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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、静かに(イベントレス)終値ベース最高値接近

2025年07月23日 12時43分46秒 | 金市場
7月22日のNY市場の金価格は3日続伸した。NYコメックスの通常取引は前日比37.30ドル高の3443.70ドルで終了した。

主要な米経済指標の発表のない中で、引き続きパウエルFRB(連邦準備理事会)議長の進退を巡るトランプ政権サイドの発言とFOMC(連邦公開市場委員会)を来週に控えトランプ大統領による利下げ要請発言が、金市場のサポート要因となっている。FRB(中央銀行)の独立性を侵食する発言内容が将来にわたるドルの信認の低下を連想させる。FRBには1970年代に政権の意向を反映した無理な利下げを敢行し、強烈なインフレを招いた暗い過去がある。

さらに8月1日の交渉期限が迫る米国と貿易相手の協議の進行状況を巡る不透明感も金市場には手掛かり材料となっている。6月中には合意見込みとして、かつてベッセント米財務長官が語っていたインドとの協議はいまだ話し合いがつかず難航していると見られる。また合意観測が寄せては引く波のような欧州連合(EU)との協議も難航し、EUは米国への対抗措置を検討しているとも伝えられている。期限が1週間余りに迫るがどうなるか。

22日はベッセント財務長官が来週28~29日にストックホルムで中国側の当局者と会談することを明らかにした。5月にスイスで合意した米中双方の高関税を90日間一時停止する「期限が8月12日に到来する」ことから「延長の可能性について検討することになろう」と述べている。

22日のNY金はアジア時間のスタート時から売りが先行する流れとなった。前日は約1カ月ぶりの高値となる3400ドル超で終わっていたことから、ロンドン午前からNY早朝に掛けて売り優勢の中で徐々に水準を切り下げながら相場は進行した。この間に付けた3394.90ドルがこの日の安値となった。

その後NY時間に入ると買いが先行し上げ足を速めた。売りを消化しながら相場は進行し昼前には3440ドル台に乗せ、その後は売り買いが交錯するレンジ取る引きに移行し、前述のように3443.70ドルで終了した。終値ベースでは6月13日以来約1カ月半ぶりの高値となるが、同日の3452.80ドルは終値ベースでの過去最高値でもある。当時はイスラエルによるイラン空爆に反応して付けた高値だった。当時目先筋は同日中に3500ドル台乗せから最高値更新を唱えていたが、上値は重かった。

つまり22日の終値は、6月のような、めぼしいイベントのない中で(終値ベースではあるものの)最高値に迫っていることになる。

OTC(店頭取引)と呼ばれる現物取引からNYコメックスや上海先物取引所(SHFE)、大阪取引所(OSE)などの取引所取引、さらに証券取引所での金ETF(上場投信)の取引など、全体的な金取引の規模は2022年以降急増しており、24年は1日当たり約2300億ドル(約33兆円)にも上っている(WGC調べ)。様々な不透明要因が存在するとは言え、静かに高値に接近する状況は、金市場の買いのすそ野の広がりを感じさせる。
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