今週は市場横断的に手掛かり難と書いたが、6日のNY金は7.20ドル高の続伸で1981.50ドルとなったものの、狭いレンジ内の動きだった。NY時間外を通した1日のレンジは1970.30~1982.90ドルとまさに動意薄。
ロシアが一方的に「併合」を宣言した南部ヘルソン州で6日、ドニエプル川に設置されたカホフカ水力発電所のダムが爆破され、決壊。既に住民の避難は始まっているものの、80の町や村が水に漬かったとウクライナのゼレンスキー大統領がSNSで伝え、それが報道された。いわゆる地政学リスクの上昇にこの日の金市場はサポートされた(ロイター)との指摘もあるが、後講釈的な側面は否めず6日の値動きからはそれは感じられない。
むしろ今後の展開に注意を要すると思われる。
日本時間の午前に伝えられたニュースでは、米衛星情報会社(マクサー・テクノロジーズ)が撮影した衛星画像で、ウクライナ南部のロシア支配地域にあるカホフカ水力発電所とダムの大部分が破壊され、広範囲で洪水が発生していることが判明している。同社は「カホフカダムと水力発電所は大部分が破壊され、構造物はほとんど残っていない」としている。
この件に関し緊急の国連安全保障理事会が開かれたが、ロシア、ウクライナ双方ともに相手側を非難しており、米国は情報を収集しているところで現時点で責任の所在は明らかではないとしている。ただし、ウクライナが自国の領土と国民に対してこのようなことをするのは理にかなわないともしている。
ウクライナによる本格的な反攻が始まっているのか否かは不明だが、戦況は流動化しているのは確かで、不測の事態もありえウクライナ情勢への市場の関心も高まるとみられる。
なお、目についた金融関連ニュースとしては、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が予想外の2会合連続利上げというものがあった(豪ドル急伸)。4月は利上げを休止したが、インフレ上振れリスクを背景に予想に反する追加利上げとなった。インフレ抑制には時間がかかるとの見方が改めて意識された。
米政策金利を対象にしたフェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では、6月にFRBが政策金利を据え置く確率が79.4%になっている(いわゆるフェドウォッチ)。一方で、7月の利上げ見通しは65%となっている。 指標としてのフェドウォッチだが、こうしたセンチメント系指標は移ろいやすく急変することも多く、大勢を計る参考指標という程度の位置づけと思う。