(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。今日はこれから実家の草取りに出発します。)
出羽丘陵とは、秋田県の西側(日本海側)半分を広く占める山域で、
中には鳥海山や太平山など2000m、1000mを超える山も少数有るが、
一般的にはそれら高山以外の低山丘陵を指している。その標高は200~700m程度だ。
北は青森県の西部(白神山地)から、南は山形県の北西部まで及ぶとされるが、
低山丘陵は秋田県側に圧倒的に多く、その呼び名も秋田でしか通じない。
例年ならば、春はスプリングエフェメラルの群生を見る関係で奥羽山系の山麓を巡ることが多いが、
今年(2014年)の五月連休は遠出せず、近くの出羽丘陵に連日のように足を向けてみた。
すると意外にもこの山域にはとても豊かな自然(と言っても、 (´π`; 私の場合は植物しかわからない)
が残っていることに気づいたような次第。
まずはスミレ類から・・・
5月3日、秋田市郊外の雑木林で見つけたスミレ類の群生。
このスミレ、距が長いので、タチツボスミレとナガハシスミレの雑種との意見も有ったが、
ひとまずタチツボスミレの変異の範囲としておく。
2014/05/03 タチツボスミレ こちらはオオバキスミレ。2014/05/05
出羽丘陵はオオバキスミレが矢鱈と多いところ。
2014/05/05 高尾山にて。
場所によっては山の斜面が全てこのスミレ・・・と言うところも数多く有った。
このスミレ、雪崩が起きるような急斜面に大群生する傾向が有る。
2014/05/05 オオバキスミレのアップ。 2014/05/05 スミレサイシン
オオバキスミレの花は2センチ程度と大きめだが、それ以上に葉がでかい。
もっと大型の花をつけるスミレサイシンも此処では豊富だ。場所によってはオオバキスミレと混生していた。
5月初め、丘陵の木々が萌え上がる。
新緑とは言っても、いろいろな緑が有り、赤味を帯びたものや黄色、白っぽいもの、
それに山桜の薄ピンクが加わり、バラエティーに富んだ色合いになる。
このような状況を「春紅葉」とも呼ぶ。
2014/05/05 高尾山にて。
深山の女王とも位置づけられるシラネアオイが此処では道路端で無造作に咲いている。
今回、見つけた中で一番、でかかったのは12センチくらいあった。
道路のすぐそばなので盗られないかと心配する。
2014/05/05 シラネアオイとバックはオオバキスミレ 2014/05/05 キバナイカリソウ
キバナイカリソウも咲き出していた。根元には先ほどのスミレ類。
メギ科繋がりで、次はサンカヨウ。
2014/05/07 サンカヨウ
右上写真からもお分かりの通り、車道から近い場所なのでこちらも盗掘が心配。
しかしシラネアオイのように花は目立たない(かわりに葉がでかい)のでその点は心配無用か。
近くで食い千切られた株が多数有った。これはカモシカかツキノワグマの仕業だろうか。
この花、深山性、高地性なので、出羽丘陵のような低いところでは見られないものと思っていたが、
有るところには有るものだ。
今度はケシ科。
2014/05/05 ミヤマキケマン。
ミヤマキケマンは
土砂崩れあとの急斜面や伐採跡地に一面群生することもあり、野草としてはパイオニア的性格を持っている。
大柄だが、生活史がスプエフェ的で、花が終わると地上部は枯れる。
花は綺麗だが、毒草で臭いことから好んで植えられることはない。
2014/05/06 ムラサキケマン。
ムラサキケマンは
ミヤマキケマンよりももっと人臭いところ、人家の屋敷内や道端でも普通に見かける。
エゾエンゴサクが咲き残っていた。よく見るとアズマシロカネソウも一緒だった。
2014/05/07 エゾエンゴサクとアズマシロカネソウ。
今年の春は晴天が続いているが、靄っとしていて遠くの山は見えないことが多い。
5月6日は珍しく鳥海山が見えた。
2014/05/06 竜馬山付近から鳥海山を望む。
鳥海山は雪で真っ白だが、標高の低い出羽丘陵の山々は今ちょうど新緑&春紅葉だった。
2014/05/06 日住山方面を望む。
まだ明るい雑木林の下に何やら青い花が咲いていた。
2014/05/06
2014/05/06 ルリソウ
近づいてみるとそれはルリソウ Omphalodes krameri だった。
手餅の古い図鑑をみると、ヤマルリソウ Omphalodes japonica は必ずと言っていいほど載っているのに
ルリソウは載ってないことが多い。
分布域が北国や裏日本に偏っているせいだろうか。
私の住まう秋田ではルリソウしかないのだが、これが意外と綺麗だ(しかし話題にはならない)。
こんなに綺麗な青の野花はそうはないと思う。ラピスラズリ (lapis lazuli)そのものの花だ。
ただし花の色は、青以外にピンクも有る。
これは同じムラサキ科のホタルカズラやワスレナグサでも経験している。
咲き始めは青くて古くなるとピンクに変わるものと思っていたが、この花の場合、必ずしもそうでないようだ。
色違いが出るメカニズムはまだよくわからない。
以上。
二時間離れた実家(空き家)メンテに行っておりましたのでレスポンス遅くなりすみません。
春の限られた時期だけですが、雪国の低山は花が多いですね。
でも種類は限られており、関東以西には普通の種類が欠如しております。
例えば、ハナネコノメをはじめとしたネコノメソウの多く、イチリンソウ、ユキワリイチゲ、セツブンソウ、ヤマブキソウなど。
ルリソウは濃い青が素晴らしく、関東以西の皆さんにも是非知ってもらいたい花の一つです。
二時間離れた実家(空き家)メンテに行っておりましたのでレスポンス遅くなりすみません。
シラネアオイは偶々、日光白根山で昔の学者が報告したものですから、その名がつきましたが、
鹿の食害等もあり、維持に難儀されているとか。
東北地方の日本海側では低山から高山にかけて幅広く見かける普通の花です。
さらに北海道に行けば海岸近くからびっしりと生えているほどです。
その意味でも「ヤマフヨウ」とか名称の変更を希望している花です。
雪国のお山は、お花の量が桁違いですね。
毎日、いえいえ三日に一度でも、こんなお花いっぱいのところを歩けたら
それはもう幸せです。
ルリソウは大好きな花です。
こちらでは、ヤマルリソウはよくみますが、雰囲気はかなり違いますね。
「ラピスラズリ (lapis lazuli)そのものの花」 ほんとですね。
最近は少なくなりましたが。
高尾山の名がありますが、東京にも同名の山があり
コロナ禍でも人手が多い状態です