下半期の始まり7月1日のNY金は小幅に反落した。前日比0.70ドル安の2338.90ドルで終了。NY時間外を含めてレンジ相場に始終し2328.20~2348.80ドルの20ドル内の値動きで、新規の手掛かり材料待ちの中をちょうど中間の水準で終了という値動きに。
今週は労働市場を中心に経済指標が多数発表され、利下げの時期に関する手掛かりが得られると、市場関係者は期待している。ただし4日に独立記念日の祭日を控え、明日3日の債券市場は短縮取引となるなど、参加者は通常より少ないのが現状。
そうした中で1日は米長期債が売られ10年債利回りが急伸(価格は急落)した。
前週末に前日のTV討論会の結果から、トランプ前大統領の返り咲きが有望視され、大型減税など財政拡張を懸念する売りが出て10年債利回りは上昇していた。週明けの1日は、この流れが継続し一時4.496%と1カ月ぶりの水準に上昇し4.467%で終了した。この上昇が日米金利差拡大との視点からドルが買われ、ドル円相場は一時161.72円と1986年12月以来の円安、ドル高水準を記録した。
一方、金市場の方はこの米長期金利の上昇では売り圧力は高まらなかった。
というのも今週の注目指標の一つ、6月のISM(サプライマネジメント協会)製造業景況指数が予想外の低下(48.5)となり、3カ月連続で活動の後退を意味する50ポイント割れとなったことによる。なかでも価格指数が大きく低下し(5月57.0⇒52.1)、今年に入り最低水準となったことがNY金にはサポート要因となった。インフレ鈍化を示唆し、米連邦準備理事会(FRB)に利下げ転換を促すと見られたことによる。
今月末に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、今月は前半を中心にFRB高官の発言機会が増えると見られる。
先週末はNY連銀のウィリアムズ総裁がBIS(国際決済銀行)主催のパネル討論に登壇。その映像が1日に公開された。同総裁は、「金融当局が2%のインフレ目標を持続的に達成する道を進んでいると私は確信している」と語った。パウエル議長はじめFRB高官は、インフレが2%目標に低下すると確信して初めて利下げに着手することを、繰り返し表明してきただけに、注目発言ということになる。
なおポルトガルの保養地シントラにて欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムが開催されている。2日のパネル討論会にパウエルFRB議長が参加する予定となっている。過去のこの会合でのFRB議長の発言に市場が大きく反応したことがあることから、注目を要するイベントと言える。