亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

1月米小売売上高とペプシコの決算

2024年02月16日 17時04分51秒 | 金融市場の話題

2月に入って以降も米経済の堅調さを示す指標の上振れで、市場では米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が後づれしており、市場が読む利下げタイミングは6月の連邦公開市場委員会(FRB)に絞られつつある。

新たな見通しの中で、発表される重要指標を吟味した市場の反応が続いている。金市場では、主にファンドのアルゴリズム(運用プラグラム)に沿う形で、発表された指標に反応する米長期金利(10年債利回り)やドル指数(DXY)に応じた売買が方向感なく日々繰り返されている。現在は利下げ観測の後送りに沿う形で、徐々に水準を切り下げる状況にある。

NY金は前日には約2カ月ぶりに、2000ドル割れを見たが、終値では心理的節目とされる水準を上回って終了した。NY金は6営業日ぶりに反発で前日比10.60ドル高の2014.90ドルで取引を終了した。

 

先週は金現物を裏付け(原資産)とする金ETF(上場投資信託)の残高の減少が目立っていることを取り挙げた。

主要米国株指数が過去最高値の更新を続ける中で、過熱を警戒しながらも暦年ベースで運用成果を問われる機関投資家の間では、持たざるリスク、買わざるリスクから株式買いを継続しているところは多いとみられる。主要国国債にしても一定の魅力ある利回り水準に達していることから、金ETFからの資金移動が進んでいるとみられる。

その見通しの背景にあるのが、米国経済のソフトランディング(軟着陸)観測の高まりがある。

 

折しも15日は注目指標のひとつ米小売売上高が発表された。先月発表された12月分が市場予想(前月比0.4%増)を上回り0.6%増と3カ月ぶりの大幅増となり、サプライズと言えるものだった。その後、発表される主要指標が米経済の堅調さを示し、歴史的な高金利にも耐性が高まっているのではとの見方につながった経緯がある。

そうした面で15日発表の1月のデータには注目していた。

結果は前月比0.8%減と、昨年3月以来10か月ぶりの大幅な落ち込みとなった。市場予想は0.1%減だった。前月比の増減率が市場予想を下回るのは23年6月以来、7カ月ぶりとなる。同時に発表された12月分の確報値は0.4%増と、速報値(0.6%増)から下方修正された。年末商戦も当初の想定ほど強くなかった可能性がある。

単月のデータだけで個人消費に一服感と決めつけることはできないが、これまで賃金上昇が続く中で、企業のコスト転嫁の値上げに耐えてきた個人消費が、そろそろ転機を迎え始めているのかもしれない。

 

こうした点で注目すべきは、企業の決算発表だが、「23年10~12月期決算では、飲料大手ペプシコが北米市場での値上げによる客離れで3年半ぶりの減収(日経)」となっていた。昨年は、値上げにもかかわらず同社は増収増益を確保していたと記憶しているのだが、消費者のスタンスが変わってきていることを表している。

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