亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

FRB理事間でも意見の割れ

2024年06月26日 17時40分53秒 | 金市場

6月25日のNY金は反落した。前日比13.60ドル安の2330.80ドルで終了した。

この日発表されたカナダの5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で2.9%の伸びと前月の2.7%から加速。市場予想も上回ったことから、カナダ銀行(中央銀行)が7月の利下げを見送るとの見方が強まったことが、米国債売りにつながり米長期金利は上昇。ドルも主要通貨に対し上昇し、レンジ内ながら金は売られやすかった。

前日の上げ幅をそのまま下げた形で、2300ドル台前半のレンジ相場が続いた。

 

一方、コンファレンス・ボード(CB)が発表した6月の消費者信頼感指数は100.4と、(下方修正された)5月の101.3から低下した。ただし、市場予想(100.0)はわずかに上回った。 労働市場については楽観的な見方が示されたほか、向こう1年間のインフレ期待も若干改善した。ただし、過去2年間のレンジ内での推移となっており、方向感は出ていない。雇用(労働市場)が安定していることが、この指数の安定の背景とみられる。

 

労働市場といえば、昨日サンフランシスコ連銀デイリー総裁の発言内容を取り挙げた。

インフレ目標2%達成のために景気抑制策を取っているが、労働市場にストレスがかかるという見方を示すものだった。その上でFRBが直面するリスクはインフレだけではないとした。

 

25日にNYのエコノミック・クラブで講演したクック理事が同様の認識を示した。

クック理事は現在の金融政策は「引き締め的」との見方を示し、「インフレが大きく改善し、労働市場が徐々に冷え込んでいることを踏まえると、(利下げは)ある時点で適切になる」とした。その上で、労働市場については、新型コロナ前の逼迫しているが過熱していない状態に戻っているとし、労働市場に対する配慮の重要性が増していると指摘した。FRBは労働市場の状況は急速に変化する可能性があると認識しているとし、「二重の責務の両面に注意を払っている」とした。

二重の責務とは、物価と雇用の安定を指す。

昨日指摘したように、FRB主流派の中ではこうした見方が広がっているとみられる。

 

一方、逆にタカ派的な発言をしたのはボウマンFRB理事だった。25日の講演で、インフレ見通しに対する幾つかの上振れリスクが見られるとし、「政策金利の引き下げが適切だという段階にはない」との見方を改めて示した。理事の間でも大きく意見が割れているのがわかる。

 

7月3日に6月のFMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨が公開されるが、意見の相違の実態が明らかになりそうだ。

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