報じられているように17日はFRBがさらに緊急措置を発動した。まず、企業が短期資金の調達に使うコマーシャル・ペーパー(CP)を買い入れるというもの。そんなもの別に珍しいことではないでしょ!というなかれ。発行体つまり企業からダイレクトに買い入れるところが違う。具体的には、FRBがCPの買取りをするための目的会社を設立して、そこを通すが実質的に直接買い取りとなる。CPFF(コマーシャルペーパー・ファンディング・ファシリティ)と呼ばれ、2008年のリーマンショック後の金融危機時に導入されたもの。一般的には中央銀行が直接発行体(企業)から買い取ることはなく、危機時の一時的な対応すなわち緊急避難的な措置でもある。今回は1年間の時限措置とされている。足元で各社が急速に手元資金の積み増しに走っているがゆえに起きている資金不足に対応しようというもの。
さらにもう一つ、リーマン時にこれまた緊急対応でやっていたものも復活させた。中央銀行であるFRBが直接資金を融通するのは、預金をあつかう民間銀行に限られる。20日から預金を持たない証券会社を加えることになった。もっとも、証券会社ならどこでもというわけでなく、
米国債の入札に参加している「プライマリー・ディーラー」と呼ばれる20社余りでゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどになる。これまた2008年当時、住宅ローン担保証券(MBS)市場が凍り付いたような状況の折に、緊急避難的な措置として取ったものゆえ、時限的な政策となる。今回は6カ月をメドとしている。もちろん状況を見て延長もあり得る。
こうしてみると予防的措置として万全の対応策を敷いているわけで、さすがFRBということだが、むしろ水面下でこれだけ矢継ぎ早に対応策を打ち出さねばならないことが起きているのか?との疑念もわいてくる。
この数日2度かな?書いたように、市場から水が引くようにカネが出ているイメージが強い。トランプ政権が1兆ドル(107兆円)もの超ド級の経済対策を議会に諮っていると報じられたことによると思われるが、米債が急速に売られている。10年債利回り(長期金利)は1%を超えてきた。政権が意図している政策が通るなら財政赤字が膨らむので、金利上昇は通常の流れではあろう。欧州でもマイナス0.8%台まで下げていたドイツ10年債がマイナス0.3%台まで上げてきている。新型コロナに苦しむイタリア債など一気に2%台半ばまで跳ねあがってしまった。米債の動きが加速していないので問題なかろうが、債券相場には気を付けたい。
なんせ、昨年夏にはマイナス利回りの国債が日本円にして1400兆円くらいあったのだから。本来、インカムゲイン、利息収入を目的に保有するものが、債券相場の値上がりに賭けるキャピタルゲイン狙いの取引が常態化していた経緯がある。誰が最後にババ(Joker)を引くのか、あるいは誰に引かせるのか、というような状況にあったわけで、まだゲームは終わっていない。今のところ株式市場のようなことは起きていないし、今回は起きるとそれこそ悪魔が来りて笛を吹く状態(バブル崩壊)となり財政につながるゆえに、中銀も体を張るだろう。2012年に(はるかに軽い状況だったが)、マリオ・ドラギは口先介入でやってみせたけど。
ちなみに明日はラジオNIKKEI 夕刻6時からの生放送 「マーケット・トレンド」に登場します。夜9時過ぎからも再放送もあります。rajikoで聴けます。
さらにもう一つ、リーマン時にこれまた緊急対応でやっていたものも復活させた。中央銀行であるFRBが直接資金を融通するのは、預金をあつかう民間銀行に限られる。20日から預金を持たない証券会社を加えることになった。もっとも、証券会社ならどこでもというわけでなく、
米国債の入札に参加している「プライマリー・ディーラー」と呼ばれる20社余りでゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどになる。これまた2008年当時、住宅ローン担保証券(MBS)市場が凍り付いたような状況の折に、緊急避難的な措置として取ったものゆえ、時限的な政策となる。今回は6カ月をメドとしている。もちろん状況を見て延長もあり得る。
こうしてみると予防的措置として万全の対応策を敷いているわけで、さすがFRBということだが、むしろ水面下でこれだけ矢継ぎ早に対応策を打ち出さねばならないことが起きているのか?との疑念もわいてくる。
この数日2度かな?書いたように、市場から水が引くようにカネが出ているイメージが強い。トランプ政権が1兆ドル(107兆円)もの超ド級の経済対策を議会に諮っていると報じられたことによると思われるが、米債が急速に売られている。10年債利回り(長期金利)は1%を超えてきた。政権が意図している政策が通るなら財政赤字が膨らむので、金利上昇は通常の流れではあろう。欧州でもマイナス0.8%台まで下げていたドイツ10年債がマイナス0.3%台まで上げてきている。新型コロナに苦しむイタリア債など一気に2%台半ばまで跳ねあがってしまった。米債の動きが加速していないので問題なかろうが、債券相場には気を付けたい。
なんせ、昨年夏にはマイナス利回りの国債が日本円にして1400兆円くらいあったのだから。本来、インカムゲイン、利息収入を目的に保有するものが、債券相場の値上がりに賭けるキャピタルゲイン狙いの取引が常態化していた経緯がある。誰が最後にババ(Joker)を引くのか、あるいは誰に引かせるのか、というような状況にあったわけで、まだゲームは終わっていない。今のところ株式市場のようなことは起きていないし、今回は起きるとそれこそ悪魔が来りて笛を吹く状態(バブル崩壊)となり財政につながるゆえに、中銀も体を張るだろう。2012年に(はるかに軽い状況だったが)、マリオ・ドラギは口先介入でやってみせたけど。
ちなみに明日はラジオNIKKEI 夕刻6時からの生放送 「マーケット・トレンド」に登場します。夜9時過ぎからも再放送もあります。rajikoで聴けます。