上毛野 伊香保の沼に 植ゑ小水葱(こなぎ)
かく恋ひむとや 種求めけむ
=巻14-3415 作者未詳=
上毛野の伊香保の沼に植えた子水葱の成長するのがこんなに待ち遠しくてたまらないのならいっそのこと子水葱など植えるのではなかった。という意味。
今の苦しみの元になっている恋焦がれの種など、始めから求めるのではなかった・・・なんと苦しい事だろう。ということを歌っている。
「伊香保の沼」は一般に榛名山上の榛名湖をさすとされている。
山麓の古代農耕人にとって榛名山が、労働につけ恋愛につけ日常生活の共通の拠り所として慕われていたのだろう。
コナギ
「小水葱(こなぎ)」は芹などと同じように、水田や湖沼に自生するミズアオイ科の一年草。ミズアオイに似るが全体に小さい。夏から秋、青紫色の花を開く。花を染料に用いた。昔は野菜として栽培もされていたようだ。
この万葉歌碑は、伊香保温泉の奥の湯元飲泉所横にある。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます