本日は日曜日だが、いろいろ月末に向け立て込んでおり、先行して書き物をしていた関係もあり本日更新することに。
先週のNY金は通常取引終値ベースで注目の１８３０ドルは抜けずに終了となった。週明け１月１７日がキング牧師生誕記念日の祭日という３連休を控え、ファンドのポジション調整的な動きで、米長期金利（１０年債利回り）が一時１．７９５％まで上昇し終値では１．７９２％と、２０２０年１月２０日以来の水準に上昇（先週は１０日にザラバでは１．８％越えもあったが維持できず）。またドルも円以外の主要通貨に対し買い戻されドル指数は若干上昇。この中で終盤に金はマイナス圏に落ち、１８１６．５０ドルで終了した。前日比では４．９０ドル安。
NYの午前中頃まで１８２５ドル近辺での取引となっていたが、ロンドン時間に付けていた１８２９．３０ドルには届かなかった。最終的には長期金利とドル指数上昇もあり、３連休前の利益確定売りに続落ということに。ただし、週間ベースでは１９．１０ドル、１．１％の上昇となった。過去６週の内、５週は上昇となっている。
この日発表された１２月の小売売上高は前月から１．９％減少した。前月からのマイナスは５カ月ぶり。昨年末はサプライチェーン問題を警戒してアマゾンなどネット小売りが年末商戦セールを前倒ししたり、ウォルマートなど実店舗なども前倒しセールを実施するなど売上時期が分散されたこともあったろう。オミクロン株の影響もあったとみられる。特に問題なしと思う。
小売売上高と並び注目されたのが、ミシガン大学が発表した１月の消費者信頼感指数（速報値）。結果はは６８．８と１２月確報値の７０．６から低下し、過去１０年間で２番目の低水準となった。市場予想は７０．０だった。インフレの高進が影響していると思われる。バイデン政権、FRBともにこの結果は注目するのではないか。
ＦＲＢが発表した２１年１２月の鉱工業生産指数は、製造業生産指数が０．５％上昇市場予想対し前月比０．３％低下した。
来週１月２５～２６日の日程で米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）が開催されるが、発言が規制される「ブラックアウト」期間に入るのを前に先週は米連邦準備理事会（FRB）高官の発言が相次いだ。それは３月開催の会合での利上げ実施の、地ならしを進めていることを思わせた。
１４日はNY連銀のウィリアムズ総裁が米外交問題評議会主催のオンライン講演に登場。パンデミック（世界的大流行）を受けて実施した経済支援策が終了すれば次のステップは利上げであり、その次にバランスシート（保有資産）が縮小されるとした。さらにバランスシートの規模は前回の金融危機後よりもはるかに大きくなっており、バランスシート縮小に着手するまでの期間はこれまでより短くなる可能性があるとした。
利上げの時期やペースを巡り明確なコメントを控え経済指標次第としたのは、自身がFOMCの副議長という立場を考慮してのものと思われる。
労働市場の強さは「求人数や離職者数、賃金の伸び率など様々な指標に表れている」として自信を示し、足元で３．９％の失業率は年内に３．５％まで低下すると予測した。引き締め方向の政策は「賢明」であり、「理にかなっている」とした。
さらにこの日はサンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁が、新型コロナウイルスが過度な高インフレの主な要因としたうえで、供給障害で圧迫された供給とバランスさせるためにFRBは利上げして需要を減らす必要があるとした。以前からハト派として知られる同総裁だが、前日には「３月の利上げは極めて妥当に思える（ロイター）」としている。
FRBによる路線転換は、テーパリング（量的緩和の減額）加速から前倒し終了へ、そして間を置かずに利上げ着手、さらに早期のバランスシート縮小決定および着手と、市場に息つく暇を与えないかのような流れを予見させるものとなっている。金市場にとって、いわば「かなりの向い風」が吹く環境の中で１８００ドル台を維持する状況は、何度も書くように底堅さを感じさせるものといえる。
FRBの政策変更に関連するニュースは一巡し経済指標に関心が移るが、住宅関連くらいで目立ったものなし。今週というわけではないが、それよりウクライナ情勢など地政学リスクの方がどうなるか。WSJ（ウォール・ストリート・ジャーナル）は１４日、「ロシアが軍装備品をウクライナ国境に向け輸送し始めた」としていた。
一昨日ここで告知したライブセミナー。次回は８月ごろになるので、この機会に是非参加ください。
あと登録済の方には連絡が行っていると思いますが、先週は１２日夜にポッドキャストも更新済。
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