週明け7月8日のNY金は3営業日ぶりに反落。通常取引は前週末比34.20ドル安の2363.50ドルで終了した。
先週5日は、発表された6月の米雇用統計が予想以上に労働市場の軟化を示したのを受け、10年債利回り急低下の中で28.30ドル高となっていた。その上げをすべて失うことになった。いわゆる「行って来い」状態という展開に。
下げの背景は1カ月半ぶりの高値圏に駆け上がったことに対する利益確定売りによるもの。
前週末の一時2400ドルを超える水準への上昇が、9月利下げを織り込みにかかった結果であり(期待先行)、上昇の基盤は弱いのは否めない。
基盤は弱く下げは利益確定の売りによる。
実際に米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週末に発表するデータでは、NY金は短期筋のファンド(Money Manager)の買い越し(ネット・ロング)は2300ドル台前半のレンジ相場が続いていたにもかかわらず、この1カ月間年初来の高水準(550~590トン)を維持した状況にあった。ファンドにも先高感が浸透しており、なかなか降りないので比較的高水準の買い残が維持されている。2400ドル接近で売ったとみられる。
ちょうど前日7日日曜日(アジア時間夕刻)に中国人民銀行が外貨準備についての定例の発表を行い、5月に続き金準備に変化がないこと、つまり2カ月連続で買いが止まっていることが判明した。
それが下げの背景との指摘があるが違うだろう。
というのは、8日のNY金はアジア時間の午後、ロンドンの取引開始前後まで2390ドル台で推移しており、前日に明らかになっていた人民銀の買い中断には無反応だったことによる。
期待先行で一時2400ドル台に駆け上がったNY金は、今週その「期待の正しさ」を11日の6月の米消費者物価指数(CPI)、12日の同生産者物価指数(PPI)の結果で計ることになる。また本日9日の上院銀行委員会、10日の下院金融サービス委員会でのパウエルFRB議長の発言もその一つの要素になりそうだ。
逆向きの結果になれば、2350ドル以下に押し戻されることになる。期待を「補強する」結果になれば、いよいよレンジ切り上げとなりそうだ。
余談だが、中国人民銀行は曜日に関係なく毎月7日に外貨準備の状況を発表している。したがって関心のある向きは、このところアジア時間の毎月7日夕刻にチェックをしている。
ちなみにこのことは、6月10日の当欄でも書いているので、読んだ人は承知済みと思う。
以下、6月10日にリンクを張っておきましょう。 中国に輸入され行先のわからぬ金(ゴールド)