妻の知り合いにものすごくヒップホップに詳しい人がいて、その人が紹介していたのがこの番組。
ヒップホップにはフリースタイルのMCバトルというものがある。
ラッパーが即興でフレーズを繰り出し、1対1でお互いにメッセージを発して、どちらがより良いラップだったかを競う試合だ。
それを地上波でやる、というのだから本当に挑戦的な番組である。
しかし、さすがテレビ!と言いたい。この番組の趣向は実にすばらしい。
この番組では、フリースタイルで有名なラッパー5人が「モンスター」となって挑戦者を迎え撃つ。
この構造がとても見事。
何がそんなに良いかと言えば、モンスターそれぞれのキャラクターがまるでマンガのような格好よさなのである。
私のような素人で恐縮ではあるが、まず4名のモンスターのキャラクターを紹介したい。
高校生ラップ選手権で名を馳せた若きラッパー、T-PABLOWに始まり、見事なストーリーテラーでユーモアに溢れるサイプレス上野、東京のアンダーグランドのボス、漢 a.k.a. GAMI、さらにフリースタイル・バトルの絶対王者で、名解説者としてもおなじみ、R-指定。
とにかく、まずこの4人が見事。
ラップには様々なスタイルがある。グルーブの作り方は本当に多様で、例えば、かっちりリズムに合わせるような古いスタイルもあれば、中南米の音楽の影響をはっきり打ち出すようなスタイルもあれば、ポリリズムのパーカッションのようなものもある。
フリースタイル・バトルの場合、歌詞の内容は基本的に相手を引き下げ、自分を引き上げるものが多いが、それでも自分の生い立ちや、相手との関係をストーリーにすることもあれば、色々な言葉、形容詞から固有名詞までを織り上げて、言葉色鮮やかな世界を展開するものもある。あるいは、徹底して下ネタに行く場合もある。
スタイルが違う以上、バトルではジャンケンのようなことが起こる。相性の良し悪しがどうしても出るのだ。
4名のモンスターはそれぞれまったくスタイルが異なり、しかも、はっきりと己のスタイルを打ち出し、すでにリスナーの間では有名になっている。私のような素人ですら、全員知っているくらい有名だ。
彼らがそれぞれの武器を使って、次から次へと来る挑戦者を倒したり、負けたりする。
一瞬の勝負ではあっても、勝ち負けにかかわらず、彼らのキャラクターが爆発し、面白いドラマが起こる。
調子の良い時と悪い時の差が激しいT-PABLOWが覚醒した時の格好よさと気持ちよさ。
漢 a.k.a. GAMIのものすごく威圧的な風貌と、現実主義を標榜するクールなリリック(詞)。敵だと怖いけど、味方だと思うと、すごく安心感がある。負け方も男らしさ全開で、ハードボイルド。
ハードボイルドな雰囲気のなかで、とにかくキャラとリリックのユーモアが視聴者にとって嬉しい、サイプレス上野。大好き。
そんななかでも、とにかくR-指定のキャラクターが萌える。明らかにインドアで文化系のキャラクターの彼が、圧倒的なスキルを発揮し、圧倒的に格好よく勝つ(負けてもカッコ良い)。
この4人の上に立つのが、般若だ。
鍛え抜かれた肉体。圧倒的なオーラ。ヒップホップの(良い意味で)汚い側面を見事に表現するスキル。
ヒップホップそのものを文字通り体現する人物と言っても過言ではない。
フリースタイル・バトルからは引退していたはずの彼がこの番組に登場したこと自体があまりにも事件であった。
こうしたキャラクターの配置が少年誌的マンガの構図なのである。
本当にカッコいい。しかも、そこに人間のドラマがある。それを最小限の言葉で表明する。
テレビの画面を通じて、視聴者の心に突き刺さる。
確かにヒップホップのスタイルは、なかなか日本の大衆に届きにくい側面がある。
前にも書いたが、お互いを徹底して批判し合うのがどうしても馴染みにくいのだ。
しかし、本当に良いバトルになると、そうした批判は「芸(art)」に昇華されたものになる。きわめて文学的なのだ。
番組で審査員を務めるいとうせいこう氏が、その辺りを見事に解説してくれるのも嬉しい。
ヒップホップが苦手な人も、そこのレベルのバトルには必ず感動するはずだ。
ヒップホップのパイは小さい。リスナーは限定されている。
だからこそ、有名なラッパーがテレビで「モンスター」という非常に難しくリスクの高い役割を引き受けてくれたのだとも思う。
この番組は本当に素晴らしい取組みだ。
それがなんとユーチューブの公式チャンネルで最初から全部見られる。
どういう仕組みなのかは分からないが、見事なメディア・ミックスである。
ヒップホップにはフリースタイルのMCバトルというものがある。
ラッパーが即興でフレーズを繰り出し、1対1でお互いにメッセージを発して、どちらがより良いラップだったかを競う試合だ。
それを地上波でやる、というのだから本当に挑戦的な番組である。
しかし、さすがテレビ!と言いたい。この番組の趣向は実にすばらしい。
この番組では、フリースタイルで有名なラッパー5人が「モンスター」となって挑戦者を迎え撃つ。
この構造がとても見事。
何がそんなに良いかと言えば、モンスターそれぞれのキャラクターがまるでマンガのような格好よさなのである。
私のような素人で恐縮ではあるが、まず4名のモンスターのキャラクターを紹介したい。
高校生ラップ選手権で名を馳せた若きラッパー、T-PABLOWに始まり、見事なストーリーテラーでユーモアに溢れるサイプレス上野、東京のアンダーグランドのボス、漢 a.k.a. GAMI、さらにフリースタイル・バトルの絶対王者で、名解説者としてもおなじみ、R-指定。
とにかく、まずこの4人が見事。
ラップには様々なスタイルがある。グルーブの作り方は本当に多様で、例えば、かっちりリズムに合わせるような古いスタイルもあれば、中南米の音楽の影響をはっきり打ち出すようなスタイルもあれば、ポリリズムのパーカッションのようなものもある。
フリースタイル・バトルの場合、歌詞の内容は基本的に相手を引き下げ、自分を引き上げるものが多いが、それでも自分の生い立ちや、相手との関係をストーリーにすることもあれば、色々な言葉、形容詞から固有名詞までを織り上げて、言葉色鮮やかな世界を展開するものもある。あるいは、徹底して下ネタに行く場合もある。
スタイルが違う以上、バトルではジャンケンのようなことが起こる。相性の良し悪しがどうしても出るのだ。
4名のモンスターはそれぞれまったくスタイルが異なり、しかも、はっきりと己のスタイルを打ち出し、すでにリスナーの間では有名になっている。私のような素人ですら、全員知っているくらい有名だ。
彼らがそれぞれの武器を使って、次から次へと来る挑戦者を倒したり、負けたりする。
一瞬の勝負ではあっても、勝ち負けにかかわらず、彼らのキャラクターが爆発し、面白いドラマが起こる。
調子の良い時と悪い時の差が激しいT-PABLOWが覚醒した時の格好よさと気持ちよさ。
漢 a.k.a. GAMIのものすごく威圧的な風貌と、現実主義を標榜するクールなリリック(詞)。敵だと怖いけど、味方だと思うと、すごく安心感がある。負け方も男らしさ全開で、ハードボイルド。
ハードボイルドな雰囲気のなかで、とにかくキャラとリリックのユーモアが視聴者にとって嬉しい、サイプレス上野。大好き。
そんななかでも、とにかくR-指定のキャラクターが萌える。明らかにインドアで文化系のキャラクターの彼が、圧倒的なスキルを発揮し、圧倒的に格好よく勝つ(負けてもカッコ良い)。
この4人の上に立つのが、般若だ。
鍛え抜かれた肉体。圧倒的なオーラ。ヒップホップの(良い意味で)汚い側面を見事に表現するスキル。
ヒップホップそのものを文字通り体現する人物と言っても過言ではない。
フリースタイル・バトルからは引退していたはずの彼がこの番組に登場したこと自体があまりにも事件であった。
こうしたキャラクターの配置が少年誌的マンガの構図なのである。
本当にカッコいい。しかも、そこに人間のドラマがある。それを最小限の言葉で表明する。
テレビの画面を通じて、視聴者の心に突き刺さる。
確かにヒップホップのスタイルは、なかなか日本の大衆に届きにくい側面がある。
前にも書いたが、お互いを徹底して批判し合うのがどうしても馴染みにくいのだ。
しかし、本当に良いバトルになると、そうした批判は「芸(art)」に昇華されたものになる。きわめて文学的なのだ。
番組で審査員を務めるいとうせいこう氏が、その辺りを見事に解説してくれるのも嬉しい。
ヒップホップが苦手な人も、そこのレベルのバトルには必ず感動するはずだ。
ヒップホップのパイは小さい。リスナーは限定されている。
だからこそ、有名なラッパーがテレビで「モンスター」という非常に難しくリスクの高い役割を引き受けてくれたのだとも思う。
この番組は本当に素晴らしい取組みだ。
それがなんとユーチューブの公式チャンネルで最初から全部見られる。
どういう仕組みなのかは分からないが、見事なメディア・ミックスである。