亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

インフレと資産デフレの混在

2008年08月20日 23時06分01秒 | 金融市場の話題
買われ過ぎたものは売られやすく、売られ過ぎたものは買われやすい。リターン・リバーサルの意味するところだが、目ぼしい自律反発すらなく一本調子で売り込まれたこのところの商品市場にこそ当てはまる言葉ではないかと。ユーロもまた同じ。

週始めからNYダウで見て180ドル安、130ドル安と連続安で始まったNY株だが、またぞろ金融不安病が頭を持ち上げてきた。昨日は保険大手AIGと証券大手リーマン・ブラザーズについての損失拡大見通しが材料となったが、不動産関連の業務が目立っていたリーマンについては以前から危機が指摘され、市場の感覚としては赤信号点滅状態が続いている。昨日は株価が13%も下げ13ドル台とひと桁株価が迫ってきた。

話題の中心はファニー・メイ(連邦住宅抵当公社)、フレディ・マック(連邦住宅貸付抵当公社)の政府系住宅公社2社だが、自力の資金調達はできているものの、ここにきて資金調達コストが上昇。足元の米住宅金融の大半を担う2社のコスト上昇は、貸付金利の上昇につながりかねず、そうなると住宅市場をますます冷え込ますことになる。一部には米国財務省は公的資金注入法の具体案の検討を始めているとの見方もある。

それにしても昨日発表された米国7月のPPI(生産者物価指数)が総合で前年同月比で9.8%も上がり、否が応でもインフレ機運は高まってきた。しかし、目をマーケットに転じてみれば、株も商品市場も住宅市場も値下がりによる逆資産効果と呼ばれる資産デフレ状態が目に付く状況だ。商品市場では代表的なCRB指数に顕著だがバブルが弾けたかの様相で、一時的にしろ最後に膨れていた分野までもが縮んでしまったことで、こちらでもデフレ的な要素が出ることになる。そもそも原油の急落は、産油国に心理的なプレッシャーを掛け、これまで積極的に傷んだ欧米金融のスポンサーとなってきた行動にも影響を与える可能性がある。「値下がり」がもたらす実体経済への弊害は、日本の90年代に見られたようにデフレ的なものとなるが、それこそバーナンキFRBが最も怖がっている事態と言える。それよりも、まだインフレの方がましということだろう。この辺りの話題は、どうしても難しくなってしまう。

コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« オフ・バランス投資の清算 | トップ | 夏の平日の1日 »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
金曜日 (コシヒカリ)
2008-08-21 08:05:49
ファニーメイ フレディマック、この二社の株価が今日の20%以上の下げ。ここのところ連日です。リーマンも50億ドルの資金調達に失敗したとか。昨日、個人的に金を買いましたが、今日損切りするかもしれません。金曜日は今月に入ってすべて安い。毎日考えがコロコロ変わってしまいますが、仮に上がったとしてもしょうがないと、いったん仕切り直ししようかと考えています。
返信する
ウオール街hどこへ行く (余世人)
2008-08-21 09:05:12
初めて投稿。うまくいきますかどうか。
返信する
「ウオール街はどこへいく」記事 (余世人)
2008-08-21 09:18:32
初めて投稿うまくいきました。余世人はK先生に名古屋でお会いして、「K先生のURLを読んでいます」と声をかけた者です。その後で、K先生からのメーッセージがURLに載った。「名古屋の方がK先生のURLを読んでいてくださる」と。「8月19日の「ウオール街はどこへ行く」の記事で、「新たなファンド「KKR」(株式上場)が、大手証券を買収しても驚きはない」と。「規制を受けないファンド」「負債(レバレッジ)に頼らない経営ファンド」「元手は自社株という「通貨」で賄う。ウオール街の覇権は渦巻くと、記載。しかし、レバーレッジがない世界はおもしろくない。相場はレバレッジのこと。倍率が100倍はちと多いかもの程度問題。初めての投稿です。
返信する
「ウオール街はどこへいく」記事 (余世人)
2008-08-21 09:18:33
初めて投稿うまくいきました。余世人はK先生に名古屋でお会いして、「K先生のURLを読んでいます」と声をかけた者です。その後で、K先生からのメーッセージがURLに載った。「名古屋の方がK先生のURLを読んでいてくださる」と。「8月19日の「ウオール街はどこへ行く」の記事で、「新たなファンド「KKR」(株式上場)が、大手証券を買収しても驚きはない」と。「規制を受けないファンド」「負債(レバレッジ)に頼らない経営ファンド」「元手は自社株という「通貨」で賄う。ウオール街の覇権は渦巻くと、記載。しかし、レバーレッジがない世界はおもしろくない。相場はレバレッジのこと。倍率が100倍はちと多いかもの程度問題。初めての投稿です。
返信する
ウオール街(レバレッジ)はどこへ行く (余世人)
2008-08-21 10:46:29
ウオール街(レバレッジ)はどこへ行く。余世人はある店Aで100万円出して、レバレッジ33倍の3300万円を買っていた。3300万円が2800万円になり500万円の損になった。余世人は現在500万円を追加でさしだして600万円で頑張っている。白金7377円 金3318円 パラ2004円 など。三社で同様にしているので1500万円を追加でだしてがんばっている。6月に売り大手のSTDJ社が20000枚を新規に売ったのだが、これは余世人の買い玉に合わせてSTDJ社が売った玉である。余世人は悔やむ。あのときは買うのではなくて売ればよかったと。
返信する
Unknown (Unknown)
2008-08-21 11:09:24
ベンはヘリコプターから紙幣をばらまくでしょ。
金融信用破綻、それを救済する政府の財政悪化を解決するにはそれしかありません。
一方、鳥インフルエンザの大流行、全面核戦争でもない限り、全世界の消費力はまだまだ伸びる。
結局インフレ→商品価格高騰はまだまだつづくと思いますね。
日本のデフレが長引いたのは、中国製品増加による人件費低下が大きいと思いますよ。
返信する
誤り訂正 (余世人)
2008-08-21 18:17:55
上記で、6月限を8月に売り大手STDJ社が新規に20000枚を売り浴びせた。(各限月の取り組み表からわかる。) 余世人は売っておけば1500万円の利益だったのに。買っていたから1500万円の損金勘定。でも、損切りしていないので、Unknownさんの言葉(金融信用破綻や財政悪化を防ぐには紙幣のバラマキやインフレを行う。商品価格高騰はまだまだ続く)をよりどころにして心やすらかにしています。
返信する
心癒されます (ゴルキチ)
2008-08-22 14:07:55
余生人さんの投稿には心癒されました。
私も高値摑みが多くていつも嘆いてます。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金融市場の話題」カテゴリの最新記事