飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
「リンクメニュー」(分類別目次)機能付。

万葉アルバム 樹木、くわ

2011年11月17日 | 万葉アルバム(自然編)

筑波嶺の 新桑(にひぐは)繭(まよ)の 衣(きぬ)はあれど
君が御衣(みけし)し あやに着欲しも                
    =巻14-3350 東歌=


筑波嶺一帯の、新桑を食べさせて育てた繭の着物は、それはそれで素晴らしいけれど、やっぱりあなたのお召し物が無性に着たい。という意味。

桑の新芽をつみながら、いとしい人を想って歌った娘さんの恋の歌という見方もあるが、実際はそうではなく、新しい着物がどんなによくても、あなたの着物と交換したい、すなわち身を任せて共寝をしたいという恋の歌なのだ。
古代の人々は、親しい男女間で別れの際に下着を交換するという習慣があったようだ。

筑波嶺(つくはね)」は筑波山。「新桑(にひぐは)」は、桑(くは)の新芽のこと。新桑(にひぐは)で育てた蚕で作られた絹の衣は高級品だった。繭(まよ)は、蚕(かいこ)のまゆのこと。

クワ(桑)はクワ科クワ属の総称。カイコの餌として古来重要な作物であり、また果樹としても利用され、成熟した果実はそのままでも甘酸っぱくて美味。果実酒やジャムにも利用されている。

万葉集に「くわ」の歌は2首あり。

この万葉歌碑は筑波のテクノパーク大穂に建っている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿