亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

中国人民銀7カ月連続の買い、カナダ中銀も利上げ再開のサプライズ

2023年06月08日 19時42分18秒 | 金融市場の話題

6月7日のNY金は3営業日ぶりに反落した。カナダ銀行(中央銀行)が大方の予想を覆す利上げ再開を公表し、世界的な物価上昇圧力の根強さが改めて意識された。来週の会合で利上げの一時休止を見据える米連邦準備理事会(FRB)もいずれ追加利上げを迫られるとの思惑が強まり、米国債は売りが優勢となり長期金利は上昇。NY時間の午前10時の発表後に、NYコメックスでは売りが膨らみゴールドは20ドルほど水準を切り下げた。

通常取引は、前日比23.10ドル安の1958.40ドルで取引を終了。

マネックス証券のコラムに週初今週のNY金の想定レンジを「1950ドルをやや上回る狭い範囲のレンジ相場となりそうだ。それでも利上げ見送りバイアスを考慮し、想定レンジは1950~1980ドルとしたい」と書いたのだが、ここまでのところ1953.80~1986.50となっている。

 

米金融政策を読む上で手掛かりとなる経済指標の発表のない中で、7日も前日同様に主要国中央銀行の利上げ再開が注目された。

カナダ中銀は7日、3会合ぶりの利上げを決めた。主要中銀として初めて3月に据え置きに踏み切り、4月の会合でも据え置いていたが、物価上昇圧力が根強いため、利上げを再開した。政策金利である翌日物金利は4.75%と、2001年以来の高水準に設定された。予想を上回る1-3月成長率やインフレ率上昇、住宅市場での活動回復などを理由に挙げ、「(需給バランスを均衡させ、)物価を2%の目標へと持続的に回帰させられるほど、政策金利が十分に引き締め的ではなかった」とした。 事前のエコノミスト調査では今回の利上げを予想していたのは「約5人に1人」(ブルームバーグ)とされる。

 

前日6日にはオーストラリア準備銀行(中央銀行)が2会合連続の利上げを決定。4月に据え置いた後、5月に再開していた。市場では2会合連続の利上げがサプライズとして受け止められた。1週間後に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えブラックアウト期間でFRB高官の情報発信がないため、他国の金融政策が材料視されやすくなっており、両中銀の利上げが7月以降のFRBの利上げ再開の可能性を高めるとの見方につながった。

NY時間午前10時にカナダ銀行の決定が伝わりNY金は急落したが、この日のアジアからロンドンの時間帯は前日の終値近辺の1980ドルをやや下回る水準で安定的に推移していた。 NYの通常取引に入って水準を切り上げ一時1986.50ドルまで買われ、これがこの日の高値となっていた。

 

アジア時間には中国税関総署が5月の貿易統計を発表。中国の輸出は5月に3カ月ぶりの減少となった。ドルベースで市場予想は前年同月比1.8%減となっていたが7.5%減少と予想を上回る落ち込みで、外需減速に伴って中国経済のリスクが増していることを思わせた。貴金属の中ではプラチナ、パラジウムの売り材料となる。

一方、中国人民銀行(中央銀行)がこの日発表した5月末の外貨準備の内訳によると、金の保有量は4月末から16トン増え約2092トンとなった。7カ月連続の増加となる。人民銀行の買いは国有商業銀行保有分の付け替えではないかと思う。

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