亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

じわじわ膨らむ金市場のマグマ溜まり

2021年05月28日 19時17分23秒 | 金市場

1900ドル超の金は、やはり少し押し戻された。月初から前日26日までで7.5%と昨年7月以来の上昇率で推移してきたNY金だが、考えてみれば週明け31日のNY市場はメモリアルデー(戦没者追悼記念日)の休日となるので、実質的に週末と月末接近ということもあり、利益確定の売りが出やすい市場環境ではある。ちょうどNY金は限月交代で8月物に切り替わったことはあるが、引値は1898.50ドルと1900ドル近辺を維持した。本日28日のNY時間外のアジア、ロンドンを通してもここまでのところ(日本時間18時30分)安値は1890.30ドルまでと押し目は浅い。

昨日も触れたように本日の4月の米個人消費支出物価指数(PCE)が注目材料となる。とくにFRBが注目するのはエネルギーと食品を除いたコア指数だが、前年比で3%前後の伸びが予想で、この水準は1992年以来29年ぶりの高水準でもある。先週のCPI(消費者物価指数)が前年比3.6%予想のところ4.2%と大きく上振れたことで、こちらもどの程度上振れるかが注目というところか。ただ、やはり活動を止めていた前年とのからみで、イレギュラーなものとなっても、それは割り引いて評価されることになると思われる。

昨日は1-3月期のGDP(実質国内総生産)改定値が発表され、年率換算で前期比6.4%増と、前月発表の速報値と同じ水準だった。内訳では、個人消費が11.3%増と、速報の10.7%から上方修正。設備投資は9.9%増から10.8%増に、住宅投資も10.8%増から12.7%増にそれぞれ引き上げられた。主要項目が軒並み上方修正されたが、その一方で当然ながら貿易収支は過去最大の赤字で、速報の1兆1755億ドルから、1兆1939億ドルに拡大修正となった。

他にも、22日までの1週間の新規失業保険申請件数は40万6000件と、前週の44万4000件から改善。商務省が発表した4月の耐久財受注では、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財の「受注」が前月比2.3%増と、市場予想の1.0%増を上回る伸びだった。GDPで設備投資の算出に用いられる「出荷」も底堅く伸びていた。

これらに反応し10年債利回りは上昇。一時1.625%まで上昇する流れの中で金は上値を抑えられることに。それでも終盤には1.603%に落ち着きました。この日、米紙ニューヨーク・タイムズが、バイデン大統領は2022会計年度(21年10月─22年9月)の予算教書で、6兆ドルの歳出を求める計画と報じたことも、長期金利を刺激したとされる。歳出規模は2031年までに8兆2000億ドルに拡大し、第2次世界大戦後最大規模になる見通しとされる。早晩、今後の国債消化を巡る懸念が高まりことになる。予算教書の全容は本日28日に発表され、議会に提出される予定。

7月末に向け、いよいよ予算など財政絡みの話題も増える時間帯に入る。日々の相場には反映されにくいが、金価格上昇のダイナミズムに関連する材料で、マグマがじわじわ溜まっているイメージだ。

以下は5月25日16時30分からのラジオNIKKEIマーケット・トレンドPLUSのスタジオライブ終了後のスナップと音声。写真をクリックかURLにて。

 

 

http://podcasting.radionikkei.jp/.../trendplus-210525.mp3

 

 

 

 

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