先週末24日に米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータでは、NY金先物取引における目先筋のファンドのポジション(持ち分)は5月21日時点で603.32トンの買い越し(ネットロング)で前週比65.41トン増となっていた。
2020年4月14日の617.6トン以来の規模となる。20年4月と言えば、新型コロナパンデミックにより金融経済が大混乱に陥っていた時期でもあり安全資産として金(ゴールド)が買われた。
今回5月20日に過去最高値更新に至った背景に、欧米ファンドの積極買いがあったことを裏付けるデータと言える。 ファンドのロングの積み増しは、CTA(商品投資顧問)などモメンタム系短期筋だが、上昇加速に至った後の、利益確定ながら総売り逆モメンタムの下げ加速も同じ短期筋の投げ(損失覚悟の売り)と思われる。
それが先週の週足82.90ドル、3.4%の大幅安となった。
そもそも急騰劇の走りは、5月15日発表の4月の米消費者物価指数(CPI)が4カ月ぶりに市場予想比上振れとならなかったことだった。
9月の利下げ観測の再復活を今度こそと手掛かりにし買い上げた相場は17日時点で終値ベースで過去最高値を更新(2417.40ドル)していた。
そこに加わったのがイランのライシ大統領のヘリコプター遭難事故のニュースだった。
相場の質がイベント型上昇相場に変わり、急騰して高値更新、その後失速し急落という一般的なパターンに転じた。
NY金は大きく売り戻され振り出しに戻った形で、一転下値目途を探ることになった。
この点では急落したことでむしろファンドのポジション整理が進展したとみられる。おそらく今週末発表のCFTCデータでは、前週増加したロング(買い建て)は、そのまま減少していると思われる。
今週は自律反発ということだが、2300ドル台は維持されると見ているが、仮にそうなら注目点は下値が切り上がっていること。寄せては引く波のように強弱を繰り返す米利下げ見通しに沿って上下しながら循環的に水準を切り上げているNY金(それに沿って動く国内金価格)。
しばらく小動きで推移しながらも、次の上昇のスタート地点は切り上がっている。
次は週末の米4月個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)が注目指標で、上振れ下振れの結果がそのままゴールドを揺さぶる。