それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

日本テレビ「アイキャラ」

2016-02-07 00:31:22 | テレビとラジオ
 「アイキャラ」という番組が面白い。

 二次元のキャラクターを生み出し、それをプロデュースしていく、という趣旨の番組。

 何がいいって、この番組のキャストだ。

 バカリズムに加えて、ベース・ボール・ベアのボーカル小出祐介、でんぱ組の夢眠ねむ、声優の新田恵海。

 特に、最初の三人のチーム感の良さが見事。

 プライベートで交流のある三人だからこそだせる「間」が、視聴者に一体感を与える。

 ナレーションの杉田智和もいい。落ち着いているが、何かわくわくさせるものがある。



 もうひとつ面白いのは、キャラクターを生み出す時に見えてくる市場や社会の構造だ。

 架空のキャラクターをつくり出すということは、沢山のストーリーをつくり出すということに他ならない。

 身体的なデザインはもちろん、年齢、性格、家族構成、周囲の人間との関係、キャラクター自身の目標。

 一貫性やリアリティはもちろんこと、感情移入できるかどうか、という点も重要になる。

 さらに、そのキャラクターが商品としてどのように市場で受け止められるのか、というポイントもある。

 市場でどのように認識されるかは、市場に今現在どういうニーズと商品が存在しているのか(ことによれば潜在的に)、によって推測できる(可能性がある)。

 この番組はそうした論点をシンプルだが、的確に処理していく。


 
 さらに面白いのが、実際にキャラクターができていく過程だ。

 それは子供が成長する驚きにも似ている。

 視聴者はプロデューサー目線だからこそ、不可避的にそのキャラクターに思い入れを持ってしまう。



 一億総批評時代のなかで、誰もが「アイドル」や「二次元キャラクター」に一家言持ってしまいそうになる。

 けれど、僕自身はもちろん大半の人間は素人である。素人なのに何か考え、言おうとする。

 ところが、実はそういう素人だからこそ、この番組から見える景色は面白いのである。