亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

目立ちはせぬが要注目の動き(データ)あり 

2022年01月05日 21時06分37秒 | 金市場

昨日はここに「今朝見た米ABCのニュースでは、オミクロン株の米国内での1日当たりの感染者数が週平均で40万人を超えて過去最大を更新中としていた。実際に昨年末12月29日は1日で48万6428人と50万人に迫っていた」と書いたが、何のことはない、その後発表された1月3日付けのデータは広く報じられたように100万人超、約108万人と倍増となっていた。

それでも、ダウ30種は連日の最高値更新で終了となった。世界保健機関(WHO)幹部がこの日、オミクロン株が他の変異株に比べ軽度であることを示す一段の証拠が出てきているとしたことを好感し、株価は怒涛の感染拡大をやり過ごした。また、本日5日のNY時間外でも、米長期金利の6週間ぶりの高水準への上昇(一時1.686%)を嫌気して、ナスダックがやや売られている程度で、しっかりとした値動きとなっている。

NY金の方は長期金利が1.6%台後半に上昇する中で、ドル指数(DXY)も、ドル円相場が一時116.34円と2017年1月11日以来の高値を付けたこともあり、96ポイント台で高止まり状態にあるという、逆風の中にも関わらず反発ということになった。

前日の下げ幅の約半分を取り戻し1814.60ドルだった。自律反発というよりも、そもそも前日の下げが薄商いの中での金利要因でのロボットトレード(アルゴリズム)が作った一過性の売りゆえに、元の水準に戻ろうという印象の値動きとなった。

そもそも1日で100万人を超える感染というのも、いかに毒性が弱いとはいえ、隔離などもされるわけで労働の現場に影響ないことはなかろう。昨日書いように夜明け前が一番暗いということだろうが、どの程度で収束するか時間軸の問題となる。

今週末には12月の米雇用統計が発表されるが、本日はその前哨戦とも言うべきADPの全米雇用報告が予定されている。前月比で42万人程度の増加が予想されている。労働省のNFP(非農業部門就業者数)の方は、42万2000人増(ダウ・ジョーンズ)とこちらも堅調予想となっており、予想通りならば利上げに向かおうとしているFRB(連邦準備理事会)の動きを正当化するものとなる。今回は12月分のデータゆえに、オミクロン株の影響はないと思われるが、問題は1月にデータがどうなるかということになる。

したがって、収束に要する「時間軸が問題」となると思う。

気付いている向きは少ないのかもしれないが、金ETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高が、4日に4.65トンも増えた。今月からテーパリングを加速に着手し、3月までに利上げ体制を整えようとしている中で、現物由来の金ETFを仕込む投資家も存在するということ。感染力が強いとは言え、想定外の感染増を受けてのものか、それとももっと先を見ての事かは不明。目先であれば、先物を買い建てればいいので中期的なものか。

マクロ的な観点から注目したのは、同じ4日の発表された12月のISM(米供給管理協会)製造業景気指数だった。58.7と、前月の61.1から低下し、昨年1月以来の低水準となった。市場予想の60も下回った。しかし、そもそもこれまで異例の高さだったので、この程度の落ち込みは問題無かろう。59ポイント前後は好調と言える。

ポイントは、内訳の価格指数が68.2と、前月の82.4から急低下していたこと。これ2011年10月以来の大幅な落ち込みで、昨年11月以来の低水準となるもの。供給制約が和らいでいる兆候ともいえるもので、仮にそうならばFRBが “Transitory(一時的)” の文言を声明文から取り下げたところで、その兆候が表れたことになる。

面白い(興味深い)。。まぁ、どうなるか。頭に入れておかれよ。。

4日はネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、今年は2回の利上げを実施する必要があるとの見通しを示していた。

さて今夜はADPの数字がどうなるか。。

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