モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

秋田駒ヶ岳の花図鑑(3)盛夏1

2024年01月08日 | 秋田駒・乳頭/花と山容

(本頁は「・・・花図鑑(2)初夏続き」の続きです。)

【盛夏編】
七月になると、大焼砂ではコマクサが見頃を迎える。

大焼砂のコマクサ群生。 2017/07/10



大焼砂のコマクサ群生。 
1980年代、撮影年月日は不明。



大焼砂のコマクサ群生。右上の残雪をご記憶下さい。 
2017/07/10



コマクサ Dicentra peregrina
 2017/07/10



コマクサが自生するのは、
東北では岩手山と秋田駒、蔵王の三箇所のみ(尾瀬・燧ヶ岳も加えると四箇所か)。

株の大きさとトータル量では岩手山の方が勝っているが、
残念ながら他の植物と混生している(こちら参照)。

コマクサが単独で、しかも密に群生している点では、秋田駒の方が素晴らしいかなと思う。

七月はコマクサの他に、小岳や女岳斜面のチングルマも素晴らしい。
それを見るためには、ムーミン谷(馬場ノ小路)に下りる必要がある。

小岳斜面のチングルマ群生。 2017/07/10


チングルマのこの群生は三枚目写真の右上に見える雪渓の下、木道近くに発達したものである。

チングルマ Geum pentapetalum
 2017/07/10



場所によっては、下写真のようにイワカガミも混生している。

イワカガミ Schizocodon soldanelloides とチングルマ。 2017/07/10



ミヤマキンポウゲ Ranunculus acris var. nipponicus 2017/07/10
   


(右上)カラマツソウ
Thalictrum aquilegifolium var. intermedium 2017/07/10

カラマツソウは八幡平では多いが、秋田駒では少ないように感じる。
個人的にはムーミン谷の底部で見かけた。


シラネアオイ Glaucidium palmatum 2017/07/10


シラネアオイは新道コース、しゃくなげコースではほとんど見ないが、
ムーミン谷の奥地、男岳斜面に群生している。
この場所は雪消えが遅いせいか、盛夏に咲く。
古い時代(約40年前)の記憶だが、男岳の西斜面に大群生があったように記憶している。

馬ノ背の稜線に上がると・・・

イワヒゲ Cassiope lycopodioides 数は少ない。 2017/07/10
   


(右上)マルバシモツケ Spiraea betulifolia
 2017/07/10

ハクサンシャクナゲ Rhododendron brachycarpum 2016/07/10



七月の秋田駒には、花に関して大きな見どころが三つある。

ひとつ目は大焼砂のコマクサ、二つ目はムーミン谷のチングルマ、
そして三つ目はあちこちに生えているエゾツツジだ。

エゾツツジは名前からもわかるように北海道に多い花で、本州にはごく少なく、
秋田駒は分布の南限にあたる(厳密にはもう少し南の和賀山塊でも発見されたとのこと)。 
南限だから、細々と生育していると考えたら大間違い。
全山至るところ(と言っても高い場所だけ)でドミナント(優占種)になっている。

平らな草叢から、岩場までびっしり生えているので、
秋田駒ヶ岳から蝦夷躑躅ヶ岳とでも改名したくなるほど。 

ツツジとは言っても、背がとても低く、蕾の形もずんぐりしている。
よく調べると普通のツツジとはいろいろ違うところがあるようで、最近は別属に分類された。

エゾツツジ Therorhodion camtschaticum 2017/07/10



エゾツツジと
ミヤマダイコンソウ。 2017/07/10



エゾツツジは、秋田駒では、ミヤマダイコンソウと一緒に生えている。

このような組み合わせは、他の山では見たことが無い。

ミヤマダイコンソウ Geum calthifolium var. nipponicum 2017/07/10


ミヤマダイコンソウを私は奥羽山系では焼石岳、日本海側では朝日連峰で見かけたが、

それほど多くない。しかし秋田駒では何故だろう。
異常なまでに多いと感ずるのは私だけだろうか。
 

アカモノ(イワハゼ) Gaultheria adenothrix 2017/07/10
 


(右上)オノエラン Orchis fauriei
 2017/07/10

オノエランは栗駒山、焼石岳など奥羽山系には多く、秋田駒や乳頭山でもよく見かける。

ムシトリスミレ Pinguicula vulgaris var. macroceras 2023/06/26



ムシトリスミレに黄色いスミレ(キバナノコマノツメ)が混生。 2017/07/10



ムシトリスミレは前出のタカネスミレなど四種類とは違い、
食虫植物のタヌキモ科である。

時間が有ったら食虫の様子も観察してみよう。
阿弥陀池の周りの平らな湿原に多いが、男岳では垂直の岩場にもへばり付いている。

コバノイチヤクソウ Pyrola alpina 2017/07/10
 
 

(右上)ベニバナイチヤクソウ Pyrola asarifolia subsp. incarnata 1980年代、撮影年月日は不明。

イチヤクソウの仲間は他にカラフトイチヤクソウも見かけている。
いずれも数は少ない。


・・・花図鑑(4)盛夏2」へ続く。


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2 コメント

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謹賀新年 (ねも)
2024-01-09 20:27:49
モウズイカさん 今年もたくさんの山日記お待ちしています。
秋田駒ヶ岳大好きの私としては、実にうれしいシリーズ記事です。ありがとうございます。
返信する
ねもさんへ。 (モウズイカ)
2024-01-09 20:46:44
コメントありがとうございます。
秋田駒は花の種類が多いのでまだ半分にも達してません。
七巻(頁)の予定です。
引き続きよろしくお願いいたします。
返信する

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