亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ボラが上がる2022年 シートベルトを

2022年01月17日 21時08分49秒 | 金市場

本日のNY市場はマーチン・ルーサー・キング牧師生誕祭にて休場。ただしグローベックスの取引は開いており、日本時間の17日20時時点で、金は前週末の引値より5ドルほど高い1821ドル前後での取引となっている。

本日は月一更新のあるWebサイトの原稿を書いたが、先週連日続いたFRB高官の発言を集約するかたちでパウエルFRB議長の上院銀行委員会での再任承認公聴会の発言内容を取り上げた。

インフレ抑制に(従来感覚からすると)急な形で舵を切ったFRBだが、パウエル議長は、「労働市場は信じられないほど急速に回復している」ことから、年内に計画される引き締め策によって堅調な雇用市場が損なわれないと自信たっぷりに話した。着手している引き締め策が、今後度合いを強めるものの経済成長を阻害するものでなく、ソフトランディング(軟着陸)に自信を示したわけだ。

「インフレは深刻な脅威」として、それを抑えることに注力しようとしている。しかし、物価上昇の多くの部分は、新型コロナ禍でのサプライチェーン問題(供給制約)に伴ってもたらされている。それゆえFRBも「一時的(transitory)」としてきた経緯がある。「供給制約」については構造的に金融政策の対象外だが、FRBもそれを承知の上で乗り出すのは、インフレ圧力の高まりに対する世論の高まり(不満)を放置できないとの判断がある。

先週サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言は、そもそもサプライチェーン問題で生じた供給不足に対して過剰な需要を抑えるために引き締め(利上げ)をする意図と受け止められたが、これはどうなんだろう。 足元の高インフレが米国経済の潜在成長力の高まりを表す過熱でなく、新型コロナ禍の特殊要因の側面が強いとするならば、前倒しで締めるやり方は、オーバーキル(やり過ぎ)リスク(株価の大幅調整、景気の腰折れリスク)つつながりはしないか。

そういえば、先週決算発表したJPモルガンだが、ダイモンCEOがCNBCのインタビューで人々が思っている以上にインフレが悪化している可能性があるとした上で、「個人的には年内4回の利上げで済むなら驚きだ」としていた。 それでも「米経済は4回利上げ(の影響)を非常に容易に吸収するだろう」と自信を示していた。それほど米国経済は好調というわけだ。なるほどパウエル発言と同じだわい・・・と思ったのだが、オチがあった。金融市場は景気の良し悪しに関係なく変動するとして、「金利上昇に伴い今年は市場のボラティリティーが高まる」としていた。

自分としては株式市場を想定するのだが、着用サインが消えてもシートベルトを締めておく必要がありそうだ。

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