亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、月間8%に迫る上昇 

2021年05月31日 21時22分15秒 | 金市場
本日のNY市場はメモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日)にて休み。季節性からいうと、ここから夏休みが始まり、9月第1月曜日のレーバーデー(勤労者の日)で夏休み明けということになる。ただし、シカゴCMEのGlobex先物は稼働しており、アジア時間から買いが先行して、現在は日本時間の20時40分だが、1906ドル前後での推移となっている。高値はここまでのところ1913.80ドルまで見ているので、先週5月26日の高値1913.30ドルを一時上回ったことになる。

前週末5月28日のNY金は反発で前日比6.80ドル高の1905.30ドルで取引を終了した。
前日は1900ドル割れに押し戻されていた金だが、この日は、買戻しの動きもあり再び1900ドル台に乗せ、維持して終了となった。週間ベースでは1.5%の上昇で、4週連続で水準を切り上げることになった。3連休のため5月の取引は先週末で終了。NY金は月間ベースで7.8%の上昇となり、昨年7月以来の上昇率となった。

28日は米国で米連邦準備理事会(FRB)が重視するの個人消費関連のインフレ指標の発表を控えていたこともあり、アジア時間から売りが先行した。というのも上振れが予想されており、程度によってはFRBも看過できず、想定より早い段階で超緩和策の終了に向かわざるを得ないのでとの見方があることによる。ロンドン時間に多少の反発があったものの、NYの早朝、さらに通常取引開始時間にむけて金は水準を切り下げた。
注目のインフレ指標は個人消費支出(PCE)物価指数だったが、市場予想をやや上回る結果に、金市場は売り買い交錯状態で一時的に乱高下となった。その際の1884.30ドルがこの日の安値となった。しかし、間もなく売りが一巡すると上昇に転じ、プラス圏に、さらに1900ドル台回復となり、その後は終盤に向け売りをこなす形で徐々に水準を切り上げ1905.30ドルで通常取引は終了となった。

4月の米個人消費支出(PCE)物価指数だが、FRBが重視する食品・エネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比3.1%上昇し、1992年7月以来約29年ぶりの大幅な伸びを記録した。市場予想は2.9%上昇だった。

この結果発表直後こそ米債券市場は売り買い交錯状態となったが、すぐに落ち着き10年債利回りは低下に転じることに。先行して5月12日に発表された4月の米消費者物価指数(CPI)が前年比4.2%上昇と大きく上振れる結果となったものの、その背景に中古車の価格が前年比18%も上昇するなど、一過性の要因が複数見られたことから、コアPEC物価指数の結果も想定内にとどまったと受け止められたようだ。

結果に対し、10年債利回りが低下で反応したことで、為替市場ではドルが弱含みに転じたことも、金の押し上げ要因となった。

またこの日、バイデン米大統領が就任後初めての予算教書を発表。総額6兆ドル(約660兆円)を越える大規模な歳出要求となったが、財政赤字の拡大が一気に進むとの見方も金価格の押し上げ要因になっている。これだけ吹かせば、景気も浮上するだろうが、切り上げた水準を自然体でどの程度維持できるか。どこまでも財政で支えるわけにいかないわけで・・・。2022年がどうなるかということも、市場は視野に入れつつある。

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