小田原「江之浦リトリート凛門」。
利用している旅行サイトの口コミの高い評価(箱根・熱海・伊豆エリア第1位)から関心を持った宿ですが、実際に一泊した感想を一言で言うと、宿として明確なコンセプトを掲げ実践する中で、お客の満足感と充実感のある心地よい滞在を実現している名宿でした。小田原というアクセスの良さもあり、まさにリトリートとして常宿にしたい出会いとなりました。
(「江之浦測候所」と隣接(駐車場は別)。連泊なら中日に「江之浦測候所」を見学するために宿が予約をしてくれるなど、関係性が深いようです。)
チェックインタイムの15時よりも15分程早く到着しましたが、駐車場に車は1台だけ。「ちょっと早かったかな。」と思いながら入っていくと、既に2組のお客さんが到着していました。入館した所(ロビースペース)からの館内の景色です。
(ネットより拝借。上:入館してすぐの三和土風の所からの景色、下:館内履きに履き替えて数歩進んだ所からの景色。)
「江之浦リトリート凛門」は2021年6月、「建物から運営まで自然と共生する」という想いを掲げて開業。中心にある考え方は2つでしょうか。ひとつは「人の持つ回復や予防の力の源である免疫力を高めることに特化」、もうひとつは「地球環境へ配慮したエシカルな取り組みの実践」。恥ずかしながら事前にはこのようなコンセプトを掲げる宿とは知らず、食事処も兼ねるここで(↓)チェックインの時に聞いた程良い情報量の説明で知りました。
(私たちがチェックインのために座った席。翌朝の朝食時に写メ。横格子の奥には、眺望は利きませんが大きなテーブルのゆったりとした半個室があります。)
後先になりますが、滞在中に私たちが体験あるいは知った、当宿のコンセプトが具現化している点を書き連ねるとこんな感じです。
・館内にエアコンはなく、「パネルシェード」を導入。(水を循環させ建物を冷やしたり温めたりする空調システム。)
・鉛筆1本、館内の看板、小物トレイなど、全て地元の間伐材や廃材を使用。
・内装の建材には、木材、土壁(漆喰?)、珪藻土など自然素材を使用。
・カーボンフリーの地域電力を利用。
・館内用の靴下はヴァージンコットンの落ち綿(未利用繊維)100%の再生利用。(奈良県広陵町の「わたの和」プロジェクトとのコラボ。)
・良質な睡眠のためベッドには最新の「スリープサイエンスのマットレス」を採用。(「西川」の「&Free」の倍の厚さの特注品。)
・そして、温泉ミスト浴「LeFuro TOJI(ルフロ湯治)」。
・食事は美しいだけでなく、夕食は薬膳を意識したコース、朝食は60種類の食材を使用。
話をチェックインに戻します。座った所からの景色が抜群。
(テラスの向こうはみかん畑と相模湾の絶景。ピザ窯も興味津々。「連泊ならテラスでこの窯を使ってランチなのかな?」などと想像してワクワクします。)
テラスは広々としていて、左側はこんな感じになっています。
(窓の各面に角度が付けられているので、室内側の映り込みがほとんどなく、外の景色をそのままに堪能できます。考え抜かれた設計に感心。素晴らしいテラスですが、さすがに夏場の日中は日差しが強烈で、ここでくつろぐというわけにもいかないのが残念ですが。)
ウエルカムスイーツは地元のマンダリンオレンジ。当地は柑橘が名産ですが、9月~10月を除いて一年中、何らかの品種の柑橘が収穫できるそうです。
(逆光でマンダリンオレンジの鮮やかな色が見えませんね。ドリンクはオリジナルのハーブティー。ストローは紙製です。)
夕食の時間や大浴場・温泉ミスト浴などの説明を受けてチェックインは終了。一番驚いた情報は、当宿は全8室ですが、現在は3室しか予約を取っていないそうです。(理由は訊ねませんでしたが。) さて、部屋に案内していただきます。ロビー階は3階、客室は2階と4階。私たちは4階ワンフロアを使った「ビュースイート」です。
(3階から4階ですが、エレベーターを使わせてもらいました。(笑) 4階到着のエレベーターホールの窓からの景色。)
扉の前のスペースはシンプル。
(エアコンはありませんので、涼しさは感じませんが(むしろちょっと暑い)、問題はありません。)
部屋に入ったところ。エアコンがないのに「涼しい~。」と感じます。
(踏込からの室内の景色。広々としたワンルームスタイルです。写真フレーム外左側に洗面所・脱衣場・浴室・トイレがあります。)
部屋に入ると、その景色に思わず「おお~っ。」となります。
(大開口の窓からの景色が素晴らしい! お天気で良かったぁ~。(笑))
ベッドサイドから見た室内。大きなソファーと天然木の一枚板の大きなテーブル。
(写メには写っていませんが、左側の壁沿いにカウンターもあります。電気コンセントの口も「ここに欲しいな。」といういくつかの場所にあって、さながら自分たちの家の部屋という使い勝手の良さを感じました。)
テラスに出てみます。
(ちょうど、先程チェックインしたラウンジの真上に位置しますので、同じ絶景が広がります。真下を覗くと3階のテラスが広がります。)
浴室。当宿は温泉ではありませんが、大浴場の湯は「クラフト温泉」という天然温泉の抽出成分を豊富に含む❝温泉❞です。
(2mはあろうかという浴槽。窓の外はテラスが続いていて、湯船に浸かると相模湾の景色を見ることができます。)
シャワーヘッドが特徴的です。
(真っすぐな棒(笑)。一見使いにくそうに見えますが、縦一列20cmくらいの幅でシャワーが出ますので、広く流すことができて意外に便利。)
壁沿いに作りつけられているカウンターには、てっぺんにタッチすると点灯するスタンドとBOSEのBluetoothスピーカー。
(備え付けの本は「江之浦測候所」の杉本博司さん著「江之浦奇譚」。パラパラッと見ましたが、当地と「江之浦測候所」のことが写真をふんだんに使って書かれていて面白そうでした。連泊ならゆっくりと読んでみたい一冊です。)
部屋備え付けの当宿のあれこれを説明したバインダー(冊子)のトップページには「江之浦リトリート凛門」のコンセプトが書かれています。
(ちなみに、「凛門」は「りもん」と読みます。「皆様にとって凛門でのご滞在が新たな健康を手にする『はじまりの一日』となりますように願っております。」との結びの言葉。「凛門」の「門」はそんな門出の「門」。)
そしてこの大きな格子状のものが「パネルシェード」。
(一番暑いこの時期は7度の冷水を循環させて冷やしているそうです。触ってみると確かにキンキンに冷たいです。格子の表面は結露していますが、その気化熱も温度調整と湿度維持の役割を担っているとか。)
オーガニックコットン製の部屋着とパジャマ着の上にあるのが、ヴァージンコットンの落ち綿(未利用繊維)100%を再生利用した、オリジナルの靴下。
(結構厚手でしっかりした靴下。販売もしているそうで、オンラインショップで1500円でした。宿泊者は持ち帰りOKです。)
コーヒーメーカーは、豆を投入すれば挽きからドリップまで全自動です。
(コーヒー豆は小田原の自家焙煎コーヒー専門店「ひな珈琲」が当宿のためにブレンドしたもの。淹れてみましたが美味しかったです。)
冷蔵庫は至ってシンプル。ご当地ジュースとかは欲しかったかな。(笑)
(右はミネラルウォーター。瓶に入っている(ペットボトルを使わない)ところがいいですね。お茶は2種類。オリジナルブレンドのハーブティーとウーロン茶(だったかな)。)
部屋の探索を終え、テラスからの絶景もひとまず堪能したので、「江之浦測候所」の見学でかいた汗を流しに大浴場へ行ってみます。(何せ3組しか予約を取っていないので、ゆったりと入浴できるでしょうから。)
(大浴場は地下1階。暖簾には「LeFuro TOJI」、「根帰静」、「凛門」という文字があります。)
大浴場で普通に汗を流すイメージでしたが、実は、ここが当宿の❝ウリ❞の場所。温泉ミスト浴「LeFuro TOJI(ルフロ湯治)」です。全く事前リサーチ不足でしたが、この「ルフロ」目当てにリピートする方もいるとか。宿の方がカウンターに来てくれて、「ルフロ」の効能と入り方を丁寧に説明してくれます。
(部屋のバインダーの説明ページ。超ざっくり言うと、天然温泉から抽出した30種類超のミネラル成分(温泉成分)をミストとして充満させ全身で吸収する=温泉に浸かるよりも何倍も効率よくミネラル成分を吸収できる、ということ。)
入り方はこんな感じです。①「ルフロ着」に着替えて、②天然鉱石が敷き詰められた上に寝転んで、③約10分、ドバドバ発汗。水分摂取など休憩を挟んでまた10分。大体2、3セット繰り返し、終わった後は大浴場でさっぱりする。
(ネットより拝借。実際の室内はミストが充満していて、ほぼ視界が利きません。慣れてくると10分ではちょっと物足りなくて15分にしたりしていました。カウント用のバックライト付きのタイマーを貸してもらえます。)
ちなみに、敷き詰められている天然鉱石(薬石)は12種類。
(部屋のバインダーの説明ページより。)
インターバルの休憩には、お隣の「静養室」を使います。
(ネットより拝借。結構広くてびっくり。ルフロをやっていたのが3組中2組だけでしたので、広々と使えます。)
2セットやって大浴場へ。大浴場の湯は「クラフト温泉」という、ルフロと同じく天然温泉から抽出したミネラル成分を加えた良質な❝温泉❞。
(浸かると、確かに温泉だと感じます。気のせいかも知れませんが、「効いてるなぁ~。」といい感じ。(笑) ちなみに、本日は女性客が多いので、広い方の浴室を女性用にしていると宿の方が言っていました。男性の宿泊客は私を含めて2名で、滞在中一度もバッティングせず、独り占め状態でした。)
大浴場の脱衣場にも「パネルシェード」。
(やっぱりキンキンに冷たかった。触っていられないくらいです。)
私はサウナはやらないので「整う」という状態は分かりませんが、ひょっとしたら今のような状態なのかもしれません。「LeFuro TOJI(ルフロ湯治)」の暖簾に「根帰静」と書かれていますが、「老子」の十六章から引用した言葉だそうです。
、、、「根に帰るを静という」=(超意訳)「たまには頭であれこれ考えずに、大自然の生命に帰れ。そこには、まことに静かな理屈のない世界がある。人間は、富や栄誉や地位、主義や主張や理念などで生きているのではない。人間はひたすら自然の呼吸で生きている。」(当宿の関係者のサイトより。)
部屋に帰ってゆっくりします。当宿にはテレビはありません。普通なら、窓の外の大自然の暮れゆく空と夕刻の海の色を見ながら、ボーッとするところですが、サッカーのなでしこの試合をNHKプラスで観戦。(笑)
(なでしこジャパン、残念でした。夕暮れです。明日の朝はどこから陽が昇るのか。)
夕食は18時半から。先程の食事処兼ラウンジに行くと、「お好きな席にどうぞ。」とのことですので、格子で半個室のようになっている、一番大きなテーブルがある席にしました。
本日の献立表。
(薬膳を意識した、創作和食のコース。)
味のある位置皿(位置盆と言うべきか(笑))です。
(細いのに手にしっくりくるお箸は塗りでしょうか、美しいグラデーション。)
乾杯は「Ch. de L’Aulee(シャトー・ド・ロレ)」のスパークリングワインで。
(シャンパンを思わせる飲み口でした。後程お酒の相談をした時に分かりましたが、ワインから日本酒まで、かなりお酒には詳しい宿の方でした。)
それではコースの開始です。
■養生:「補陰養心」
とうもろこし、山梔子(さんしし)、乾姜(かんきょう)、玄米、昆布、五味子(ごみし)、山査子(さんざし)、またたび、はとむぎ
(インパクト十分。一気に惹きこまれます。)
「補陰養心」とは、夏を健やかに過ごす薬膳の考え方だそうです。体の中に熱がこもるので汗を出し水分代謝を盛んにして、心臓や胃腸の機能を高める食事を、ということ。
■淡味:※献立表では「このしろ炙り」でしたが、本日の素材の関係で「さざえ」になりました。
さざえ、あいこトマト、オクラ、下中玉葱ひしお
(「下中玉ねぎ」は小田原東部の下中地区で産する玉ねぎで、辛味がなく甘いのが特徴。それを醤(ひしお)にするって初めて聞く技です。この黄色と赤のあいこトマト、めちゃめちゃ甘い。)
■香美:焼胡麻豆腐
キッチャリー、マリーゴールド、卯の花、鼈甲餡、みたらし
(こ、これは何だ?! ドライアイス演出か?)
と思ったら、焼胡麻の煙を燻製のように充満させて仕上げているそうです。そして、宿の方がゆっくりと蓋を上げます。
(動画チャンス!(笑) 動画の1コマをスクショしました。)
キッチャリーとはアーユルヴェーダのお粥で、消化に負担をかけない、体に滋養を与える食べ物だそうです。
(焼胡麻の香ばしい煙と香りの演出も楽しい、当宿でも一番人気のある料理のひとつとのこと。確かにめちゃウマです。)
この焼胡麻豆腐の美味しさにたまらず日本酒モードへ。「飲み比べセット」を注文。3種類の日本酒のチョイスですが、まずは1セット目(笑)として、純米・純米吟醸ですっきり系でお願いしました。
登場したのはこの3種類。「琴姫」(中澤酒造、神奈川県松田町)、「天鷹」(天鷹酒造、栃木県大田原市)、「隆」(川西屋酒蔵、神奈川県山北町)。
(夏酒をイメージさせるラベルが楽しい。「なぜこの3本を選んだか。」や1本1本の特徴をしっかりと説明してくれました。素晴らしい知識と提案力だと感心。美味しい日本酒が更に美味しくなりました。)
・「琴姫」:足柄産若水で仕込んでいます。
・「天鷹」:有機米使用、燗・常温・キンキンの冷のオールラウンド。
・「隆 Tシャツラベル」:足柄産若水の仕込み、14度と軽やかな夏酒。
■嘉味:目鯛炭火焼き
蔓菜(つるな)、蓮芋、新蓮根、天然にがり、青柚子、旬野菜の雫
(お椀が素晴らしいので写メ。お箸の塗りからもう少し紅系を強くしたような美しい色と刷毛の柄。)
目鯛は今が旬。「❝金❞が付けば金目鯛か。」などとどうでもいいことを考えてしまいましたが、金目鯛に負けない美味しさでした。
(とても淡い(あわい)出汁ですが、味が薄いのではなく、余計な雑味を全て取り払った透明感のある出汁、、、うまく表現できません。(笑))
■妙味:めじ(まぐろ)、伊佐木、間八 / 自家製醤油、自家製ポン酢、本山葵、藻塩
(お刺身です。メジマグロの左隣の白いものは若い甜瓜(まくわうり)、手前のカンパチの前の緑の実はミニきゅうり(の中でも超ミニ)。甜瓜がほんのり甘くて、不思議と刺身に合います。)
そして、醤油、ポン酢は自家製。
(醤油の自家製ってすごいこだわり。すっきりした醤油で夏の刺身にぴったりでした。日本酒が進みます。(笑))
ここで献立にはない一品が飛び入り。料理長からのプレゼントです。
(玄米(だったかな)を使った細巻きでウニがトッピングされています。玄米には醤油なのか出汁なのか、上品な味が付いています。)
■佳肴:横濱牛はつ
白髪葱、芽葱、松茸
(これまた蓋付きの器で登場。)
蓋を取ると、サイコロよりも大きな牛のハツが。どんな調理を経てきたのか想像がつかない食感なのですが、美味しい!
(松茸はフライ風で。これが美味しい。献立表に書かれていませんが、一番左に自家製からすみのキューブが添えられています。)
からすみ、、、これは飲み比べセットの2セット目のスタートの合図ですね。(笑) 2セット目は、コース後半戦の料理は肉など濃くなってくると想定して、ちょっとクセのある系でお願いしました。
登場したのはこの3種類。「半蔵」(大田酒造、三重県伊賀市)、「月の井」(月の井酒造、茨城県大洗町)、「昇龍蓬莱」(大矢孝酒造、神奈川県愛川町)。
(右後ろに置かれている黒いボトルの1本は、手前の右の「昇龍蓬莱」と「どちらにしましょう?」と提案があったところ、選ばなかった1本で、甘さの強い日本酒とのこと。)
2セット目の3本もラベルも楽しい夏酒シリーズです。
・「半蔵 涼夏 金魚ラベル」:伊勢志摩サミットで「志摩観光ホテル」で各国首脳に提供された酒を造った大田酒造のもの。三重県の酒米「神の穂」と三重酵母「MK1」を使用した特別純米酒。
・「月の井」:夏限定純米酒。
・「昇龍蓬莱 生もと純吟 雄町60」:2セット目の中で一番クセあり。ガツンときて後味さっぱりではなく、ガツンときて後味も香りと雄町の主張が口の中に残ります。❝強い❞料理との相性抜群。
■滋味:烏山のひね、足柄湯葉、地野菜出汁
(献立表を見た時に「『ひね』って?鶏かな?」と思ってしまいました。)
「ひね」とは、新蕎麦に対して昨年度の蕎麦(ひね蕎麦)を言うそうです。とあるサイトによると、新蕎麦は香りも若く食べ頃になるまでに数ヶ月かかるのに対して、ひね蕎麦は新蕎麦のような若々しい香りはないが、蕎麦という穀物が本来持つ豊かな風味があり、ひね蕎麦を好んで食する蕎麦通がいるほどの旨さがある、とありました。私が鶏と勘違いしたのは、焼き鳥屋で「ひね鶏」と言えば卵を産まなくなった親鳥のことで、これはこれで美味しかったという記憶からです。(笑)
ここで献立にはない一品その2が登場。葛のような餡が張られた茶碗蒸しです。
(冷たいひね蕎麦の後の温かい茶碗蒸しで、美味しさもさることながら、胃腸が癒される感覚があります。これも薬膳の気配りでしょうか。)
■馳走:やまゆり牛、にしゆたか、白なす、サマートリュフ、醪醤油
(「やまゆり牛」は神奈川県のブランド牛。黒毛和牛の父とホルスタイン種の母の間の交雑種で、旨みと柔らかさが特徴。たっぷり出汁を含んだ白ナスのサッパリ感と、ニシユタカ(ジャガイモ)のマッシュポテトよりも粘度高めのねっとり感が肉とよく合います。)
■芳味:十六穀米御飯、留椀、香の物
まずは土鍋で炊き上がった十六穀米が披露されます。
(土鍋の手前の縁にピントが。(笑))
その後、お茶碗に盛って出されます。
(十六穀米の印象は、普通の白米と赤飯の間の白米寄りという感じで、ちょっともっちりした食感です。)
■甘美:塩麹ショコラ、はるみ、ミント、味醂、木苺
(ショコラの中に感じるほのかな塩味が甘さといいバランスになっています。それにしても「味醂(みりん)」はどのように使われているのだろう。)
一つ一つの料理にきっと深い意味と効能があると思いますが、難しいことは抜きにして、全皿楽しく美味しかったです。ごちそうさまでした。「ルフロ」でデトックスして、薬膳料理で心臓と胃腸を整える。当宿から健康をもらったような気がする一日目でした。
(夕食後、部屋のテラスからの夜景。相模湾を縁取るように灯りが続きます。)
翌朝。太陽は右方向の山から昇るようです。
(朝焼けが美しい。)
「ルフロ」は朝7時から入ることができるそうなので、朝食前に長めの2セットを(妻は3セット)。一番早い朝食時間、8時となりました。
(昨日はこの看板に気付きませんでした。「Dining AMETSUCHI」。「天地」(あめつち)という名前だったのですね。当宿のコンセプトがよく分かります。)
朝食も「お好きな席にどうぞ。」とのことですので、まだ座っていない席にしました。この席から見える景色。
(昨日以上にいい天気。)
目覚めのフレッシュジュースを待つ間に、ダイニングのお隣のバーカウンター的なスペースを覗いてみました。
(またしても連泊の想像をしてしまいます。「連泊ならここでゆっくり本を読むのもいいなぁ。」)
席に戻ります。フレッシュジュースは2種類。ピンクグレープフルーツとオレンジ。
(オレンジの方、激ウマでした。)
まずはサラダとヨーグルトが出されます。
(地元の農園産の野菜たち。農園名も教えてもらいましたが、これまた失念しました。(笑) ヨーグルトにはきな粉とハチミツ。)
ドレッシングが独創的で、料理長オリジナルの「昆布のドレッシング」。
(まさに昆布の味でした。(笑))
炊き立てのご飯が夕食と同じく土鍋で登場。
(夕食と同じく土鍋の縁にピントが。(笑))
このお米がただ者ではありません。「いのちの壱」という品種で、岐阜の下呂市の小さな田んぼで2000年に発見されたコシヒカリの突然変異種。ひときわ背の高い稲穂に実る米粒は、コシヒカリの1.5倍の大きさになるというから驚きです。粘り、弾力、甘さ、香り、どれも第一級の素晴らしさで、数々のコンクール・品評会で優勝・金賞を受賞しているとのことです。
その「いのちの壱」のご飯もお茶碗に盛られ、最初のセットが置かれました。
(そうです、この「凛門」と彫られた木箱の中が気になります。(笑))
木箱を開けると、、、これはテンションが上がります。
(3つの盃や小鉢、石板に盛られた数々の料理には、60種類を超える食材が使われているそうです。朝食も体のことを第一に考えられています。ちなみに、石板中央には地物のアジの干物。ちょっと見づらいですが、その横にはアジの頭のから揚げがあります。料理長曰く「魚は頭こそ食べてほしい。」とのことで、サクサクに揚がっていて、すごく美味しかったです。)
椀物ですが、汁は豚汁。
(この豚汁で新発見。妻も気付いていましたが、豚肉も含めて全ての具材が細かく切られています。これがいい、すごくいい。家で豚汁を作る時には是非やってみたい工夫です。)
豆腐は足柄産。(豆腐屋さんの名前は言っていたかなぁ、、、忘れました。)
(足柄は名水の里ですので、豆腐も(日本酒も)いいのができるのだと思います。絹ごしに出汁餡、山葵。)
木箱、豚汁、豆腐も十分主役級ですが、真の主役は卵料理。平飼いの鶏の卵の料理は、出汁巻、オムレツ、スクランブルエッグ、目玉焼き、ゆで卵から選ぶことができます。夫婦そろって「出汁巻」で即答。
(しばらくして登場した出汁巻の美しさに食べる前から美味しいと分かります。宿の方が「当宿の料理長の出汁巻は出汁がかなり多めです。5つの卵料理の中で一番のおススメです。」と教えてくれました。)
素晴らしい朝食でした。今日チェックアウトしないといけないのが名残惜しくなります。次は絶対に連泊してテラスでランチもいただこうと思ったくらいの満足感でした。
果物は梨。
(もう梨が出てくるのですね。もう8月の中旬か、、、早いものです。)
アイスコーヒー(妻はダージリンティー)を飲みながら、しばしダイニングで過ごします。
(連泊したいなぁ、、、。(笑))
チェックアウトは11時。料理長もお見送りに出てくださいました。「江之浦リトリート凛門」、素晴らしい宿でした。
(健康になって「門」を出ます。)
江之浦の地名の由来は「絵のように美しい海岸」だとか。「江之浦リトリート凛門」、必ず再訪したいと思います。できれば連泊で。(笑) お世話になりました!
さて、帰路です。お盆の渋滞とは逆方向。急ぐ理由もないので、お墓参りに寄ってきました。
予想通り渋滞に遭うこともなく帰宅。今回もいい旅でした。
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