及ぶ投資を表明しており、これによる成長効果が4.9%も貢献するそうですので、政府の介入が無ければ1.6%成長という事になりますね。  

 1973年に始まったオイルショックの時の日本は、マイナス0.5%成長という事なので、それよりは良いのですね。唯、日本の経済成長率は上記のチャートで見られるように、1956-1973年度までが平均9.1%の成長でした。そして一人当たりのGDPは5,000ドル前後になっています。

 中国の一人当たりGDPを省別に見れば、2年前の2006年の数字で上海が8千ドル、北京7千ドル、天津6千ドル、せっ江省、広東省、山東省等中国沿岸部の各省の一人当たりGDPがほぼ同水準になっています。都市部と農村部の格差が大きいため、都市部に限ってしまえば第二級都市(四川省の成都、重慶、大連等)も当時の日本とほぼ同じ水準になっているでしょう。

 さて、日本はこのオイルショックをきっかけに、経済成長率は1974年からバブルが崩壊する寸前の1991年までの年間平均成長率が3.8%に一気に落ちています。そして、バブル崩壊以降(1992年頃から不動産価格などは下落し始めています)の平均実質成長率は1.3%。1997年以降はデフレ経済の為、物価が下がったから実質経済成長がなされているものの、名目GDPでは1997年をピークに落ち込み、2007年にようやく1997年レベルに回復したという状況です。

 この世界的経済不況はまだ1-2年は続くといわれます。日本の輸出がGDPに占める割合は20%でした。中国はそれに対して50%です。現在輸出型の事業は甚大なる影響を受けていると上海においても良く耳にします。また、それは中国企業だけでなく最終生産物をアッセンブリー基地として活用してきた日本企業を含む外資企業も同じ影響を受けています。

 中国の株価に付いては昨年相当に調整が入りました。不動産は下落傾向にあるといってもまだまだ高いのが実態です。北京政府系のディベロッパーが来年にかけてまだ下がると予測していますが、住宅に関しては、1年分の需要を賄う在庫を抱えながら、開発中の供給物件がまだまだでてきます。来年は万博が5月から半年ほど開催されますが、以前から言われていた通り万博後にどうなるのか。

 その時点で先進国経済が回復できる状況かどうかが、中国経済の鍵になりそうです。輸出型の復活がそれまでに望めなければ、不動産バブルの崩壊が始まる事になるでしょうね。

 内需は。。。国家の安定目的以外の経済効果がどこまであるのか?豊富な外貨を活用できるとは家、あまりにも貧困な農民にお水を上げてもそれが、消費につながるかというと疑問では有ります。アメリカや日本がそうであったように、結局のところ成金が消費をリードしている面は否めないのですが、現在の中国の状況では益々国内の不満を高める事になりそういう手法もとりようがないですね。
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中国で幼児教育をすべきか

2009-03-21 | 上海ライフ・子育て
 昨年上海に帰国後、3歳の息子を中国の保育園に行かせているのですが、それが妥当なのか悩むようになって来ました。というよりやはり中国で中国人の中で生活させる事事態に大きなデメリットがあるのではないかと考えるようになります。

 保育園の教育に関しては、以前授業参観の様子をご紹介しました。http://blog.goo.ne.jp/muchida3527/e/0c3cac913aac6022aaadeb665ac45fa6
まぁ、内容的にはこんな物なのでしょうが、中国の教育は戦前の日本と同様教師が学校の中では絶対権力者として振舞うようで、ずいぶん窮屈みたいですね。ここのところ息子が保育園に行くのを嫌がり、担任の2名の先生のうち1名を非常に嫌っているのが気になっています。

 まぁ、それはおいといて、保育園が4時半に終わるのですが、丁度発送作業に入る為に私自身が迎えに行く機会も良くあります。一緒に帰る途中に滑り台などが有る近所の小さな公園で遊ばせるのですが、最近気づいた息子は日本にもいましたので順番を守ってしまう。他の子達はそれを全く無視して好き勝手に割り込んでいく。

 中国にきた日本人は、中国人のマナーの悪さを色々と見る機会が多いでしょう。道端に痰を吐き散らかし、駅でもデパートでも列に並ぶ事なんてしません。それは幼児でも同じなんです。

 一時期、家族で出かける時に息子が路上にしゃがみかけてつばを吐いているときが有りました。現在住んでいる家自体が倉庫兼用のように乱雑になっている為、呼吸器系の問題があるのではないかと非常に心配しながら、妻がそんな汚い事はやめなさいと何度も注意して、今は直りました。おそらく保育園の中で友達が同じような行為をしているのでしょうと妻と話し合ったものです。上海はましな方とはいえ、やはり路に痰を吐く行為は日常的に見ます。

 ゴミに関しても、路に捨てようとするのを直させようとしてゴミ箱に入れさせるのですけど、言えば直ぐに拾って持っていくのですが、未だに投げ捨て行為事態が悪い事とは思っていないようです。まぁ、路に空き缶やら生ゴミが落ちている事の方が当たり前で、それを毎日歩きながら見ていますので。

 そして遊具では、日本でも良く公園に行っていましたので、割り込みをしようとするのを何度も行列を守るように「順番、順番」と教育していたのですが、今はそれが逆効果になってしまったようです。階段の上まで上がっても次々と割り込んでくるほかの子達に遠慮して、他の子が降りるのを待ってしまい、逆に階段からおりようとしてしまいます。

 道端で大小便を幼児にさせるのは、これはもはや常識的にみかけます。昨日は内装屋さんの店頭で、店の中で道路に向かって小便をさせている子を見てさすがにあきれました。大人の立小便も是も全く珍しくないですね、影に隠れる事もなく平気でしています。

 まぁ息子自体、親の前ではかなりの甘えっこで、一緒に外食してもレストランの中を走り回ったり、飾りを引っこ抜いたり悪戯が酷くて、マナーの悪い中国人ですら「わんぱくだ」とあきれる気質ですのでしつけが必要なのは確かなのです。

 でも、人としてのマナーや常識を学ぶに於いて、家庭教育は勿論なんですけど、学校というより社会の水準が低いと駄目なのかもしれません。皆さんも同じでしょうが、子供は親を見て育つようで、私が煙草を吸うまねをストローでしたり、ポケットに手を突っ込んであるいているとその真似をします(悪い習慣ですね)。

 子供の行動を見ていますと、親として自分自身を戒める必要性をつくづく感じるのですが、公衆道徳のかけらもない人が多い中国人の中で子供を教育するという事は、まずいのかもしれません。一方彼らが今後中国で生きていくと仮定すると、日本的な教育を受けた場合にはおとなしくて目立たない存在になり、人から蹴落とされる対象にしかならなくなるような気もします。
 
 日本の経済は今後は下り坂の可能性が高い。一方中国経済の発展も、日本以上に深刻な少子高齢化を迎えるまでのせいぜい20-30年。彼らが大人になった頃は中国は確実に下り坂になるでしょう。どっちの国人生をかけるのか。難しい選択ですが、日本人の常識からすると、やはり中国人の中だけでの教育は良くないと判断する事になるでしょうね。

 幼児期狼に育てられた子供の話があります。真実性に疑問の余地もあるようですが、幼児教育の重要性として心理学の授業では紹介されるようですね。http://members.jcom.home.ne.jp/invader/works/works_7_j.html
 何も中国人を狼というわけでは有りません。但し、中国に限らず外国は、社会的、文化的背景が異なり価値観の相違は、日本国内の差のレベルではありません。


 先にご紹介したワタミの渡辺社長のコメントに対して、「日本人の相手に対する心使い」が世界でも優位な点という事は全く同意します。でも、Made in Japanの製品ではなく、日本のソフトを外国人に求めようとした場合、少なくとも中国人に関しては同じやり方では不可能というのが私の考え方です。その背景は、中国で一番先進国に近い上海で子供を育てる人間としての上記の悩みでご理解いただけるのではないでしょうか。

 別に中国人に限らず、外国人と日本人は同じ人間ですが、肉体的にも異なり、育つ環境や教育方針、社会の価値観がまったく異なっており、日本と同じことを外国で行うには、何をどうやってするかを明確にしないと無理ですね。

 そして、日本のサービス業は、
・カルチャーギャップの重大性がわかっていない
・それを克服する一手法としてのマニュアル化の手法、ノウハウが無い
(マニュアル化に至るまでのロジカルな業務の分析が出来ない)

 そこがアメリカ企業との最大の際ではないかと思いますがいかがでしょうか?逆にここがうまく行くなら、黄色人種国家=アジアでの事業展開は様々なサービス業で十分に優位性を持って海外で成功できると思います。


 
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ワタミの中国事業はうまく言っているのか

2009-03-21 | 日本・日系企業
 ワタミの渡辺社長といえば、若手経営者のヒーローのような方で、たたきあげで比較的地味な外食産業を立ち上げられただけにおっしゃる事は勉強になることも多いです。

 日経ビジネスに掲載されていた記事を拝見したのですが、色々勉強になる一方中国事業に関するコメントは、部下が思うように機能していないというニュアンスで、苦戦しているのかなと思いました。


記事抜粋とコメント
Q 経営と現場マネジメントを勉強してきた人間が、渡邉さんの下を離れて中国や台湾に行くと、現場に行かなくなる。これは、なぜなのでしょうか。

A 僕らは現場がすべて。不振店があったら毎日行くのが当たり前です。それが、1カ月前に1回来たきりだから、私を連れて運転している時に道に迷った。当然、何を考えているのかと厳しく指導しました。

 彼らは中国の現場は中国の人に任せ、自分たちはメニューを考えたり、販売促進を考えたり、立地を選んだりして、もうヘッドクオーターに徹しているわけです。そんなことを私は教えていません。

 人間というのは楽な方に戻りたくなるのでしょうね。お客様の笑顔が俺は本当に好きなんだ、三度の飯よりもお客様の笑顔が好きなんだと言う人間じゃなければ、結局、自分がトップになった時に戻ってしまうわけです。マネジメントも分かる、現場も分かる。だけれども本当に好きなのが現場じゃないとね。頭じゃなくて経験でもない「好き嫌い」というところに最後は行き着くのです。

 だから、ワタミがなぜ伸びてきたかというと、お客様の笑顔が好きだったから、どうしてもこうありたかったからというのが、実は最後の理由であり、そこが根幹です。そういう面から言えば、外部から来た経営の分かっている人間に任せられるわけがないのは確かなんです。

⇒多くの日本企業が実際には同じ状況かと思います。ワタミの中国関連事業の対象顧客が日本人か中国人かで一概には言えないのですけど、現場に行かない部下の事をわざわざマスコミに伝えて記事にしますかね?

 海外ですと、商品の仕入、教育、不動産物件探し、メニュー作成等のマーケティング作成に要する時間は日本国内の数倍かかるはずですが、それに応じたスタッフ構成になっているのか?

 確かに上海では遊んでいる駐在員も多いのですけど、真面目にやろうとして苦労している方も多いので一面ではとらえられません。まぁ部外者がどうのこうの言える部分ではないです。

Q 以前、幹部候補を育てる制度について伺ったことがあります。その対象だった人たちが、中国に行かれている。

A そうです。中国へも行っているし、管理会社の社長もやっています。だから彼らにとってみたら、もう嫌というほど現場が大切だと聞かされているんです。でも、いざ中国などへ私が行く機会は1年に3~4回なので、僕の目が届かないわけじゃないですか。するとこうなる。怖いですね。

⇒相当中国に派遣したスタッフにお怒りのようですね。

Q 中国での業績はいかがでしょう。

A 今回のリセッション(景気後退)で台湾や香港は少し成長が止まりますが、全体からすれば非常にうまくいっています。シンガポールはもう2店舗が決まっていますし、1カ国ごとにしっかり本格的なフランチャイズ展開も始めるため、本部機能を香港に持たせて準備をしようとしています。

⇒ワタミは香港と中国のシンセンは直営、上海はFCで展開しているようです。香港16、台湾7、シンセン2、上海2店舗(FC含む)という展開のようです。シンガポールへ出店の祖準備はできたけど、台湾、香港は決して良くない。中国はコメントが無いという事は悪いのでしょうね。

Q 外食産業は、日本の中で非常に優れた輸出産業であるという考えをお持ちですね。

A 米国的なマニュアル文化だけではサービス業はダメなんです。おもてなしの心がないといけない。相手を思う心、相手の立場で1つのサービスを決めていく能力は、日本人が非常に高いと思っています。

 だからその日本人の心のサービスと、私たちが提携している米T.G.I.フライデーズという世界最高峰のレストランビジネスのモデル、つまり科学とを合わせる。そうして日本独自の業態モデルとして海外に持ち込んだ場合には、圧勝できると思いますね。

 外食は日本国内で過当な競争を強いられているため、世界に通用するだけの競争力を持っています。また我々が海外でなぜうまくいくかというのは、売り値が高く取れるからです。要するに日本市場は、昭和40年代半ばにファストフードが日本に来た時の値付けが安すぎたのでしょうね。それからもう外食が全部安い。

 でも海外で我々の全体的な相場観からして値付けをしようとする時、例えば台湾だと、僕の感覚からいうと、単価は日本円で1000円なんですよ。単価1000円じゃないと、今の日本のワタミのバリューは出せない。だけれども競争が緩いから1300円頂けるんです。香港でも、僕の感覚からいうと、 1300円が妥当じゃないかと思います。でも競争が緩いから、1700円頂けるんですよ。

⇒この部分は、有る意味同意できる反面、この考え方で行くと典型的に失敗するパターンだと考えます。おっしゃるとおり、日本人の相手を思う心、相手の立場で考える能力は世界的にきわめて優れており、その結果として製造業の高品質の製品に結び着いて世界に誇れる製品を数々と生み出してきました。

 さて、サービス業ではどうか?

 日本では幼児教育の頃から、遊ぶのにも順番を守る、けんかをしたら相手が嫌がるからこんな事をしてはいけないよ、という教育をします。また、だいぶ薄らいだとはいえ地域コミュニティの中で有る意味相互監視のような社会が出来上がっています。

 しかし外国では??別項に記載しますが中国の教育を見る限り、相手の心を思いやるという概念は皆無に近いと思われます。そういう育ち方をしてきた(大人も)子供がどういう人間になるのか?そしてそういう風土で育った人間に対し日本的なサービスを顧客に対して提供させるには何をすべきか。

 マクドナルドでは笑顔を出すタイミングとかもマニュアル化されているそうです。日本ではそんな事一々マニュアル化することもなく、普通の日本人であれば、よっぽど不機嫌なときでない限り当然にお客さんに笑顔をだしますから、マニュアル化する必要も無いでしょう?しかし、何故アメリカではマニュアル化しているのか?中国ではどうすべきか。

 日本的なおもてなし的心を、「マニュアル化」し、「その理由を教育」し、「マニュアルに則った対応をした時しない時の信賞必罰を明確に定める」、というような事をしないと中国人は納得しないでしょう。アメリカ人も同じです。

 サービスレベルにおける日本の優位性をどうやって海外で発揮させるか。そしてそれをどうコストパフォーマンスに合わせるか。そこが最大の鍵になりますし、海外の現場に出図、日本に居たら絶対に理解できない事だと思います。

 客単価についても、顧客層が誰かによって異なってきます。日本人相手なら、通常ヨーロッパ先進国を除き、アメリカでさえ日本より物価が安く、まして企業派遣の方は一般に日本の1.5倍以上の所得を取っていますので、日本食に対して二歩二条に高額のお金を支払います。

 一方海外の人を対称にする場合、競合日本食屋との価格競争の面でどうなるかですが、香港は一般に日本より高いので値段はつけられるかもしれません、但し中国本土に関しては、食べ飲み放題で一人2000円前後ですのでそう容易ではありません。材料の確保も課題になるでしょう。その為の手間隙は、安全性のチェック等まで含めれば日本国内の数倍かかるでしょう。

Q 海外事業ではどんな展望を。

 海外については、2020年には、フランチャイズも含めて1000億円の売り上げが見込める市場だと考えています。

A まずはアジアでの展開を考えていますが、米国も不景気になってチャンスだと思いますね。景気のいい時、立地はないし、家賃は高いし、人もいない状況でしたが、今は不景気になり、状況が変わり、モールのいい場所も空いている状況です。また、企業ごと買わないかという話もあります。日本のワタミのアジアでの成功を彼らもよく知っていますからね。

⇒不況期に海外進出するというのは、正解ではありますね。まぁ、これは日本国内の出店に関しても同様だと思います。

Q 買収での事業展開を考えていますか。

A あまり、積極的には考えていません。国内の外食もいろいろと話が来ますが、やはり人がすべて。家族にするわけだから、相手が望まなくてはダメですね。

⇒これもさすがと思います。仰るとおりで、さすがだなと思わされます。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090316/189123/
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