飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
「リンクメニュー」(分類別目次)機能付。

万葉アルバム(奈良):山の辺、弓月が嶽

2009年10月05日 | 万葉アルバム(奈良)

あしひきの山川の瀬の響(なる)なへに
弓月(ゆつき)が嶽(たけ)に雲立ち渡る
   =巻7-1088 柿本人麻呂歌集=


山中を流れる川の瀬音が高まるにつれて、弓月が岳一面に雲が湧き立ちのぼっていく。という意味。

「弓月が岳」は奈良県巻向山の最高峰(567m)。車谷から巻向川の山川の瀬に沿って、三輪山の東北麓を登りつめ、そこから北へ巻向山にかかれば達する。「あしひきの」は「山」にかかる枕詞。「山川」は山の中を流れる川。

『柿本人麻呂歌集』は、万葉集編纂の際に材料となった歌集の一つ。人麻呂自身の作のほか、他の作者の歌や民謡などを集めている。

響き渡る川音を耳にしながら、人麻呂が弓月が岳を見上げている。見つめる先で、雲が涌き立ち山をおおい尽くそうとしている。率直に雄大な自然を歌ったこの歌は、人麻呂歌集のなかでは勿論、万葉集のなかでも名歌のひとつに上げられている。

 この歌碑は、天理市の山辺の道・萱生集落入り口付近に建ち、このあたりから眺める巻向山系は山辺の道の中でも雄大な景観を呈している。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
乞うご検討「弓月が嶽の写真」 (大久保 衞)
2019-01-17 13:42:46
弓月が嶽として紹介されている写真は、竜王山ではないでしょうか。萱生の集落付近からは、巻向山(弓月が嶽といわれている)は見えにくいと思います。
返信する

コメントを投稿