関西出張中で昨夜は更新できず。今朝は早朝4時に起き出した。
NY金が時間外取引に移行していた現地時間午後4時、トランプ大統領はホワイトハウスのローズガーデンのイベントで、世界の貿易相手国に対し相互関税を課すと発表した。
米国への全輸出品に最低10%の関税を賦課する。同時に示された国別の関税率チャートでは対中国が34%、欧州連合(EU)は20%、日本は24%、ベトナムは46%とされた。
「長年にわたり、大半において米国の犠牲の下に他国が富と権力を得る中、勤勉な米国民は傍観者の立場を強いられてきた。だが今後はわれわれが繁栄する番だ」と述べた。
3日から輸入自動車に対して25%の追加関税を実施することも改めて発表した。ちなみに中国に関する関税34%は合成麻薬フェンタニルの米国への流入に関して先に賦課された20%の関税に追加されることから、関税率は合計で少なくとも54%に達する見込みとなっている。中国企業が2024年に米国に輸出した5000億ドル(約74兆円)相当の商品の大半に課されることになる。9日から適用される。
関税が賦課される国への影響は元より、輸入業者が賦課分を販売価格に転嫁することでインフレ再燃や消費の落ち込みが米経済の停滞を招くとの懸念も強まった。
発表に対する市場の反応はネガティブなものとなった。総じて悲観的な見方をしていた市場だが、いざ現実のものとなったことで改めて反応する流れが起き、市場の値動きは大きくなっている。
NY金については、大荒れ状態となった。発表を受けいったん大きく売られ3150ドル割れまで付け、その後急反発しそのまま3201.60ドルまで急伸。初めて3200ドルを突破した。その後も40ドルほどのレンジ取引が続き、時間外取引は3190.30ドルで終了した。
株式など他のポジション整理にともなう現金ねん出の動きや、高値警戒からの利益確定売りに、一方では押し目買いが入り売り買い交錯状態にある。
総じて米国が新たに取り始めた通商政策による混乱は長引くとの見方の一方で、関税の全容が明らかになったことで目先の材料出尽くしとの見方が拮抗している。
相互関税を発表した同じ日、上院共和党案は、2017年に成立し今年12月31日に期限切れとなる4兆ドル(約590兆円)規模のトランプ減税の延長に加え、債務上限引き上げの早期実現を目指す予算決議案を公表した。1兆5000億ドルの追加減税に道を開くものになるとされる。関税の導入は輸入業者が賦課分を販売価格に上乗せすることから、実質的な増税を意味する。
対抗国叩きを掲げた増税のマイナス効果を心理的にも現実的にも下支えしようという意図だろう。その前に、景気減速が表面化すると今回の政策に対する反発の声が高まるのではないかと思う。
仮に材料出尽くしでNY金が売られるならば、それは過熱相場の当然の調整であり、まず下値を見計らい買いに乗り出す投資家が現れそうだ。
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